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(平21.9.9、裁決事例集No.78 327頁)

《裁決書(抄)》

1 事実

(1) 事案の概要

 本件は、審査請求人(以下「請求人」という。)の法人税等について、原処分庁が、請求人は印刷用紙の売却に係る収益を売上げに計上していなかったとして更正処分等を行ったのに対し、請求人が、その収益は、従業員が請求人の印刷用紙を窃取して売却したことによるものであるから請求人の売上げではないなどとして、同処分等の全部の取消しを求めた事案である。

(2) 審査請求に至る経緯

イ 平成15年8月1日から平成16年7月31日まで、平成16年8月1日から平成17年7月31日まで、平成17年8月1日から平成18年7月31日まで及び平成18年8月1日から平成19年7月31日までの各事業年度(以下、順次「平成16年7月期」、「平成17年7月期」、「平成18年7月期」及び「平成19年7月期」といい、これらを併せて「本件各事業年度」という。)の法人税について、審査請求(平成20年10月7日請求)に至る経緯及び内容は、別表1のとおりである。
 なお、以下、平成20年5月30日付でされた本件各事業年度の法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分を、それぞれ「本件法人税各更正処分」及び「本件法人税各賦課決定処分」という。
ロ 平成16年8月1日から平成17年7月31日まで、平成17年8月1日から平成18年7月31日まで及び平成18年8月1日から平成19年7月31日までの各課税期間(以下、順次「平成17年7月課税期間」、「平成18年7月課税期間」及び「平成19年7月課税期間」といい、これらを併せて「本件各課税期間」という。)の消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)について、審査請求(平成20年10月7日請求)に至る経緯及び内容は、別表2のとおりである。
 なお、以下、平成20年5月30日付でされた本件各課税期間の消費税等の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分を、それぞれ「本件消費税等各更正処分」及び「本件消費税等各賦課決定処分」という。

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(3) 関係法令

 法人税法第22条《各事業年度の所得の金額の計算》第2項は、内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とすると規定し、同条第4項は、同条第2項に規定する当該事業年度の収益の額は、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算されるものとする旨規定している。

(4) 基礎事実

イ 請求人は、昭和○年○月○日に設立され、P市p町○−○に本店を置く、印刷の請負及び製本紙器の製作などを目的とする株式会社であり、同所所在の工場(以下「本社工場」という。)及びQ市q町○−○所在の工場(以下「Q工場」という。)を有している。
 なお、請求人の本件各事業年度における代表取締役は、Dであったが、同人は、平成20年○月○日、代表取締役を退任し、同日、Eが代表取締役に就任した。
ロ F(以下「F元課長」という。)は、昭和61年に請求人に入社し、昭和63年に資材課主任、平成元年に資材課係長、平成2年に工務部資材第二課長、平成13年に本社工場生産管理課長に順次就任した。
 その後、平成16年に生産管理部が新設され、本社工場生産管理課が生産管理部生産管理課に移行したことにより、生産管理部生産管理課長に就任し、本件各事業年度においては、本社工場生産管理課長又は生産管理部生産管理課長として、印刷工程の管理及び外注手配に関する業務に従事していた。
 なお、以下、本社工場生産管理課及び生産管理部生産管理課を併せて「生産管理課」といい、本社工場生産管理課長及び生産管理部生産管理課長を併せて「生産管理課長」という。
ハ 請求人が売上先との間で締結する印刷の請負契約の中には、売上先が請求人に対し印刷用紙を無償で支給する旨定められているものがあり、このような請負契約の場合、売上先が請求人に無償で支給する印刷用紙(以下「支給紙」という。)の数量は、請求人が売上先に引き渡す印刷物の数量に見合う印刷用紙の数量に、印刷作業で通常生じる損紙の数量に見合う予備の印刷用紙の数量を加算したものとされている。
 なお、この予備の印刷用紙の数量が印刷作業で実際に生じた損紙の数量を上回り、支給紙の一部がその印刷作業で使用されず残ることもあった(以下、この使用されず残った支給紙を「余剰紙」という。)。
ニ F元課長は、本件各事業年度において、請求人がQ工場に保管していた余剰紙をG社に売却し、同社の工場長であったH(以下「H工場長」という。)からその売却代金を現金で受領していた。
 なお、以下、F元課長がG社に売却した上記余剰紙を「本件余剰紙」といい、本件余剰紙の売却に係る上記取引を「本件紙取引」という。
ホ F元課長は、本件紙取引を行う際、実在しない「J社」の名義を使用して、納品書、請求書及び領収証を作成し、G社に交付していた。

