(平成23年3月25日裁決)

《裁決書(抄)》

1 事実

(1) 事案の概要

 本件は、原処分庁が月刊誌等の雑誌の出版を業とする審査請求人(以下「請求人」という。)及び請求人との合併により消滅した被合併法人の棚卸資産に計上漏れがあるとして行った法人税の更正処分等に対し、請求人が、更正通知書に付記された更正の理由に不備がある、また、計上漏れとされた棚卸資産のうち書店等から返品されたものについては、古紙としての価値があるにすぎないから評価損の計上が認められるべきである等として、同処分等の全部の取消しを求めた事案である。

(2) 審査請求に至る経緯

イ 請求人の被合併法人D社は、平成16年5月1日から平成17年4月30日まで、平成17年5月1日から平成18年4月30日まで、平成18年5月1日から平成19年4月30日まで、平成19年5月1日から平成20年4月30日まで及び平成20年5月1日から平成20年12月31日までの各事業年度(以下、順次「被合併法人平成17年4月期」、「被合併法人平成18年4月期」、「被合併法人平成19年4月期」、「被合併法人平成20年4月期」及び「被合併法人平成20年12月期」といい、これらを併せて「本件各被合併法人事業年度」という。)の法人税について、青色の確定申告書に別表1の「確定申告」欄のとおり記載して、提出期限(法人税法第75条の2《確定申告書の提出期限の延長の特例》第1項の規定により1月間延長されたもの)までに提出した(被合併法人平成20年12月期の確定申告書は、請求人が提出した。)。
ロ D社は、被合併法人平成17年4月期の法人税について、平成18年6月16日に別表1の「修正申告」欄のとおり記載した修正申告書を提出し、原処分庁は、同月30日付で過少申告加算税の賦課決定処分を行った。
ハ 請求人は、平成20年1月1日から平成20年12月31日までの事業年度(以下「平成20年12月期」という。)の法人税について、青色の確定申告書に別表1の「確定申告」欄のとおり記載して、提出期限(法人税法第75条の2第1項の規定により1月間延長されたもの)までに提出し、その後の平成22年3月8日に別表1の「修正申告」欄のとおり記載した修正申告書を提出した。
ニ 原処分庁は、平成20年12月期及び本件各被合併法人事業年度の法人税について、平成22年3月30日付で別表1の「更正処分等」欄のとおり、各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分(以下、それぞれ「本件各更正処分」及び「本件各賦課決定処分」という。)を行った。
ホ 請求人は、これに対し、上記ニの各処分及び平成22年3月30日付でされたとする被合併法人平成20年12月期の過少申告加算税の賦課決定処分を不服として、平成22年5月28日に審査請求をした。

(3) 関係法令等の要旨

 別紙2のとおり。

(4) 基礎事実

イ 請求人は、○○○○に関する刊行物発行等を目的として、昭和27年9月○日に設立された法人である。
ロ D社は、書籍等の出版、編集、広告及び販売等を目的として、昭和55年6月○日に設立された法人であるが、平成21年1月○日に請求人に吸収合併された。
ハ 請求人は、平成20年12月期の決算において、保有する書籍、書籍DVD、雑誌及び雑誌DVD等のうち、書籍及び書籍DVDについては、その全部を期末製品棚卸高に計上したが、雑誌及び雑誌DVD等については、期末以前1か月以内に発行された雑誌及び期末以前10か月以内に発行された雑誌DVDのみを計上し、これらの期間前に発行されたものは期末製品棚卸高に計上しなかった。
ニ D社は、本件各被合併法人事業年度の決算において、保有する書籍、書籍DVD、雑誌及び雑誌DVD等のうち、書籍及び書籍DVDのみを期末商品棚卸高に計上し、雑誌及び雑誌DVD等については期末商品棚卸高に計上しなかった。
ホ 原処分庁は、請求人及びD社が期末棚卸高に計上しなかった上記ハ及びニの雑誌及び雑誌DVD等について期末棚卸高の計上漏れであるとして本件各更正処分をした。
ヘ 請求人に対する平成20年12月期の更正通知書の棚卸しに関する更正の理由には、「期末商品棚卸高計上漏れ」として請求人から提出された「平成20年12月末在庫一覧表」を基礎とした旨記載され、また、D社に対する本件各被合併法人事業年度の更正通知書(以下、請求人に対する平成20年12月期の更正通知書と併せて「本件各更正通知書」という。)の棚卸しに関する更正の理由には、やはり「期末商品棚卸高計上漏れ」として請求人から提出された「期末在庫の明細」を基礎とした旨記載されており、本件各更正通知書には請求人から提出されたこれらの資料が添付されていた。
ト 請求人は、上記ホの本件各更正処分について、更正通知書に付記された更正の理由には不備がある、また、当該処分に係る期末棚卸高計上漏れのうち、販売した書店等から返品された雑誌(以下「本件返品雑誌等」という。)については、評価損の計上が認められるべきである等として審査請求をした。

