(平成23年3月8日裁決)

《裁決書(抄)》

1 事実

(1) 事案の概要

 本件は、建設業を営む審査請求人(以下「請求人」という。)が、外注先に支払った金員を建設工事に係る支払対価であるとして損金の額及び課税仕入れに係る支払対価の額に算入して法人税並びに消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)の確定申告をしたところ、原処分庁が、当該金員は外注先に対する寄附金に該当し、また、請求人が当該金員を建設工事に係る支払対価に仮装していたとして、更正処分及び重加算税の賦課決定処分を行ったことから、請求人がその全部の取消しを求めた事案である。

(2) 審査請求に至る経緯

イ 請求人は、平成16年9月1日から平成17年8月31日まで及び平成17年9月1日から平成18年8月31日までの各事業年度(以下「平成17年8月期」及び「平成18年8月期」といい、これらを併せて「本件各事業年度」という。)の法人税の各更正処分(以下「本件法人税各更正処分」という。)及び重加算税の各賦課決定処分について、平成20年12月24日に審査請求をした。
 この審査請求に至る経緯は、別表1記載のとおりである。
ロ 請求人は、平成16年9月1日から平成17年8月31日まで及び平成17年9月1日から平成18年8月31日までの各課税期間(以下「平成17年8月課税期間」及び「平成18年8月課税期間」といい、これらを併せて「本件各課税期間」という。)の消費税等の各更正処分(以下「本件消費税等各更正処分」といい、本件法人税各更正処分と併せて「本件各更正処分」という。)並びに重加算税の各賦課決定処分(以下、法人税に係る重加算税の各賦課決定処分と併せて「本件各賦課決定処分」という。)について、平成20年12月24日に審査請求をした。
 この審査請求に至る経緯は、別表2記載のとおりである。
ハ なお、請求人は、平成21年7月○日に商号をG’社からG社に変更した。

(3) 関係法令

 別紙5のとおりである。

(4) 基礎事実

イ 請求人は、別表3及び別表4の「外注先」欄記載の各外注先(以下「本件各外注先」という。)に対し、建設工事に係る発注書を交付し、これを基に本件各外注先が作成・交付した請求書に基づき、会計帳簿に別表3及び別表4の「計上工事」欄記載のとおり外注費(以下「本件外注費」という。)を計上し、これを本件各事業年度の損金の額及び本件各課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額に算入して法人税及び消費税等の確定申告をした。
ロ 原処分庁は、これに対し、請求人が会計帳簿に計上した本件外注費に係る工事が実際に行われておらず、本件外注費に係る本件各外注先への支出金(以下「本件支出金」という。)が法人税法第37条第7項に規定する寄附金に当たり、また、請求人が本件支出金を建設工事に係る支払対価に仮装していたとして、本件各更正処分及び本件各賦課決定処分をした。

(5) 争点

イ 本件支出金は、法人税法第37条第7項に規定する寄附金に当たるか否か。
ロ 本件支出金の額は、消費税法第30条第6項に規定する課税仕入れに係る支払対価の額に当たるか否か。

