(平成24年7月5日裁決)

《裁決書(抄)》

1 事実

(1) 事案の概要

 本件は、審査請求人(以下「請求人」という。)が土地及び建物の取得に際して売主に支払った固定資産税等に相当する金額を損金の額に算入したことについて、原処分庁が、当該金額については当該土地及び建物の取得価額に算入すべきであるとして法人税の更正処分を行ったのに対し、請求人が同処分の一部の取消しを求めた事案である。

(2) 審査請求に至る経緯

イ 請求人は、平成21年3月1日から平成22年2月28日までの事業年度(以下「本件事業年度」という。)の法人税について、青色の確定申告書に別表1の「確定申告」欄のとおり記載して、法定申告期限までに申告した。
ロ 次いで、請求人は、本件事業年度の法人税について、平成22年5月18日に、別表1の「修正申告1」欄のとおりとする修正申告書を、また、同年10月1日に、同表の「修正申告2」欄のとおりとする修正申告書を、それぞれ提出した。
ハ 原処分庁は、これに対し、平成23年6月30日付で、別表1の「更正処分」欄のとおりの更正処分(以下「本件更正処分」という。)をした。
ニ 請求人は、この処分を不服として、平成23年7月23日に審査請求をした。

(3) 関係法令等の要旨

イ 法人税法第22条《各事業年度の所得の金額の計算》第3項は、内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする旨規定し、また、同条第4項は、次に掲げる額は、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算されるものとする旨規定している。
(イ) 当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額
(ロ) 上記(イ)に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額
(ハ) 当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの
ロ 法人税法施行令第54条《減価償却資産の取得価額》第1項第1号は、購入した減価償却資産の取得価額は、次に掲げる金額の合計額である旨規定している。
(イ) 当該資産の購入の代価(引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税その他当該資産の購入のために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額)
(ロ) 当該資産を事業の用に供するために直接要した費用の額
ハ 法人税基本通達(以下「基本通達」という。)7−3−16の2《減価償却資産以外の固定資産の取得価額》は、減価償却資産以外の固定資産の取得価額については、別に定めるもののほか、法人税法施行令第54条の規定及びこれに関する取扱いの例による旨定めている。
ニ 地方税法第343条《固定資産税の納税義務者等》第1項は、固定資産税は、固定資産の所有者に課する旨規定し、当該所有者について、同条第2項は、土地又は家屋については、登記簿又は土地補充課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に所有者として登記又は登録されている者をいう旨、同条第3項は、償却資産については、償却資産課税台帳に所有者として登録されている者をいう旨規定している。また、地方税法第359条《固定資産税の賦課期日》は、固定資産税の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の1月1日とする旨規定している。
ホ 地方税法第702条《都市計画税の課税客体等》第1項は、市町村は、当該市町村の区域で都市計画法第5条《都市計画区域》の規定により都市計画区域として指定されたもののうち同法第7条《区域区分》第1項に規定する市街化区域内に所在する土地及び家屋に対し、当該土地又は家屋の所有者に都市計画税を課することができる旨規定し、地方税法第702条第2項は、同条第1項の所有者とは、当該土地又は家屋に係る固定資産税について同法第343条において所有者とされる者をいう旨規定している。また、地方税法第702条の6《都市計画税の賦課期日》は、都市計画税の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の1月1日とする旨規定している。

(4) 基礎事実

 以下の事実は、請求人と原処分庁との間に争いはなく、当審判所の調査の結果によってもその事実が認められる。
イ 請求人は、平成22年2月5日付で、F社(以下「売主」という。)との間で、別表2の「土地」及び「建物」欄に記載した土地及び建物(以下、これらを併せて「本件不動産」という。)を主たる信託財産とする不動産信託受益権売買契約(以下「本件受益権売買契約」という。)を締結した(以下、本件受益権売買契約に係る契約書を「本件受益権売買契約書」という。)。
 なお、本件受益権売買契約書には、要旨次のとおり記載されている。
(イ) 売主は、請求人に対し、平成22年2月18日又は請求人と売主との間で別途合意する日(以下、これらの日を「クロージング日」という。)において、平成17年2月25日付の、本件不動産を主たる信託財産とし、当初委託者をH社、受託者をG信託銀行とする不動産管理処分信託契約(以下「本件信託契約」という。)に基づく信託受益権(以下「本件受益権」という。)を一括で売り渡し、請求人は、これを買い受ける(第2条第1項)。
(ロ) 本件受益権の売買代金(以下「本件売買代金」という。)は、○○○○円(消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)を含む。)とし、土地及び建物別の内訳は、次表のとおりとする(第3条第1項)。