(5) 争点

 本件紙取引に係る収益は、請求人の売上げか否か。

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2 主張

原処分庁 請求人
 本件紙取引は、次のことからすれば、請求人の事業の一環として行われたものと認められるから、本件紙取引に係る収益は、請求人の売上げである。
(1) 本件余剰紙の所有権は、G社に売却されるまで請求人にあった。
(2) 本件余剰紙は、請求人において入庫管理がなされ、G社に売却されるまで他の支給紙と同様に請求人が管理していた。
(3) 本件余剰紙は、F元課長の指示により、請求人の工場からG社の工場に新品の状態で納入されていた。
(4) 本件余剰紙は、請求人からG社に印刷用紙等を運送するK社によって運送されており、同社は、請求人が主要な売上先であり、F元課長が生産管理課長の立場にあったことから本件余剰紙をサービス(無償)で運送していた。
(5) 本件紙取引に係る納品書は、請求人のファクシミリを使用してG社へ送信されていた。
(6) G社及びK社は、本件紙取引を、請求人とG社の取引であると認識していた。
(7) 請求人は、F元課長が現金で受領した本件紙取引に係る対価の一部を、同人から回収している。
 請求人は、本件紙取引について一切関知しておらず、本件紙取引は、次のとおり、請求人の意思に反して、F元課長が自己のために行った行為であるから、本件紙取引に係る収益は、請求人の売上げではない。
 なお、請求人が、本件紙取引に伴い収益として認識すべきは、本件余剰紙が窃取されたことにより生じるF元課長に対する損害賠償請求権であり、当該損害賠償請求権は、その事実が発覚した事業年度の収益となるから、本件各事業年度の収益ではない。
(1) 本件余剰紙は、請求人の支配下にあった余剰紙をF元課長が窃取したものである。
(2) 本件紙取引は、請求人の業務の範囲を逸脱したものである。
(3) 本件紙取引は、F元課長が自己の利益を得るために行った取引である。
(4) 本件紙取引に係る対価は、すべてF元課長が取得して個人的に費消している。
(5) 請求人は、本件紙取引に係る収益を享受していない。

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3 判断

(1) 争点について(本件紙取引に係る収益は、請求人の売上げか否か。)