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2 主張

(1) 争点イについて

イ 原処分庁
 次の理由から、本件外注費が工事の対価であるとは認められず、本件支出金は、単に金銭の贈与がなされたものとみるのが相当であるから、法人税法第37条第7項に規定する寄附金に当たる。
(イ) 本件各外注先が本件外注費に係る工事を施工した事実がない。
(ロ) 請求人の常務取締役で工事受発注の責任者のK(以下「K常務」という。)が外注費の額の計算の基礎としたとする本件各外注先からのメモ等の保存がなく、また、請求人から提示された見積書等の資料からは、請求人が主張する各現場において本件各外注先に対する未払の工事対価が存在したということはできず、他にこれを裏付ける資料もない。
(ハ) K常務が、本件各外注先からメモ等の提出があった際に「考えておく」又は「考慮する」等と答えていたなどと申述しているところ、本件支出金は、必ずしもその支払が約束されているものではなく、その支払がなされるか否かは、請求人の決算期末の資金状況により、請求人側の全くの任意に決定されるものと認められるから、本件支出金は、請求人が本件各外注先の経営状況等を考慮し、請求人の利益の中から本件各外注先に対して支払った対価性のない金員とみるのが相当である。
ロ 請求人
 次のとおり、本件支出金は、いずれも本件各外注先が実際に施工した別表3及び別表4の「請求人主張工事」欄記載の各現場(以下「実際現場」という。)に係る工事の対価であり、その支払について請求人が恣意的に決定したものではなく、経済的合理性のある支出金であるから、金銭の贈与には該当せず、法人税法第37条第7項に規定する寄附金には当たらない。
(イ) 請求人は、工事現場ごとに予算管理し、赤字現場を出さないように配慮しているところ、別表3の順号1から29まで及び別表4の順号1から34までの「計上工事」欄記載の工事(以下「本件付替工事」という。)に係る支出金は、次のとおり、実際に行った工事に係る外注費を他の現場に付け替えて発注書を作成し、本件各外注先から請求を受けたものであり、本件各外注先から提出された各「工事内容等証明書」(以下「工事内容等証明書」という。)にも記載されているとおり、いずれも本件各外注先が実際に施工した工事の対価である。
A L社に対する支払について
(A) 請求人がL社に対する外注費として計上した別表3の順号1から6までの「計上工事」欄記載の工事の合計額○○○○円は、同欄記載の各現場に係る工事の対価ではなく、L社が実際に施工した平成15年3月竣工のcアパート、平成15年7月竣工のdアパート、平成15年12月竣工のeアパート7棟、平成16年6月竣工のfアパート4棟及び平成16年3月竣工のgアパート3棟の各現場(以下、順次「cアパート現場」、「dアパート現場」、「eアパート現場」、「fアパート4棟現場」及び「gアパート現場」といい、これらの現場を併せて「本件アパート現場」という。)に係る工事の対価である。
 本件アパート現場の各現場においては、当初の工事予定にない追加工事が発生し、請求人の工事責任者であったMが追加工事に係る代金を支払う約束でL社に工事を施工させたが、その支払がないため、L社からK常務に請求があり、これを支払ったものである。
(B) 別表4の順号1から8までの「計上工事」欄記載の工事の合計額○○○○円は、同欄記載の各現場に係る工事の対価ではなく、L社が実際に施工したN社の発注に係る建売現場(以下「N社建売現場」という。)に係る工事の対価である。
 請求人は、L社からN社建売現場についてどうしても収支が合わないと追加請求を受け、L社の代表者とK常務が協議し、同現場の建売住宅87棟に1棟当たり○○○○円を乗じた○○○○円から○○○○円を値引きした○○○○円を支払ったものである。
(C) 別表4の順号9の「計上工事」欄記載の工事の額○○○○円は、同欄記載の現場に係る工事の対価ではなく、L社が実際に施工したP苑○○介護施設の現場(以下「P苑○○現場」という。)に係る工事の対価である。
 P苑○○現場においては、請求人の工事手順に誤りがあったことによるやり直し工事や鉄骨・鉄筋の価格上昇があったことから、L社に当初の発注金額を超える大きな工事費用が生じ、L社からやり直し工事等に係る工事代金の請求を受けて、これを支払ったものである。
B Q社に対する支払について
(A) 請求人がQ社に対する外注費として計上した別表3の順号7から16までの「計上工事」欄記載の工事の合計額○○○○円は、同欄記載の各現場に係る工事の対価ではなく、Q社が実際に施工したcアパート現場に係る工事の対価である。
 cアパート現場においては、Q社が発行した平成15年3月15日付見積書にもあるとおり、追加工事が発生し、Mが、Q社から当該追加工事分の請求書を竣工前に受領していたが、請求人の同現場の収支が赤字であるため、他の現場名で支払うと言って支払を延ばしていたところ、Q社から直接K常務に請求があり、これを支払ったものである。
(B) 別表4の順号10から17までの「計上工事」欄記載の工事の合計額○○○○円は、同欄記載の各現場に係る工事の対価ではなく、Q社が実際に施工したP苑○○現場に係る工事の対価である。
 P苑○○現場においては、請求人による必要工事の見落としや見積りミス、施工ミスが頻発し、Q社が発行した平成17年8月8日付見積書にもあるとおり、基礎工事の段階から一部やり直しが発生し、Q社に発注金額を超える大幅な工事経費が生じたため、Q社からやり直し工事に係る工事代金の請求を受け、これを支払ったものである。
C J社に対する支払について
 請求人がJ社に対する外注費として計上した別表3の順号17及び18の「計上工事」欄記載の工事の合計額○○○○円は、同欄記載の各現場に係る工事の対価ではなく、R社から依頼を受けたアフターメンテナンス工事15現場(以下「本件メンテナンス現場」という。)に係る工事の対価である。
 請求人は、J社と金額を取り決めないまま同社に補修・修繕工事を発注したが、後日、同社から支払の請求を受け、J社の代表者とK常務が協議の上、工事金額を確定させてこれを支払ったものである。
D S社に対する支払について
(A) 請求人がS社に対する外注費として計上した別表4の順号18から20までの「計上工事」欄記載の工事の合計額○○○○円は、同欄記載の各現場に係る工事の対価ではなく、S社の関連会社であるT社が施工したP苑○○現場に係る工事の対価である。
 P苑○○現場においては、U社i営業所発行の「出荷証明書」(以下「本件出荷証明書」という。)に平成18年4月14日付で追加の床材料が出荷された旨記載されているとおり、請求人の工事手順の誤りなどから、T社においてやり直し工事が発生し、その工事代金の請求を受けたものであり、請求人の資金繰りの都合上、支払が遅れていたものである。
 なお、S社に対する支払となっているのは、T社からの要請によるものであり、支払先が異なっているものの、実際の工事に基づく正当な工事対価の支払である。
(B) 別表4の順号21から26までの「計上工事」欄記載の工事の合計額○○○○円は、同欄記載の各現場に係る工事の対価ではなく、S社が実際に施工したP苑○○現場及びN社建売現場に係る工事の対価である。
 P苑○○現場においては、ハツリ工事に伴う防水のやり直し工事等が発生し、また、N社建売現場においては、請求人の請負金額自体が安く、外注先への発注額も低く抑えていたところ、S社から通常の工事金額を支払うよう請求されたことから、S社の代表者とK常務が協議して、P宛○○現場の追加分として○○○○円、N社建売現場の追加分として同現場の建売住宅87棟に1棟当たり○○○○円を乗じた○○○○円の合計額○○○○円を支払うことにしたものである。
E V社に対する支払について
(A) 請求人がV社に対する外注費として計上した別表3の順号19から29までの「計上工事」欄記載の工事の合計額○○○○円は、同欄記載の各現場に係る工事の対価ではなく、V社が実際に施工したeアパート現場、fアパート4棟現場及びgアパート現場の各現場に係る工事の対価である。
 これらの各現場においては、見積りミスにより当初の予定にない追加工事が発生し、Mが追加分の代金も支払う約束で工事を施工させたが、V社に対し長期間にわたり支払を保留していたため、V社から直接K常務に請求があったものであり、事実関係を確認するなどしたため、支払が遅れたものである。
 なお、金額については、eアパート現場の7棟について、1棟当たり基礎工事分○○○○円及び残土搬出工事分○○○○円、fアパート4棟現場の4棟について、1棟当たり基礎工事分○○○○円及び残土搬出工事分○○○○円、gアパート現場の3棟について、1棟当たり基礎工事分○○○○円及び残土搬出工事分○○○○円とし、これらの合計額から○○○○円を値引きした○○○○円を支払ったものである。
(B) 別表4の順号27から33までの「計上工事」欄記載の工事の合計額○○○○円は、同欄記載の各現場に係る工事の対価ではなく、V社が実際に施工したN社建売現場に係る工事の対価である。
 N社建売現場については、請求人がN社から受注額について厳しく査定されたため、外注先への発注額も低く抑えていたところ、V社から1棟当たり○○○○円程度の追加金額が必要と請求されたことから、V社の代表者とK常務が協議し、施工した87棟につき全部で○○○○円を支払うことで合意したものである。
 なお、V社への発注単価は、「V社への基礎発注単価比較表」(以下「本件単価比較表」という。)のとおり、W社に係る建売住宅と比較して、1棟当たり○○○○円低い金額となっている。
(C) 別表4の順号34の「計上工事」欄記載の工事の額○○○○円は、同欄記載の現場に係る工事の対価ではなく、V社が実際に施工したP苑○○現場に係る工事の対価である。また、別表4の順号35の「計上工事」欄記載の工事の額○○○○円は、同欄記載のとおり、P苑○○現場に係る工事の対価である。
 P苑○○現場においては、V社あての生コン代等の請求書にもあるとおり、見積り時点では把握できない工事、予想以上の人工及び手直し工事が発生し、V社から○○○○円の追加支払をしてほしいとの請求を受けたが、請求人としても利益のない現場であったことから金額を値引いてもらい、○○○○円を支払ったものである。
(ロ) 別表3の順号30から40まで及び別表4の順号36から67までの「計上工事」欄記載の各工事は、同欄記載の各現場(以下「本件施工現場」という。)の工期短縮・突貫工事等のために発注したものであり、V社において同現場の工事を実際に施工したものである。これらの計上金額は、あくまで本件施工現場の本体工事の未払金であって、先に支払ったものと区別するため、「本体追加工事」等の名称を使って計上したものであり、その支払は、実際の工事対価の支払である。

(2) 争点ロについて

イ 原処分庁
 本件支出金は、対価性のない金員であるから、消費税法第30条第6項に規定する課税仕入れに係る支払対価の額に当たらない。
ロ 請求人
 本件支出金は、実際に施工された工事に係る対価であるから、消費税法第30条第6項に規定する課税仕入れに係る支払対価の額に当たる。