(5) 争点

 本件の争点は次のとおりである。
イ 本件各更正通知書に付記された更正の理由に不備があるか否か(争点1)。
ロ 返品された雑誌について評価損の計上が認められるか否か(争点2)。
ハ 平成20年12月期の売上原価の額の適否(争点3)。

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2 主張

 各争点に係る当事者の主張は、次のとおりである。

(1) 争点1について

イ 請求人
 本件各更正通知書の更正の理由には、棚卸計上漏れ額が記載されているのみで、根拠条文や法解釈の記載がなく、請求人は、いかなる点をとらえて不服申立てをなすべきかが不明であることから、理由付記に不備がある。
ロ 原処分庁
 本件各更正通知書の更正の理由には、本件各更正処分に係る勘定科目とその金額を示すだけでなく、請求人の帳簿以上に信ぴょう力のある資料を摘示することによって、更正の理由を具体的に明示しているから、更正の理由を相手方に知らせて不服申立ての便宜を与えるという理由付記制度の趣旨、目的を充足しており、理由付記に不備はない。

(2) 争点2について

イ 請求人
 原処分庁が棚卸計上漏れとした雑誌等のうちには、書店等に出荷しないまま保有していたもの(以下「本件未出荷品」という。)と、本件返品雑誌等がある。
 仮に、本件返品雑誌等について、争点1の主張が認められないのであれば、雑誌の出版を業とする法人については、法人税基本通達9−6−4《返品債権特別勘定の設定》に定める返品債権特別勘定の繰入限度額の計算において、雑誌の販売に係る売掛金の帳簿価額の合計額又は雑誌の販売の対価の額の合計額から、店頭売れ残り品の期末時の時価に相当する金額(古紙としての価値)を控除することとされているのであるから、本件返品雑誌等を期末の棚卸資産に計上していなかったとしても期末時価まで評価減することが認められるべきである。
ロ 原処分庁
 棚卸資産について、法人税法(平成21年法律第13号による改正前のもの。被合併法人平成17年4月期においては平成17年法律第21号による改正前のもの。以下同じ。)第33条《資産の評価損の損金不算入等》第2項に規定する評価損の計上が認められるのは、法人税法施行令(平成21年政令第105号による改正前のもの。以下同じ。)第68条《資産の評価損が計上できる場合》第1項第1号に掲げる事実が生じた場合であるが、請求人及びD社は、E社(以下「倉庫業者」という。)に本件返品雑誌等を含む棚卸資産の管理を委託しているのであるから、本件返品雑誌等について評価損が計上できる特定の事実が生じたとは認められない。
 請求人の平成20年12月期及びD社の本件各被合併法人事業年度の終了時(期末時)における本件返品雑誌等に係る棚卸資産の評価額は、各法人が選定した棚卸資産の評価方法によるべきである。