イ 認定事実
 請求人提出資料、原処分関係資料及び当審判所の調査によれば、次の事実が認められる。
(イ) 請求人の事業内容等
A 請求人の定款及び商業登記簿によれば、請求人は、印刷の請負及び製本紙器の製作並びにこれらに附帯する一切の業務を目的としており、印刷用紙の販売を目的としていない。
B 本件各事業年度において、請求人が所有・管理していた、本件余剰紙以外の印刷用紙が他に販売された事実はなく、外注先に対し有償で支給された事実もなかった。
(ロ) F元課長の地位・権限
A F元課長は、本件各事業年度において、役員会議等の請求人の経営方針の決定にかかわる会議の構成員とされておらず、請求人の経営に従事する立場になかった。
B F元課長は、本件各事業年度において、生産管理課長の役職にあったところ、請求人の職務分掌規程によれば、生産管理課は、生産進捗状況の把握と生産計画の調整に関する業務、外注手配に関する業務及び納期管理に関する業務等を分掌することとされており、印刷用紙の保管及び管理に関する業務は、生産管理課の主管業務とされていないこと、また、課長は、所属部長又は工場長より委任された範囲内で主管業務の遂行に必要な権限を有することとされていることから、F元課長は、本件各事業年度において、印刷用紙の保管及び管理に関する業務を遂行する職務及び権限を請求人から与えられておらず、本件余剰紙を自己の判断で売却する権限を有していなかった。
(ハ) Q工場における支給紙の保管及び管理の状況等
A Q工場には、請求人が自ら購入した印刷用紙(以下「購入紙」という。)及び支給紙が保管されており、Q工場での印刷用紙の保管及び管理に関する業務を分掌するQ工場管理課は、購入紙については資材課の指示により、支給紙については生産管理課の指示により、それぞれ受入れ及び払出しを行っていた。
 なお、Q工場管理課は、支給紙を購入紙と区別して保管及び管理していたものの、余剰紙については、他の支給紙と一緒に保管及び管理していた。
B 生産管理課からQ工場管理課に対し支給紙の払出しを指示するとき、生産管理課の各担当者は、支給紙の使途により、Q工場で印刷作業に使用する場合には「作業指示報告書」、外注先に支給する場合には「作業指示伝票」を作成し、生産管理課長の審査を受けて、平成16年2月までは本社工場長又は本社工場長代理、同年3月からは生産管理部長の承認を得た後、当該各担当者が、Q工場管理課において印刷用紙の受入れ及び払出しを行う担当者(以下「入出庫担当者」という。)に対し、支給紙の払出しを電話で指示していた。
C 支給紙は、売上先から無償で支給されること、また、その印刷作業で最低限必要な印刷用紙の数量が支給紙の数量として設定されるため、通常、支給紙を使い切り、余剰紙が発生しないこと、余剰紙が実際に発生すれば、それを別の印刷作業で発生する損紙の穴埋めなど消耗材として使用していたことなどから、請求人は、余剰紙の在庫数量を把握していなかった。
(ニ) 本件紙取引の態様
 F元課長の当審判所に対する答述等によれば、次の事実が認められる。
A F元課長は、入出庫担当者に対し、請求人及びG社がそれぞれ印刷用紙又は印刷物の運送を依頼していたK社のトラックに本件余剰紙を積み込むよう指示するとともに、K社に対しても、本件余剰紙をQ工場からG社まで運送するよう依頼するなどして、請求人が所有・管理する本件余剰紙をQ工場から運び出して窃取し、G社に納品していた。
 なお、F元課長は、本件紙取引が発覚しないよう、支給紙の払出しに係る社内書類を一切作成せず、入出庫担当者に対しても、すべて口頭で本件余剰紙の積込みを指示するなどしていた。
B F元課長は、本件余剰紙の売却代金を受領する際、請求人の事務所等では人目があるとして、社外でH工場長と会い、同人から直接現金で売却代金を受領していた。