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3 判断

(1) 争点イについて

イ 法令解釈
 法人税法第37条第7項に規定する「寄附金」とは、広告宣伝費及び見本品の費用その他これらに類する費用並びに交際費、接待費及び福利厚生費とされるべきもののような販売経費及び一般管理費としての性質を有するものでない限り、名義のいかんや業務との関連性の有無を問わず、法人が直接的な対価を伴わないでした支出をさすものと解される。
 また、法人が支出した金員が工事の対価に該当するというためには、当該工事のうち、当該金員によって施工された工事部分が存在していなければならないと解するのが相当である。
ロ 認定事実
 請求人提出資料、原処分関係資料及び当審判所の調査の結果によれば、次の各事実が認められる。
(イ) L社の本件アパート現場
A 請求人は、平成15年3月竣工のcアパート現場においてL社が施工した屋根工事、外壁工事及びクリーニング工事の代金について、L社から平成15年2月20日付で総額○○○○円の請求を受け、同日付でその全額を同現場の外注費として計上した(以下、請求人が実際現場に関し会計帳簿に当初計上した外注費を「当初計上外注費」という。)。このL社発行の請求書には、摘要欄等に「屋根工事 一式 ○○○○円」、「外壁工事 一式 ○○○○円」及び「クリーニング 一式 ○○○○円」と記載されている。
B 請求人は、平成15年7月竣工のdアパート現場においてL社が施工した板金・外壁工事の代金について、L社から平成15年6月20日付で○○○○円の請求を受け、同日付でその全額を同現場の当初計上外注費として計上した。このL社発行の請求書には、摘要欄等に「板金、外壁工事 一式 ○○○○円」と記載されている。
C 請求人は、平成15年12月竣工のeアパート現場においてL社が施工した屋根・板金工事、外壁工事及びクリーニング工事の代金について、L社から平成15年10月20日付で総額○○○○円の請求を受け、同日付でその全額を同現場の当初計上外注費として計上した。このL社発行の請求書には、摘要欄等に「屋根、板金工事 一式 ○○○○円」、「外壁サイディング工事 一式 ○○○○円」及び「ルームクリーニング 1式 ○○○○円」と記載されている。
D 請求人は、平成16年3月竣工のgアパート現場においてL社が施工した屋根工事、外装・板金工事及びクリーニング工事等の代金について、L社から平成16年3月20日付で総額○○○○円、同年4月20日付で総額○○○○円の請求を受け、それぞれ同日付でその全額を同現場の当初計上外注費として計上した。L社発行の屋根工事に係る各請求書には、請求金額のほか、摘要欄等に「屋根コロニアル一式」、「雨樋工事一式」、「板金諸経費 1式」及び「上げ裏サイディング工事 1式」と記載され、外装・板金工事等の各請求書には、細目、数量、単位及び単価が記載されている。
E 請求人は、平成16年6月竣工のfアパート4棟現場においてL社が施工した工事の代金について、L社から平成16年4月20日付で屋根工事代金○○○○円、同年5月20日付で外装・板金・防水工事代金○○○○円、同年6月20日付でクリーニング代金○○○○円の請求を受け、それぞれ同日付でその全額を同現場の当初計上外注費として計上した。L社発行の屋根工事に係る請求書には、摘要欄等に「屋根工事一式 1式 ○○○○円」と記載され、外装・板金・防水工事及びクリーニングの各請求書には、細目、数量、単位及び単価が記載されている。
F L社が作成した平成20年12月16日付の工事内容等証明書には、まる1上記AからEまでの工事代金のほか、平成17年9月20日付で、cアパート現場○○○○円、dアパート現場○○○○円、eアパート現場○○○○円、gアパート現場○○○○円及びfアパート4棟現場○○○○円の総額○○○○円を他の工事名で請求し、これらの合計額から○○○○円を値引きして○○○○円を受領した旨、まる2これらの工事を確かに施工し、施工事実なく受領した金額はない旨が記載されている。
(ロ) Q社のcアパート現場
A 請求人は、cアパート現場においてQ社が施工した工事の代金について、Q社から平成15年6月20日付で○○○○円の請求を受け、同日付でその全額を同現場の当初計上外注費として計上した。
B Q社が発行した平成15年3月15日付見積書には、cアパート現場の追加工事に係る見積金額が○○○○円である旨記載されている。
C 請求人が作成したcアパート現場の工事台帳によれば、同現場の竣工日は平成15年3月20日であり、同月18日までに同現場の電気料1,293円が発生したが、同日以降に電気料は発生していない。
(ハ) Q社のP苑○○現場
A 請求人は、P苑○○現場においてQ社が施工した工事の代金について、Q社から平成18年1月20日付で○○○○円、同年3月20日付で○○○○円の請求を受け、それぞれ同日付でその全額を同現場の当初計上外注費として計上した。Q社発行の平成18年1月20日付請求書には、摘要欄に「設備工事(内金)」、同年3月20日付請求書には、摘要欄に「給排水工事(受水槽含む)残金」とそれぞれ記載されている。
B 請求人が提出した「Q社工事内容」と題する書類には、Q社がP苑○○現場において施工したとする工事の内容等が記載されているが、金額に関する記載がなく、請求人が主張するやり直し工事等の具体的内容も記載されていない。
C Q社が発行した平成17年8月8日付の見積書には、具体的な見積内容のほか、「7月22日図面のため、詳細協議事項等見積もりは別途とする。」及び「協議事項、受水槽・浄化槽等工事別途見積もりとする。」と記載されている。
(ニ) L社のN社建売現場
A 請求人は、N社建売現場においてL社が施工した各建売住宅の屋根工事及びアルミ板金工事等の代金について、同現場の当初計上外注費として計上した。
B 請求人が作成した「工事一覧表」と題する書類(以下「本件工事一覧表」という。)には、N社建売現場に係る各建売住宅ごとの工事コード、現場名、契約金額、材料費及び外注費の額などが記載されている。
C L社が作成した平成20年12月16日付の工事内容等証明書には、まる1平成18年8月20日付で、N社建売現場に係る屋根工事等の代金○○○○円を他の工事名で請求した旨、まる2これらの工事を確かに施工し、施工事実なく受領した金額はない旨が記載されている。
(ホ) S社のN社建売現場
A 請求人は、N社建売現場においてS社が施工した防水・塗装・コーキング工事の代金について、同現場の当初計上外注費として計上した。
B S社が作成した平成20年12月19日付の工事内容等証明書には、まる1平成18年8月20日付で、N社建売現場に係る防水・塗装・コーキング他の工事代金○○○○円を他の工事名で請求した旨、まる2これらの工事を確かに施工し、施工事実なく受領した金額はない旨が記載されている。
(ヘ) V社のN社建売現場
A 請求人は、N社建売現場においてV社が施工した各建売住宅の基礎工事及び建て方工事等の代金について、同現場の当初計上外注費として計上した。
B 本件単価比較表には、N社建売現場に係るV社への発注金額について、W社に係る建売住宅と比較して、1棟当たり○○○○円低い金額である旨記載されているが、N社建売現場に係る発注金額が、すべて1階坪数の単価により計算され、その平均坪単価が○○○○円であるのに対し、W社に係る発注金額が、延床坪数の単価によるものと1階坪数の単価によるものとが混在しているところ、そのうち1階坪数の単価により発注金額を計算している29棟の平均坪単価は○○○○円である。
C V社が作成した工事内容等証明書には、まる1平成18年8月20日他付で、N社建売現場に係る基礎・残土搬出他の工事代金○○○○円を他の工事名で請求した旨、まる2これらの工事を確かに施工し、施工事実なく受領した金額はない旨が記載されている。
(ト) L社のP苑○○現場
A 請求人は、P苑○○現場においてL社が施工した屋根工事代金について、L社から平成18年3月20日付で○○○○円の請求を受け、同日付でその全額を同現場の当初計上外注費として計上した。このL社発行の請求書には、摘要欄等に「屋根工事材料 1式 ○○○○円」及び「屋根工事工賃 1式 ○○○○円」と記載されている。
B 請求人が提出した「L社工事内容」と題する書類には、L社がP苑○○現場において施工したとする工事の内容等が記載されているが、金額に関する記載がなく、請求人が主張するやり直し工事等の具体的内容も記載されていない。
C 請求人のP苑○○現場に係る工事台帳によれば、請求人は、建起工業に対する同現場の鉄骨工事代金について、平成18年1月20日付で○○○○円、同年2月20日付で○○○○円及び同年3月20日付で○○○○円をそれぞれ同現場の外注費に計上し、同現場の竣工後に建起工業に追加の外注費を支払っていない。