(3) 争点3について

イ 請求人
 請求人の平成20年12月期の確定申告に係る期首製品棚卸高○○○○円についても、当該事業年度の前事業年度末(平成19年12月末日)において請求人が保有していた本件未出荷品が計上漏れとなっているのであるから、当該期首製品棚卸高に当該計上漏れ額を加算したところで売上原価の額を計算すべきである。
 なお、売上原価の額を計算するに当たり、本件返品雑誌等の評価額は、争点2と同様、期末時価まで評価減することが認められるべきである。
ロ 原処分庁
 請求人は、平成20年12月期の期首製品棚卸高に計上漏れ額があるから、その分だけ当該事業年度の売上原価の額が過少となっている旨主張するが、請求人から、平成20年12月期の期首製品棚卸高について計上漏れがあると認めるに足る証拠の提出等はないから、請求人の主張を認めることはできない。

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3 判断

(1) 争点1について

イ 法令解釈
 法人税法第130条《青色申告書等に係る更正》第2項が青色申告に係る法人税について更正をする場合には更正通知書に更正の理由を付記すべきものとしているのは、法が、青色申告制度を採用し、青色申告にかかる所得の計算については、それが法定の帳簿組織による正当な記載に基づくものである以上、その帳簿の記載を無視して更正されることがないことを納税者に保障した趣旨にかんがみ、処分庁の判断の慎重、合理性を担保してそのし意を抑制するとともに、更正の理由を相手方に知らせて不服申立ての便宜を与える趣旨に出たものというべきであり、したがって、帳簿書類の記載自体を否認して更正をする場合において、更正通知書に付記すべき理由としては、単に更正にかかる勘定科目とその金額を示すだけではなく、そのような更正をした根拠を帳簿記載以上に信ぴょう力のある資料を摘示することによって具体的に明示することを要する(最高裁判所昭和60年4月23日第三小法廷判決)。
ロ 認定事実
 原処分関係資料、当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。
(イ) 請求人が原処分庁に提出した「平成20年12月末在庫一覧表」は、平成20年12月末時点における倉庫業者の保管するすべての棚卸資産の数量の報告に基づき作成したものであり、その記載内容には誤りがなく、信ぴょう性があると認められる。
(ロ) 請求人が原処分庁に提出した本件各被合併法人事業年度末における「期末在庫の明細」は、本件各被合併法人事業年度末時点における倉庫業者の保管するすべての棚卸資産の数量の報告に基づき作成したものであり、その記載内容には誤りがなく、信ぴょう性があると認められる。
ハ 本件への当てはめ
 原処分庁は、上記1の(4)のヘのとおり、本件各更正通知書の棚卸しに関する更正の理由欄に「期末商品棚卸高計上漏れ」と記載し、請求人から提出された「平成20年12月末在庫一覧表」を基礎とした旨、又は、請求人から提出された「期末在庫の明細」を基礎とした旨記載し、さらに、これらの請求人から提出された資料の写しを本件各更正通知書に添付していたことが認められる。
 そうすると、本件各更正通知書の更正の理由には、上記ロのとおり、信ぴょう性のある各資料を摘示して計上漏れとなっていた各棚卸資産の品名、数量及び製造原価を具体的に明示していることから、法の要求する更正の理由付記に欠けるところはない。したがって、理由付記に不備があるとする請求人の主張には理由がない。