 そして、F元課長は、当該売却代金を、個人的な飲食、ゴルフ、旅行等の遊興費に費消した。
C 請求人の取締役、本社工場長及び生産管理部長は、F元課長が本件余剰紙を窃取してG社に売却していたことを知らなかった。
(ホ) 本件紙取引に関するG社の認識
 G社の代表取締役L及びH工場長の当審判所に対する答述によれば、G社は、平成13年ころ、F元課長から「安い紙が入るが、請求人では買えない紙なのでG社で買わないか。」という話があって、本件紙取引を始めたものであり、「どこかの紙屋さん」が在庫処分する紙を現金取引するものと認識し、本件紙取引が請求人との取引であるとは認識していなかった。
(ヘ) 本件紙取引の発覚等
A 本件紙取引は、平成20年2月、原処分に係る調査において発覚した。
B 請求人は、本件余剰紙を窃取されたことにより、F元課長に対し有することとなった損害賠償請求権(以下「本件損害賠償請求権」という。)に基づき、平成20年2月22日を最初として同年3月3日までの間に同人から損害賠償金の一部として合計3,212,996円の金員の支払を受けた。
C 請求人は、平成20年3月10日、F元課長を懲戒解雇した。
ロ 判断
(イ) 本件紙取引に係る収益が、請求人の売上げか否かについては、1取引を行った従業員の地位・権限、2その取引の態様、3請求人の事業内容、4取引の相手方の認識などを総合考慮して判断するのが相当である。
(ロ) これを本件についてみると、1上記イの(ロ)及び(ハ)のとおり、F元課長は、本件各事業年度において、経営に従事する立場にはなく、また、本件紙取引の対象となった支給紙の払出しの指示を出す業務を行ってはいたものの、印刷用紙の保管及び管理に関する業務を遂行する職務及び権限を請求人から与えられておらず、本件余剰紙を自己の判断で売却する権限を有していなかったこと、2上記1の(4)のニ及びホ並びに上記イの(ニ)のとおり、本件紙取引は、F元課長が、請求人から窃取した本件余剰紙を、「J社」の名義を使用してG社に売却したものであること、3上記イの(イ)のとおり、請求人は、印刷の請負及び製本紙器の製作等を目的とし、印刷用紙の販売を目的としていない上、本件各事業年度において、請求人が所有・管理していた、本件余剰紙以外の印刷用紙が他に販売された事実はなく、外注先に対し有償で支給された事実もなかったこと、4上記イの(ホ)のとおり、G社は、本件紙取引が請求人との取引であるとは認識していなかったことがそれぞれ認められるところ、以上のことを総合考慮すれば、本件紙取引に係る収益は、請求人の売上げとはいえない。
(ハ) これに対して、原処分庁は、上記2の「原処分庁」欄記載のとおり主張する。
 しかしながら、上記2の「原処分庁」欄の(1)及び(2)については、本件余剰紙が請求人の所有・管理する物であったとしても、そのことから請求人が本件余剰紙を売却したとはいえない。
 上記2の「原処分庁」欄の(3)、(4)及び(5)については、本件紙取引は、F元課長が、本件紙取引の対象となった支給紙の払出しの指示を出す業務を行っていたことを奇貨として、請求人から与えられた職務及び権限の範囲を逸脱して行ったものであり、請求人が明示又は黙示的にこれを容認していた事実も認められないから、本件紙取引が請求人の事業の一環として行われたものということはできない。
 上記2の「原処分庁」欄の(6)については、上記イの(ホ)のとおり、G社は、本件紙取引が請求人との取引であると認識しておらず、また、K社は、本件紙取引の当事者ではないから、その認識は、本件紙取引に係る収益が請求人の売上げか否かについての判断を左右する要素ではない。
 上記2の「原処分庁」欄の(7)については、請求人がF元課長から支払を受けた金員は、損害賠償金の一部と認められ、本件紙取引に係る対価の一部とは認められない。
 したがって、原処分庁の主張にはいずれも理由がない。