D L社が作成した平成20年12月16日付の工事内容等証明書には、まる1上記Aの工事代金のほか、平成18年8月20日付で、P苑○○現場に係る屋根工事他の工事代金○○○○円を他の工事名で請求した旨、まる2これらの工事を確かに施工し、施工事実なく受領した金額はない旨が記載されている。
(チ) T社のP苑○○現場
A 請求人は、P苑○○現場においてT社が施工した工事代金について、T社から平成18年3月20日付で内装工事代金○○○○円、同年4月20日付で内装工事追加工事代金○○○○円の請求を受け、それぞれ同日付でその全額を同現場の当初計上外注費として計上した。T社発行の平成18年3月20日付請求書には、「内装工事(壁・床・巾木)1式 ○○○○円」と記載され、同年4月20日付請求書には、「内装工事追加工事 1式 ○○○○円」と記載されている。
B 請求人が提出した「T社工事内容」と題する書類には、T社がP苑○○現場において施工したとする工事の内容等が記載されているが、金額に関する記載がなく、請求人が主張するやり直し工事等の具体的内容も記載されていない。
C 本件出荷証明書によれば、P苑○○現場に係る床材料は、平成18年3月17日に432メートル、同月27日に300メートル、同月28日に18メートル、同年4月14日に306メートルがそれぞれ出荷された旨記載されている。
D T社が作成した平成20年12月16日付の工事内容等証明書には、まる1上記Aの工事代金のほか、平成18年7月20日付で、P苑○○現場に係る内装工事及び一部やり直し工事の代金○○○○円を他の工事名で請求した旨、まる2これらの工事を確かに施工し、施工事実なく受領した金額はない旨が記載されている。
(リ) S社のP苑○○現場
A 請求人は、P苑○○現場においてS社が施工した防水・塗装工事の代金について、S社から平成18年3月20日付で○○○○円の請求を受け、同日付でその全額を同現場の当初計上外注費として計上した。このS社発行の請求書には、「防水・塗装工事 1式 ○○○○円」と記載されている。
B 請求人が提出した「S社工事内容」と題する書類には、S社がP苑○○現場において施工したとする工事の内容等が記載されているが、金額に関する記載がなく、請求人が主張するやり直し工事等の具体的内容も記載されていない。
C S社が作成した平成20年12月19日付の工事内容等証明書には、まる1上記Aの工事代金のほか、平成18年8月20日付で、P苑○○現場に係る防水・塗装工事及び一部やり直し工事の代金○○○○円を他の工事名で請求した旨、まる2これらの工事を確かに施工し、施工事実なく受領した金額はない旨が記載されている。
(ヌ) V社のP苑○○現場
A 請求人は、P苑○○現場においてV社が施工した基礎工事及び内部造作工事の代金について、V社から平成17年12月20日付で○○○○円、平成18年1月20日付で○○○○円、同年2月20日付で○○○○円、同年3月20日付で○○○○円及び同年6月20日付で○○○○円の請求を受け、それぞれ同日付でその全額を同現場の当初計上外注費として計上した。V社発行の平成17年12月20日付請求書には、「基礎工事(内金)1式 ○○○○円」、平成18年1月20日付請求書には、「内部造作(内金)1式 ○○○○円」、同年2月20日付請求書には、「工事内金(内部造作)1式 ○○○○円」、同年3月20日付請求書には、「基礎残金 1式 ○○○○円」及び同年6月20日付請求書には、「本体追加工事 1式 ○○○○円」とそれぞれ記載されている。
B 請求人が提出した「V社工事内容」と題する書類には、V社がP苑○○現場において施工したとする工事の内容等が記載されているが、金額に関する記載がなく、請求人が主張するやり直し工事等の具体的内容も記載されていない。
C 請求人が提出したV社あての生コン代等の請求書によれば、V社の仕入先又は外注先の各業者は、平成17年12月29日付、平成18年1月10日付、同月31日付、同年2月10日付、同月28日付、同年3月10日付、同月15日付、同年4月10日付及び同年5月10日付で、V社に対し、P苑○○現場に係る材料及び手間人工代等の請求をした。
D V社が作成した工事内容等証明書には、まる1上記Aの工事代金のほか、平成18年5月20日付で、P苑○○現場に係る基礎・内部造作・木工事及び一部やり直し工事の代金○○○○円を他の工事名で請求した旨、まる2これらの工事を確かに施工し、施工事実なく受領した金額はない旨が記載されている。
(ル) V社のeアパート現場
A 請求人は、eアパート現場においてV社が施工した基礎工事の代金について、V社から平成15年6月20日付で○○○○円、同年10月20日付で○○○○円の請求を受け、それぞれ同日付でその全額を同現場の当初計上外注費として計上した。V社発行の平成15年6月20日付請求書には、「基礎工事(内金)1式 ○○○○円」、同年10月20日付請求書には、「基礎工事 1式 ○○○○円」と記載されている。
B V社が作成した工事内容等証明書には、まる1上記Aの工事代金のほか、平成17年9月20日他日付で、eアパート現場に係る基礎・残土搬出工事等の代金○○○○円を他の工事名で請求した旨、まる2これらの工事を確かに施工し、施工事実なく受領した金額はない旨が記載されている。
(ヲ) V社のfアパート4棟現場
A 請求人は、fアパート4棟現場においてV社が施工した基礎工事の代金について、V社から平成16年4月20日付で○○○○円の請求を受け、同日付でその全額を同現場の当初計上外注費として計上した。このV社発行の請求書には、「ベタ基礎・土間コン一式 ○○○○円」と記載されている。
B V社が作成した工事内容等証明書には、まる1上記Aの工事代金のほか、平成17年9月20日他日付で、fアパート4棟現場に係る基礎・残土搬出工事等の代金○○○○円を他の工事名で請求した旨、まる2これらの工事を確かに施工し、施工事実なく受領した金額はない旨が記載されている。
(ワ) V社のgアパート現場
A 請求人は、gアパート現場においてV社が施工した基礎工事の代金について、V社から平成16年2月20日付で総額○○○○円の請求を受け、同日付でその全額を同現場の当初計上外注費として計上した。このV社発行の各請求書には、項目、数量、単位及び単価が記載されている。
B V社が作成した工事内容等証明書には、まる1上記Aの工事代金のほか、平成17年9月20日他日付で、gアパート現場に係る基礎・残土搬出工事等の代金○○○○円を他の工事名で請求した旨、まる2これらの工事を確かに施工し、施工事実なく受領した金額はない旨が記載されている。
(カ) J社の本件メンテナンス現場
A 請求人は、本件メンテナンス現場に係る15か所の現場を示すものとして、原処分に係る調査(以下「本件調査」という。)を担当した職員(以下「本件調査担当職員」という。)及び異議申立てに係る調査(以下「異議調査」という。)を担当した職員に対し、R社が顧客から工事の依頼を受けた際に補修内容等を記載する「メンテ受付簿」(以下「メンテ受付簿」という。)の写し15枚をそれぞれ提出した。メンテ受付簿の写し合計30枚のうち、本件調査時提出分と異議調査時提出分との間で現場所在地その他が一致して同一の現場と認められるものは、7か所の現場のみである。
 なお、これらのメンテ受付簿には、現場所在地、修理を必要とする状況及び請求人が工事の依頼を受けた日などの記載があるものの、メンテナンス工事を実際に施工した業者名及び工事代金の額は記載されていない。
B J社が作成した平成20年12月16日付の工事内容等証明書には、まる1平成17年9月20日付で、本件メンテナンス現場に係るメンテナンス工事代金○○○○円を他の工事名で請求した旨、まる2これらの工事を確かに施工し、施工事実なく受領した金額はない旨が記載されている。
(ヨ) V社の本件施工現場
A 請求人は、本件施工現場においてV社が施工した基礎工事又は建て方工事の代金について、同現場の当初計上外注費として計上した。
B V社が作成した工事内容等証明書には、本件施工現場に係る支出金が同現場の基礎工事における突貫等による通常工事との差額であり、施工事実のある工事代金である旨が記載されている。
(タ) 請求人及び本件各外注業者の申述等
A 請求人の代表取締役で本件各事業年度において請求人の専務取締役の地位にあったHが当審判所に提出した平成21年5月20日付の「申述書」には、要旨次のとおり記載されている。
(A) 前々回の調査において、赤字となった工事現場について厳しく追及されたことが発端となり、K常務を通じて全社員に、今後どんな理由があれ赤字工事は行わないようにとの指示を出した。