(2) 争点2について

イ 法令解釈
(イ) 法人税法第29条《たな卸資産の売上原価等の計算及びその評価の方法》第1項は、法人の棚卸資産につき、同法第22条《各事業年度の所得の金額の計算》第3項(各事業年度の損金の額に算入する金額)の規定により各事業年度の所得金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入する金額を算定する場合におけるその算定の基礎となる当該事業年度終了の時において有する棚卸資産の価額は、その法人が棚卸資産について選定した評価の方法により評価した金額とする旨規定している。
 これらの規定によれば、法人が当該事業年度終了の時において有する棚卸資産については、その評価した金額が当該事業年度において売上原価等として損金の額に算入する金額の算定の基礎となることから、法人が期末時において有する棚卸資産については、そのすべてについて、その法人が選定した評価の方法により評価しなければならないものと解される。
(ロ) 法人税法第33条第2項及び法人税法施行令第68条第1項第1号イ、ロ又はニの各規定によれば、内国法人が、棚卸資産について、災害により著しく損傷したこと、著しく陳腐化したこと、又はこれらに準ずる特別の事実が生じたことにより、当該資産の価額がその帳簿価額を下回ることとなった場合に、当該資産の評価換えをして損金経理によりその帳簿価額を減額した場合には、その減額した部分の金額のうち、当該資産の期末時価とその評価換え直前の帳簿価額の差額に達するまでの金額を資産の評価損として所得金額の計算上、損金の額に算入することとされている。なお、損金経理とは、法人税法第2条《定義》第25号で規定するとおり、法人が確定した決算において費用又は損失として経理することである。
ロ 認定事実
 原処分関係資料、請求人提出資料及び当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。
(イ) 請求人及びD社は、書籍、書籍DVD、雑誌及び雑誌DVD等の棚卸資産について、その入出庫、保管及び廃棄をいずれも倉庫業者に委託していた。倉庫業者からは、毎月末の品名及び数量の明細を記載した報告書が請求人及びD社に提出されていた。
(ロ) 請求人及びD社の棚卸資産の評価の方法は、いずれも法人税法施行令第28条《棚卸資産の評価の方法》第1項第1号のホに規定する最終仕入原価法である。なお、請求人及びD社は、製造原価を基礎としてこれらの棚卸資産の取得価額を算定している。
(ハ) 本件各更正処分に係る本件返品雑誌等の棚卸計上漏れ額は、いずれも上記(ロ)の最終仕入原価法により評価された金額である。
(ニ) 請求人に対する平成20年12月期の更正処分は、確定申告において、期首製品棚卸高を○○○○円及び期末製品棚卸高を○○○○円としていたのに対し、期首製品棚卸高を同額のままとし、期末製品棚卸高を○○○○円とするものであった。
 なお、請求人が、平成20年12月期及びその前事業年度において損金経理によりこれらの棚卸資産について帳簿価額を減額した事実はない。
(ホ) D社の本件各被合併法人事業年度の確定申告に係る期末棚卸高及び本件各被合併法人事業年度の各更正処分に係る期末棚卸高は、別表2の「申告額」欄及び「更正額」欄のとおりである。
 なお、D社が、本件各被合併法人事業年度において損金経理によりこれらの棚卸資産について帳簿価額を減額した事実はない。
ハ 本件への当てはめ
 棚卸資産につき法人税法第33条第2項に規定する評価損の計上が認められるのは、災害により著しく損傷したこと、棚卸資産が著しく陳腐化したこと及びこれらに準ずる特別の事実が生じたことにより、当該資産の価額がその帳簿価額を下回ることとなった場合において、その法人が当該資産の評価換えをして損金経理によりその帳簿価額を減額した場合であるところ、本件返品雑誌等については、評価損の計上が認められる状態にあったと認めるに足る証拠もなく、また、請求人及びD社は、本件返品雑誌等について、その計上額と請求人の主張する期末時価との差額を損金経理により帳簿価額を減額した事実が認められない。よって、請求人は本件返品雑誌等について、その評価損を損金の額に算入することはできない。
ニ 請求人の主張について
 請求人が主張するように書店等から返品された雑誌等については、月刊誌等の定期刊行物で新号の出版により通常の店頭販売がされなくなったものや、販売されないまま保管され、たなざらしによる破損や変色したものが発生しても不自然ではないから、本件返品雑誌等についても、法人税法施行令第68条第1項第1号ロにいう著しい陳腐化や物損等により価値が低下し、法人税法第33条第2項に規定する評価損の計上が認められる状態のものが含まれていた可能性があると思料されるところではあるが、請求人及びD社は、上記ハのとおり、評価損を損金の額に算入する要件の一つである損金経理による帳簿価額の減額を行っておらず、当該要件を満たさないのであるから、請求人の主張には理由がない。