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(2) 本件損害賠償請求権を本件各事業年度の益金の額に算入すべきか否かについて

 本件紙取引に係る収益は、請求人の売上げとはいえないものの、請求人には、F元課長に本件余剰紙が窃取された時点で、本件損害賠償請求権が発生していると認められる。
 もっとも、上記(1)のイの(ニ)のC及び(ヘ)のAのとおり、請求人の取締役、本社工場長及び生産管理部長は、平成20年2月まで、F元課長が本件余剰紙を窃取していたことを知らず、また、上記(1)のイの(ヘ)のBのとおり、請求人は、本件各事業年度において、本件損害賠償請求権に基づく支払を受けていないことが認められる。
 そこで、以下、当審判所は、本件損害賠償請求権を請求人の本件各事業年度の益金の額に算入すべきか否かについて、判断する。
イ 法令解釈
 法人税法上、ある収益をどの事業年度に計上すべきかは、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従うべきであり、これによれば、収益は、その実現があった時、すなわち、その収入すべき権利が確定したときの属する事業年度の益金の額に算入すべきものと考えられる。
 そして、権利の確定とは、権利の発生とは同一ではなく、権利発生後一定の事情が加わって権利の実現の可能性を客観的に認識することができるようになることを意味するものと解されている。
 ところで、不法行為による損害賠償請求権については、例えば加害者を知ることが困難であるとか、権利内容を把握することが困難なため、直ちには権利行使を期待することができないような場合があり得るところ、このような場合には、権利(損害賠償請求権)が法的には発生しているといえるが、いまだ権利の実現の可能性を客観的に認識することができるとはいえないから、不法行為が行われた時点が属する事業年度の益金の額に算入すべきであるとはいえないと解されている。
 ただし、この判断は、税負担の公平や法的安定性の観点から考えて客観的にされるべきであるから、通常人を基準にして、権利(損害賠償請求権)の存在・内容等を把握し得ず、権利行使を期待することができないといえるような客観的状況にあったかどうかという観点から判断していくべきである。
ロ 判断
 これを本件についてみると、1上記1の(4)のホ及び上記(1)のイの(ニ)のとおり、F元課長は、本件紙取引が発覚しないよう、支給紙の払出しに係る社内書類を一切作成せず、入出庫担当者に対しても、すべて口頭で本件余剰紙の積込みを指示し、また、実在しない「J社」の名義を使用して本件余剰紙を売却し、その売却代金も社外で、かつ、現金で受領するなど、秘密裏に本件余剰紙を窃取して売却していたこと、2上記(1)のイの(イ)及び(ロ)のとおり、本件紙取引は、F元課長が請求人から与えられた職務及び権限の範囲を逸脱して行ったものである上、請求人の営む事業の範囲を超えており、請求人が、F元課長が本件余剰紙を窃取して売却することを予見することは困難であったこと、3上記1の(4)のハ及び上記(1)のイの(ハ)のCのとおり、余剰紙は、支給紙の一部であり、その所有権が請求人又は売上先のいずれに帰属するものであるか必ずしも明らかでない上、請求人は余剰紙を消耗材として使用しており、請求人が売上先から余剰紙を無償で譲り受けたとする受贈益を計上してまで余剰紙を在庫計上すべき必要性及び重要性に乏しく、したがって、請求人が、余剰紙の在庫数量を管理する必要性に乏しかったものと認められることからすれば、通常人を基準にして、本件損害賠償請求権の存在・内容等を把握し得ず、権利行使を期待することができないといえるような客観的状況にあったといえ、その権利の実現の可能性を客観的に認識することができるとはいえないから、本件損害賠償請求権を請求人の本件各事業年度の益金の額に算入すべきであるとはいえない。

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(3) 本件法人税各更正処分

 上記(1)及び(2)のとおり、本件紙取引に係る収益は請求人の売上げとはいえず、また、本件損害賠償請求権を請求人の本件各事業年度の益金の額に算入すべきであるともいえないから、本件紙取引に係る収益が請求人の売上げであるとしてされた本件法人税各更正処分は違法であり、いずれもその全部を取り消すべきである。

(4) 本件法人税各賦課決定処分

 上記(3)のとおり、本件法人税各更正処分は、いずれもその全部を取り消すべきであるから、本件法人税各賦課決定処分についても、いずれもその全部を取り消すべきである。

(5) 本件消費税等各更正処分

 上記(1)のとおり、本件紙取引に係る収益は請求人の売上げとはいえないから、本件紙取引に係る収益が請求人の課税資産の譲渡等の対価の額に該当するとしてされた本件消費税等各更正処分は違法であり、いずれもその全部を取り消すべきである。

(6) 本件消費税等各賦課決定処分

 上記(5)のとおり、本件消費税等各更正処分は、いずれもその全部を取り消すべきであるから、本件消費税等各賦課決定処分についても、いずれもその全部を取り消すべきである。

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