(B) その後、赤字工事がなくなっていく一方で、何度請求をしても「赤字だから、追加でもらうことが出来たら支払う」との理由で支払ってもらえない外注先が、たまりかねて直接K常務に交渉に来るようになった。そのような光景を目にしていた私は、決算前で全体の利益金額がある程度見えてきたこともあり、未払となっている外注費をすぐに現金で支払うことは出来ないが、手持ち手形を回して支払うことは出来る旨をK常務に伝えた。
(C) 工事原価の付替えが行われていたことを薄々感じていながら、真実に基づき帳簿を作成するという初心を忘れ、赤字工事を出さないためには仕方がないと目をつぶり、今回の税務調査で誤解を招いたことは不徳の致すところであり、今後改善を図りたい。
B Q社の代表取締役Xは、平成20年3月17日に、本件調査担当職員に対し要旨次のとおり申述した。
(A) Q社は、同社が実際に施工していない別表3の順号7から16まで及び別表4の順号10から17までの「計上工事」欄記載の各工事について、請求人から発注書が来たので、請求日に合わせて請求書を発行した。この請求は、請求人からの受注工事で赤字が出たため、請求人の社長に対して何とかしてもらえないか何度も話したことがあり、これに対するものと思っている。
(B) Q社に支払われた約○○○○円のうち、約○○○○円がP苑○○現場及びcアパート現場の赤字に対するものであり、残額が他の現場の赤字に対するものと思っている。
(C) Q社が赤字工事の明細を請求人に対し提出したことはなく、当該発注書の内容は、K常務が考えたものである。また、現場ごとの補てん金額についても知らされておらず、請求人からの支払は、過去の赤字現場全体に対する補てんであると思っている。
C L社及びJ社の代表取締役であるYは、平成20年3月7日に、本件調査担当職員に対し要旨次のとおり申述した。
(A) L社及びJ社が実際に施工していない別表3の順号1から6まで、順号17及び順号18並びに別表4の順号1から9までの「計上工事」欄記載の各工事について、K常務からあらかじめ請求内容が記載された請求人指定の請求書用紙を受け取り、これに両社の社判等を押印した。
(B) K常務から今までの赤字現場について明らかにするよう指示を受け、L社及びJ社それぞれのおおむね1年間分の赤字工事について、年月日、現場名及び金額を記載したメモを提出した。
(C) L社及びJ社のいずれについても、上記(A)の請求書の内容と上記(B)のメモの内容は、現場について一致していないが、金額についてほぼ一致している。
(D) L社及びJ社のいずれについても、上記(B)のメモは、記憶と長年の勘から作成したものであり、同じものを今から作成することができず、工事台帳を作成していないことから赤字の現場を書類で確認することもできない。
(E) L社及びJ社のいずれについても、請求人から受け取った金員が過去の赤字現場の補てん金であると思っている。
D S社の代表取締役Zは、平成20年4月16日に、本件調査担当職員に対し要旨次のとおり申述した。
(A) 別表4順号18から20までの「計上工事」欄記載の工事に係る○○○○円は、T社のP苑○○現場における赤字を埋めるために支払われたものであり、請求人からS社あてに発注書が作成されたため、S社はT社から同額の請求書を受領した。
(B) 別表4順号21から26までの「計上工事」欄記載の工事に係る○○○○円は、S社と請求人との間の年間取引の赤字工事の穴埋め額として、請求人の現場監督及びK常務と話し合って決めた額であり、これに係る発注書及び請求書を、請求人側が作成したものである。S社は、上記発注書及び請求書に記載の工事を行っていないが、請求人との取引で他の現場での工事において、相当の赤字工事となったこと等の理由もあり、請求人がその穴埋めとして支払うためのものであると思っている。
E V社の代表取締役であったjは、平成19年6月12日に、k国税局長所属の調査担当職員(以下「本件国税局職員」という。)に対し、要旨次のとおり申述した。
(A) V社は、別表4の順号34の「計上工事」欄記載の工事を施工しておらず、これに係る発注書及び請求書は、V社の赤字工事について補てんするためにK常務が作成したものである。
(B) 赤字が発生した現場は、もっと以前の現場であり、実際の赤字金額と請求金額は一致していないが、平成18年7月ころ、K常務に今までの赤字工事の現場名と赤字金額を報告したことから、上記(A)の請求金額は、その報告を基に決めた金額であると思う。K常務へ報告した際の資料は、同人に原本を渡したことから、手元にない。
F さらに、jは、平成19年7月2日に、本件国税局職員に対し、要旨次のとおり申述した。
(A) V社は、本件国税局職員が提示したV社の請求人に対する請求の一覧表に記載された各工事のうち、「本体追加工事」及び「本体応援工事」となっているもののほとんどを、施工していない。
(B) 上記(A)の請求は、請求人から赤字工事の補てんを受けるためのものであり、K常務が現場名称及び工事内容を振り分けてV社に請求させたものである。
ハ 判断
(イ) 上記2(1)ロ(イ)のとおり、請求人は、本件付替工事について、本件各外注先が、請求人が会計帳簿に記載した現場を施工していない事実を認めた上で、まる1本件付替工事に係る支出金(以下「本件付替現場支出金」という。)が、同現場とは異なる現場で本件各外注先が実際に施工した工事の代金であり、まる2別表3の順号30から40まで及び別表4の順号35から67までに記載の工事に係る支出金(以下「本件施工現場支出金」という。)については、会計帳簿に記載されたとおり、実際に施工された各現場の本体工事の追加代金等であるから、いずれも正当な工事の対価である旨主張する。支出した金員が実際に行われた工事の対価として対価性のある支出であれば、寄附金には該当しないから、争点イの判断に当たっては、本件支出金が、実際現場に係る工事の対価として、対価性があるか否かが問題となる。
 本件支出金が実際現場に係る工事の対価として対価性がないというためには、まる1実際現場における工事が行われていないこと、まる2実際現場において工事が行われていても、本件支出金がその工事代金として本件各外注先に対して支払われたものではないことのいずれかが必要となる。以上の点について、原処分庁が立証責任を負うが、通常、会計帳簿が、日々の業務の過程において、業務上の金員の動きがそのまま記載されるものであるから、特段の事情のない限り、会計帳簿に記載されたとおりの事実を認めることができる。そうすると、請求人が会計帳簿に記載された事実と異なる事実を主張する場合には、かかる事実の存在や異なる事実を会計帳簿に記載することとなった事情などの特段の事情を立証する必要が生じることとなる。
(ロ) 以上を踏まえ、実際現場について工事が行われたか、本件支出金が実際現場において行われた工事に係る対価といえるかについて検討する。
A L社の各現場について
(A) 本件アパート現場について(別表3順号1から6まで)
 本件アパート現場については、上記ロ(イ)によれば、L社によって実際に工事が行われたことが認められる。しかしながら、上記ロ(イ)AからEまでのとおり、請求人は、本件アパート現場について、本件外注費とは別個に当初計上外注費を計上していること、及びL社の作成した当初計上外注費に関する請求書には、摘要欄等に工事の内訳を示すことなく概括的に工事の名称を示して、数量を「一式」等として当初計上外注費と同じ金額が記載されていることが認められる。これらの事実からすると、特段の事情のない限り、当初計上外注費が、追加工事等も含めて本件アパート現場の工事全体に対応する対価であると推認することができる。
 この点について、請求人は、別表3の順号1から6までの本件外注費が、本件アパート現場において当初の予定にない追加工事が発生し、工事責任者が追加分も支払う約束でL社が施工した代金である旨主張し、請求人が本件アパート現場の完成工事売上高を計上した時点で工事原価として計上しなかった理由として、上記ロ(タ)A(A)のとおり、Hが、請求人において赤字工事を行わないことにしていた旨申述する。しかしながら、当初計上外注費に関する上記事実に照らすと、各現場の完成から1年以上経過した時点で、当初計上外注費に追加して本件外注費を工事代金として支払うべき特段の事情があったとは認められない。さらに、追加工事を発注した立場にあり、工事内容について熟知しているはずの請求人から、その追加工事の具体的内容や別表3の順号1から6までの本件外注費の金額の積算根拠を明らかにする主張又は資料の提出がない上、上記ロ(タ)C(E)のとおり、Yが本件外注費が過去の赤字現場の補てん金である旨申述していることや、上記ロ(タ)A(B)のとおり、Hが請求人の利益の状況によって本件外注費の支出を決定したことからすると、Yが申述する赤字工事の中に、本件アパート現場に係るものが仮に含まれていたとしても、当初合意した請負代金は当初計上外注費であり、それを超える費用が請負人に発生したことを理由に請求人が支払った金員は、当該現場に係る請負代金債務として法的義務によって支払うものではなく、あくまで請負人の経営支援のために任意に支払われたに過ぎないものと認めることができるから、別表3の順号1から6までの本件外注費が当該現場に係る工事の対価であるということはできない。