(3) 争点3について

イ 認定事実
(イ) 請求人の平成20年12月期の損益計算書によれば、売上原価の額は、(期首商品棚卸高+期首製品棚卸高)+事業部支出+IT費用+当期製品製造原価−(期末商品棚卸高+期末製品棚卸高)の算式によって求められている。
(ロ) 請求人から当審判所に提出された「2007年12月請求人様棚卸報告」と題する書面は、「平成20年12月末在庫一覧表」と同様に、倉庫業者が保管するすべての棚卸資産の数量の報告に基づき請求人が作成したものであり、信ぴょう性があると認められるところ、当該書面によれば、請求人の平成20年12月期における期首製品棚卸高は○○○○円であったことが認められる。
ロ 本件への当てはめ
 請求人の平成20年12月期の確定申告における期首製品棚卸高には、本件返品雑誌等及び本件未出荷品の評価額が含まれていない上、上記(2)のハのとおり、本件返品雑誌等に関しては評価損が認められないのであるから、平成20年12月期の期首製品棚卸高は、上記イの(ロ)のとおり、○○○○円となる。
 そうすると、法人税法第22条第3項第1号は、当該事業年度の収益に係る売上原価の額を損金の額に算入する旨規定しているところ、上記イの(イ)の算式に基づく、請求人の平成20年12月期の売上原価の額は、次の(イ)のとおり、○○○○円となるから、平成20年12月期の更正処分に係る売上原価の額○○○○円(次の(ロ))との差額○○○○円は請求人の平成20年12月期の所得金額の計算上、損金の額に算入されることとなる。
(イ) (期首商品棚卸高○○○○円+期首製品棚卸高○○○○円)+事業部支出○○○○円+IT費用○○○○円+当期製品製造原価○○○○円−(期末商品棚卸高○○○○円+期末製品棚卸高○○○○円)=○○○○円
(ロ) (期首商品棚卸高○○○○円+期首製品棚卸高○○○○円)+事業部支出○○○○円+IT費用○○○○円+当期製品製造原価○○○○円−(期末商品棚卸高○○○○円+期末製品棚卸高○○○○円)=○○○○円

(4) 本件各更正処分について

イ 本件各更正処分のうち、請求人の平成20年12月期の更正処分は、上記(3)のロのとおり、売上原価の額を○○○○円とすべきであるから、請求人の平成20年12月期の売上原価の額を当該金額としたところの所得金額は、○○○○円となり、当該更正処分の所得金額○○○○円を下回るから、当該更正処分は、別紙1の「取消額等計算書」のとおり、その一部を取り消すべきである。
ロ 本件各更正処分のうち、D社の本件各被合併法人事業年度の更正処分は、上記(2)のハのとおり、いずれも適法である。

(5) 本件各賦課決定処分について

イ 本件各更正処分のうち、平成20年12月期の更正処分は、上記(4)のイのとおり、その一部を取り消すべきであるから、別紙1の「取消額等計算書」のとおり、平成20年12月期の過少申告加算税の賦課決定処分もその一部を取り消すべきである。
ロ 本件各更正処分のうち、本件各被合併法人事業年度の更正処分は、上記(4)のロのとおり、いずれも適法であり、また、当該各更正処分により納付すべき税額の計算の基礎となった事実が当該各更正処分前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて、国税通則法第65条《過少申告加算税》第4項に規定する正当な理由があるとは認められないことから、同条第1項及び第2項の規定に基づいてなされた被合併法人平成20年12月期を除く本件各被合併法人事業年度の過少申告加算税の賦課決定処分はいずれも適法である。

(6) その他

 被合併法人平成20年12月期については、過少申告加算税の賦課決定処分がされていないので、平成22年3月30日付でされたとする被合併法人平成20年12月期の過少申告加算税の賦課決定処分に係る審査請求は不適法なものである。
 原処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。

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