 以上の事実からすると、別表3の順号1から6までの本件支出金は、本件アパート現場に係る工事の対価ではなく、対価性のない支出であり、寄附金に該当すると解するのが相当である。
(B) N社建売現場について(別表4順号1から8まで)
 同現場もまた、上記ロ(ニ)によれば、実際に工事が行われたことが認められるが、当初計上外注費が存在しており、特段の事情のない限り、当初計上外注費が同現場の工事全体に対応する対価であることがうかがえる。
 これに対して、請求人は、L社からN社建売現場に係る収支が合わないとして追加請求を受け、同現場の建売住宅87棟に1棟当たりの単価○○○○円を乗じた金額から○○○○円を値引きした○○○○円を支払った旨主張するが、請求人が主張する単価自体の根拠が不明である上、上記(A)の場合と同様に、Yが本件外注費が過去の赤字現場の補てん金である旨申述していることからすると、別表4の順号1から8までの本件外注費が当該現場に係る工事の対価であるということはできない。
 以上の事実からすると、別表4の順号1から8までの本件支出金は、N社建売現場に係る工事の対価ではなく、対価性のない支出であり、寄附金に該当すると解するのが相当である。
(C) P苑○○現場について(別表4順号9)
 同現場もまた、上記ロ(ト)によれば、実際に工事が行われたことが認められるが、当初計上外注費が存在しており、特段の事情のない限り、当初計上外注費が同現場の工事全体に対応する対価であることがうかがわれる。
 これに対して、請求人は、やり直し工事や鉄骨・鉄筋の価格の上昇があったことから、L社に当初の発注金額を超える工事費用が生じた旨主張する。しかしながら、上記ロ(ト)Bのとおり、工事を発注したはずの請求人からやり直し工事の具体的内容や工事代金の積算根拠が明らかにされていないだけでなく、同現場における工事内容は屋根工事であり、請求人が主張するやり直し工事等の代金が、当初計上外注費の額の1.5倍を超えることからすると、やり直し工事が基礎からやり直す相当な程度に至る工事となるはずであり、そのような工事が行われるのであれば、躯体の工事にも相当程度やり直し工事が行われ、さらに、鉄骨価格の上昇による事情もあったのであれば、鉄骨工事を施工した外注先にも相当な額の追加代金が発生すべきところ、上記ロ(ト)Cのとおり、そのような事実はなく、主張自体不自然な点が見受けられる。そして、上記(A)の場合と同様に、Yが本件外注費が過去の赤字現場の補てん金である旨申述していることからすると、別表4の順号9の本件外注費が当該現場に係る工事の対価であるということはできない。
 以上の事実からすると、別表4の順号9の本件支出金は、P苑○○現場に係る工事の対価ではなく、対価性のない支出であり、寄附金に該当すると解するのが相当である。
B Q社の各現場について
(A) cアパート現場について(別表3順号7から16まで)
 同現場もまた、上記ロ(ロ)によれば、実際に工事が行われたことが認められるが、当初計上外注費が存在するから、特段の事情のない限り、これが同現場の工事全体に対応する対価であることがうかがえる。
 これに対して、請求人は、cアパート現場において追加工事が発生した旨主張し、上記ロ(ロ)Bのとおり、追加工事の存在を示す見積書を提示するが、上記ロ(ロ)Cのとおり、平成15年3月19日以降は同現場において電気料が発生していないのであるから、同現場の工事は同月18日までで終了したと認められ、この事実に前記見積書が同月15日付であることを併せて考えると、請求人主張の追加工事は、見積書の作成から3日程度で工事が完了したことになり、見積書の請求額から想定される工事の規模からしても、不自然である。また、当初計上外注費が計上されたのは同現場の竣工から3か月が経過した平成15年6月20日付であり、見積書に関する追加工事が実際に存在するのであればその代金分についても容易に計上できたにもかかわらず、計上されていない。さらに、上記ロ(タ)B(B)のとおり、同現場に関して追加工事を実施したはずのXが、同現場における赤字補てんのための支出金である旨の追加工事が行われていないことを前提とするような申述をしている。同申述は、あくまで、工事を施工してから、赤字が発生したことを理由にその補てんをさせたというものであるから、すなわち、当初計上外注費をもって工事代金とする旨の合意が成立し、その後、Q社において、合意時の見込み以上に経費がかかったことによって生じた赤字を補てんさせたということであり、赤字補てんについては同現場の請負代金債務という法的義務に基づくものではないということができる。
 以上の事実からすると、同現場において本件外注費に対応する追加工事は行われていないことが推認でき、別表3の順号7から16までの本件支出金は、同現場に係る工事の対価ではなく、対価性のない支出であり、寄附金に該当すると解するのが相当である。
(B) P苑○○現場について(別表4順号10から17まで)
 同現場もまた、上記ロ(ハ)によれば、実際に工事が行われたことが認められるが、当初計上外注費が存在するから、特段の事情のない限り、これが同現場の工事全体に対応する対価であることがうかがえる。
 これに対して、請求人は、上記(A)の場合と同様に、上記ロ(ハ)Cの見積書の存在をもってやり直し工事代金の請求を受けた旨主張するが、当該見積書について、その発行日や詳細協議事項等を別途見積もりとする旨の記載内容からみると、やり直し工事に係るものではなく、本体工事について請求人がQ社と請負契約を締結する以前にQ社から発行されたものと認められ、また、その記載内容の全体からみると、当該見積書に明示された見積額に受水槽・浄化槽工事等の別途見積額を加えた額が、同現場に係るQ社の請負金額であったと推認されるところ、上記ロ(ハ)Aのとおり、当初計上外注費の一部である竣工時のQ社の残金の請求額に受水槽に係る代金が含まれていることからすれば、当初計上外注費の合計額○○○○円は、同現場に係るQ社と請求人が締結した請負契約による工事代金の総額であったとみるのが相当である。さらに、上記(A)の場合と同様に、Xが同現場についても同様の申述をしていることからも、別表4の順号10から17までの本件外注費が当該現場に係る工事の対価であるということはできない。
 以上の事実からすると、別表4の順号10から17までの本件支出金は、P苑○○現場に係る工事の対価ではなく、対価性のない支出であり、寄附金に該当すると解するのが相当である。
C J社の本件メンテナンス現場について(別表3順号17及び18)
 上記ロ(カ)Aによれば、請求人がR社から複数の建物についてメンテナンス工事を受注したことは明らかになるものの、請求人がそのうちどの工事についてJ社に発注したかについては明らかになるものではない。また、請求人は、別表3の順号17及び18の本件外注費が本件メンテナンス現場に係る工事の対価であり、15か所のメンテナンス工事に係るものである旨主張するが、本件メンテナンス現場に係る外注費を他の工事名で計上すべき特段の理由がない上、同現場工事についてJ社に注文した立場にある請求人が、上記ロ(カ)Aのとおり、15か所の現場所在地等を具体的に特定できておらず、J社が本件メンテナンス現場を施工したことを示す資料を提出しない。さらに、L社の場合と同様に、Yが本件外注費が過去の赤字現場の補てん金である旨申述していることからすると、別表3の順号17及び18の本件外注費が当該現場に係る工事の対価であるということはできない。
 以上の事実からすると、別表3の順号17及び18の本件支出金は、本件メンテナンス現場に係る工事の対価ではなく、対価性のない支出であり、寄附金に該当すると解するのが相当である。
D T社のP苑○○現場(別表4順号18から20まで)
 同現場もまた、上記ロ(チ)によれば、実際に工事が行われたことが認められるが、当初計上外注費が存在するから、特段の事情のない限り、これが同現場の工事全体に対応する対価であることがうかがえる。
 これに対して、請求人は、平成18年4月14日に床材料が出荷されていることをもって、P苑○○現場においてやり直し工事が発生し、工事責任者がその分も支払う約束でT社が施工した旨主張するが、上記ロ(チ)Aのとおり、T社から当該出荷後の同月20日に、当初計上外注費として計上した追加工事に係る代金の請求がされていることからすれば、当該床材料により施工された工事代金は当初計上外注費に含まれているとみるのが相当であり、当初計上外注費に追加して本件外注費を工事代金として支払うべき特段の事情があったとは認められない。さらに、他の外注先の場合と同様に、上記ロ(タ)D(A)のとおり、Zが本件外注費が請求人との間の赤字補てんのためのものである旨の申述をしていることからすると、別表4の順号18から20までの本件外注費が当該現場に係る工事の対価であるということはできない。
 以上の事実からすると、別表4の順号18から20までの本件支出金は、P苑○○現場に係るやり直し工事の対価ではなく、対価性のない支出であり、寄附金に該当すると解するのが相当である。
E S社のN社建売現場及びP苑○○現場(別表4順号21から26まで)
 これらの現場もまた、上記ロ(ホ)及び(リ)によれば、実際に工事が行われたことが認められるが、当初計上外注費が存在するから、特段の事情のない限り、これが同現場の工事全体に対応する対価であることがうかがえる。
 これに対して、請求人は、P苑○○現場について、ハツリ工事に伴う防水のやり直し工事等が発生した旨主張するが、上記ロ(リ)Bのとおり、工事を発注し工事内容を熟知しているはずの請求人から、やり直し工事等の具体的な内容や積算根拠が明らかにされていないだけではなく、請求人主張のやり直し工事等の代金が当初計上外注費の額の1.5倍を超えていることからすると、不自然である。また、請求人は、N社建売現場について、外注先への発注額を低く抑えていたところ、S社から通常の工事金額を支払うよう請求され、87棟につき1棟当たり○○○○円を支払った旨主張するが、請求人が主張する単価自体の根拠が不明である。以上に加え、上記ロ(タ)D(B)のとおり、T社の場合と同様に、Zが本件外注費が請求人との間の赤字補てんのためのものである旨の申述をしていることを考慮すると、別表4の順号21から26までの本件外注費が当該現場に係る工事の対価であるということはできない。
 以上の事実からすると、別表4の順号21から26までの本件支出金は、P苑○○現場及びN社建売現場に係る工事の対価ではなく、対価性のない支出であり、寄附金に該当すると解するのが相当である。
F V社の各現場について
(A) eアパート、fアパート4棟及びgアパート各現場について(別表3順号19から29まで)
 これらの現場もまた、上記ロ(ル)から(ワ)までによれば、実際に工事が行われたことが認められるが、当初計上外注費が存在するから、特段の事情のない限り、これが同現場の工事全体に対応する対価であることがうかがえる。
 これに対して、請求人は、見積りミスにより当初の予定にない追加工事が発生した旨主張するが、各現場の完成から1年以上経過した時点で、当初計上外注費に追加して本件外注費を工事代金として支払うべき特段の事情があったとは認められず、追加工事を発注し工事内容を熟知しているはずの請求人から、追加工事の具体的な内容や積算根拠が明らかにされていないことからすると、別表3の順号19から29までの本件外注費が追加工事の工事代金ではないと推認することができる。
 したがって、別表3の順号19から29までの本件支出金は、eアパート、fアパート4棟及びgアパート各現場に係る工事の対価ではなく、対価性のない支出であり、寄附金に該当すると解するのが相当である。
(B) N社建売現場について(別表4順号27から33まで)
 同現場もまた、上記ロ(ヘ)によれば、実際に工事が行われたことが認められるが、当初計上外注費が存在するから、特段の事情のない限り、これが同現場の工事全体に対応する対価であることがうかがえる。
 これに対して、請求人は、N社建売現場の発注単価が低すぎたとして、本件単価比較表をもって、本件支出金を支払うべき合理的な理由がある旨主張するが、上記ロ(ヘ)Bのとおり、発注金額の計算方法が同一条件のものを抽出して比較すれば、かえって、N社建売現場に係る単価がW社に係る単価を上回ることからすると、当初計上外注費に追加して本件外注費を工事代金として支払うべき特段の事情があったとは認められない。
 以上の事実からすると、別表4の順号27から33までの本件支出金は、N社建売現場に係る工事の対価ではなく、対価性のない支出であり、寄附金に該当すると解するのが相当である。
(C) P苑○○現場について(別表4順号34及び35について)
 同現場もまた、上記ロ(ヌ)によれば、実際に工事が行われたことが認められるが、当初計上外注費が存在するから、特段の事情のない限り、これが同現場の工事全体に対応する対価であることがうかがえる。
 これに対して、請求人は、V社あての生コン代等の請求書をもって同現場のやり直し工事代金の請求を受けた旨主張するが、上記ロ(ヌ)Cのとおり、当該請求書は平成17年12月から平成18年5月までの間にV社が仕入先等から請求された材料又は外注費に係る請求書であるところ、上記ロ(ヌ)Aのとおり、V社が平成17年12月20日付、平成18年1月20日付、同年2月20日付、同年3月20日付及び同年6月20日付で、請求人に当初計上外注費として計上した同現場に係る工事代金の請求をしていることからすると、請求人の主張する材料等によって施工された工事代金は当初計上外注費に含まれているとみるのが相当であって、当初計上外注費に追加して別表4の順号34の本件外注費を工事代金として支払うべき特段の事情があったとは認められない。
 他方、別表4の順号35の本件外注費については、上記ロ(ヌ)のとおり、V社によって実際に工事が行われたことが認められ、当該各現場の本体追加工事を内容とするV社からの請求に基づき、当該本体追加工事代金として請求人の会計帳簿に記載されているから、当該各現場の本体追加工事に係る対価であることがうかがえる。この点について、V社の代表者は、上記ロ(タ)E及びFのとおり、本件外注費に係る工事を施工していなかった旨申述するが、上記ロ(ヌ)Dのとおり、同工事を実施していた旨の書面を提出するなど、矛盾する態度を示しているから、同人の申述のみをもって、上記会計帳簿に記載の事実を覆して同工事が施工されていないとの事実を認めることはできない。したがって、別表4の順号35の本件支出金については、対価性のある支出であり、寄附金には該当しないと解するのが相当である。
(D) 本件施工現場について(別表3順号30から40まで及び別表4順号36から67まで)
 本件施工現場については、上記ロ(ヨ)によれば、V社によって実際に工事が行われたことが認められ、同現場に係る本件外注費についても、当該各現場の工事代金として請求人の会計帳簿に記載されているから、当該各現場の工事に係る対価であることがうかがえる。
 これに対して、原処分庁は、当該各現場に係る工事が行われていない旨主張するが、上記(C)の別表4の順号35の本件外注費と同様に、jの申述によっても原処分庁の主張する事実を認めることはできず、上記会計帳簿に記載された事実と異なる事実を認めるに足りる証拠はない。したがって、本件施工現場に係る本件支出金は、対価性のある支出であり、寄附金には該当しないと解するのが相当である。
(ハ) 以上のとおり、本件付替現場支出金は、対価性のない支出金であり、寄附金に該当し、他方、本件施工現場支出金は、対価性のある支出金であり、寄附金には該当しないと解するのが相当である。
 これに対して、請求人は、実際現場における工事が行われ、本件付替現場支出金が同工事の代金として支払われた証拠として工事内容等証明書を提出する。
 しかしながら、工事内容等証明書が、上記ロ(タ)BからDまでのとおり、本件各外注先の申述に一致しないのであるから、これのみをもって実際現場において工事が行われ、その対価として本件付替現場支出金が支払われたと認めることはできない。また、本件付替現場支出金が実際現場の工事代金に相当するものではないとの上記判断に当たっては、本件各外注先の申述だけでなく、帳簿や請求書等の記載などの諸事情をも考慮されているのであるから、これに工事内容等証明書を併せて考慮したからといって、上記判断が覆されるものではない。
 また、Hは、上記ロ(タ)A(B)のとおり、本件付替現場支出金が実際現場の工事未払金であった旨申述するが、これまでの認定から同申述をみると、本件付替現場支出金が、請求人において工事代金として当然に支払うべき債務であったのではなく、実際に支払うかどうかは請求人の利益の状況によって決定されたものとうかがえるから、この点においても本件付替現場支出金を実際現場に係る工事の対価であるとみることはできないというべきである。

(2) 争点ロについて

 消費税法第30条第6項は、課税仕入れに係る支払対価の額とは、課税仕入れの対価として支払い、又は支払うべき一切の金銭等の額をいう旨規定しているところ、上記(1)ハ(ハ)のとおり、本件付替現場支出金は、対価性のない支出金であるから、課税仕入れに係る支払対価の額には当たらず、一方、本件施工現場支出金については、工事の対価であると認められることから、課税仕入れに係る支払対価の額に当たる。

(3) 原処分について

イ 本件法人税各更正処分について
 上記(1)によれば、本件各事業年度の所得金額は、別表5の「審判所認定額」欄記載のとおりとなり、いずれも原処分の額を下回るから、本件法人税各更正処分は、いずれもその一部を別紙1及び別紙2のとおり取り消すべきである。
ロ 本件消費税等各更正処分について
 上記(2)によれば、本件各課税期間の消費税額及び地方消費税額は、別表6の「審判所認定額」欄記載のとおりとなり、いずれも原処分の額を下回るから、本件消費税等各更正処分は、いずれもその一部を別紙3及び別紙4のとおり取り消すべきである。
ハ 本件各賦課決定処分について
(イ) 上記イ及びロのとおり、本件各更正処分の一部の取消しに伴い、重加算税の計算の基礎とされる税額が減少することから、本件各賦課決定処分は、別紙1から別紙4までのとおり、いずれもその一部を取り消すべきである。
(ロ) 請求人は、架空の発注書を作成し、当該発注書に基づいて発行された請求書をもとに、会計帳簿に外注費を計上しており、これらの行為は、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する事実の隠ぺい又は仮装の行為に当たるから、上記(イ)以外の原処分にはこれを取り消すべき理由はない。

(4) 原処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。

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