土地部分 ○○○○円
建物部分 ○○○○円
消費税等 ○○○○円
合計(本件売買代金) ○○○○円

(ハ) 請求人は、売主に対して、本件売買代金を次のとおり支払う(第3条第2項)。
A 本件受益権売買契約締結と同時に、売主の指定する銀行口座へ振込みの方法で○○○○円を手付金として支払う。なお、当該手付金は、次のBの支払と同時に、無利息にて本件売買代金に充当される。
B クロージング日に、売主の指定する銀行口座へ振込みの方法で○○○○円を支払う。なお、支払った金員は、その支払と同時に本件売買代金に充当される。
(ニ) 本件受益権は、本件売買代金の支払と同時に、売主から請求人に移転する(第4条第1項)。
(ホ) 請求人は、本件受益権の移転後直ちに、クロージング日付で、自らの責任と負担において本件信託契約を解約し、本件信託契約の受託者であるG信託銀行から本件不動産の交付を受けてその所有権を取得しなければならず、また、G信託銀行をして、信託終了による本件不動産の所有権移転登記及び信託登記の抹消登記の申請手続きを行わせなければならない(第5条第1項)。
(ヘ) 本件受益権に係る一切の費用(本件不動産に対して賦課される平成22年度の固定資産税及び都市計画税(その起算日は、平成22年1月1日とする。以下、固定資産税及び都市計画税を併せて「固定資産税等」という。)、管理費等、水道光熱費、各種負担金等の費用並びに信託報酬を含む。)は、クロージング日をもって区分し、その前日までに相当する部分は売主の負担、その当日以降に相当する部分は請求人の負担とする(第14条第1項)。
(ト) 本件信託契約に係る収益(本件不動産より生ずる収益(賃料及び共益費等)を含む。)については、本件信託契約及び宛名名義のいかんに関わらず、クロージング日をもって区分し、その前日までに相当する部分は売主の収益、その当日以降に相当する部分は請求人の収益とし、その詳細は、請求人及び売主が別途協議の上、決定する(第15条)。
ロ 請求人は、平成22年2月18日付で、売主との間で、上記イの(ロ)、(ヘ)及び(ト)の定めに基づき、本件売買代金及び本件受益権に係る費用並びに本件信託契約に係る収益の精算について合意し、「精算に関する確認書」と題する書面を取り交わした(以下、この取り交わした書面を「本件確認書」という。)。
 なお、本件確認書には、請求人及び売主は、クロージング日時点で、本件確認書に添付された精算計算書(以下「精算計算書」という。)記載のとおりの債権債務があることを確認し、請求人は、クロージング日に、売主に対して当該債権債務を相殺した後の精算額○○○○円を振込みにより支払う旨記載されている。
 そして、精算計算書には、上記精算額○○○○円の内訳として、本件売買代金などの金額の他、建物の各室の賃貸料及び袖看板の使用料に係る請求人帰属分の精算金の額○○○○円、別表3のとおり、請求人が負担すべき公租公課精算金として、本件不動産に係る土地、建物及び償却資産の固定資産税等の精算金の額、当該建物及び当該償却資産の固定資産税等の精算金に係る消費税等の額並びにその合計金額○○○○円(以下、この合計金額を「本件固定資産税等相当額」という。)が、それぞれ記載されている。
ハ 請求人は、平成22年2月18日付で、G信託銀行との間で、不動産管理処分信託契約解除合意書を取り交わして本件信託契約を解除した。
ニ 本件不動産は、平成22年2月18日付で、信託財産引継を原因としてG信託銀行から請求人へ所有権移転登記を経由した。
ホ 請求人は、上記イの(ロ)の本件売買代金の内訳に従い、総勘定元帳の土地勘定に平成22年2月5日に○○○○円、同月18日に○○○○円を、建物勘定に同日に○○○○円をそれぞれ計上した。
ヘ 請求人は、平成22年2月18日に、本件確認書に基づき、債権債務を相殺した後の本件固定資産税等相当額を含む精算額○○○○円を振込みにより売主に支払い、本件固定資産税等相当額を租税公課勘定に計上して本件事業年度の損金の額に算入した。

(5) 争点

 本件固定資産税等相当額は、請求人の本件不動産の取得価額に算入すべきか否か。

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2 主張

原処分庁 請求人
 本件固定資産税等相当額は、次の理由から、本件不動産の取得価額に算入すべきである。  本件固定資産税等相当額は、次の理由から、その全額を本件事業年度の損金の額に算入すべきである。
(1) 地方税法第343条第1項等の各規定によれば、固定資産税等は、その賦課期日である毎年1月1日現在の固定資産の所有者に対して課されるものであり、賦課期日後にその固定資産の所有者となった者が当該固定資産に係る当該年度の固定資産税等の納税義務を負うことはないから、本件不動産の買主である請求人が本件固定資産税等相当額を負担したとしても、請求人が納税義務を負うことはなく、請求人が本件不動産に係る固定資産税等そのものを負担したものとは認められない。 (1) 請求人の負担した本件固定資産税等相当額は、請求人が地方税法上の納税義務者として支払う固定資産税等そのものではないものの、請求人と売主は、本件受益権売買契約書に基づいて本件不動産の所有権の移転日をもって、その年度の固定資産税等を所有期間であん分し、固定資産税等の負担を公平に分担したものであり、地方税法上の納税義務者でないという理由で損金の額に算入しないというのは明らかに誤りである。
(2) 本件固定資産税等相当額は、本件受益権売買契約書の定めにより生じる債権債務関係に基づいて売買当事者間で授受されるものであり、その授受は、本件不動産の売買の条件の一つであるから、本件固定資産税等相当額は、本件不動産の購入の代価の一部であると認められ、法人税法施行令第54条第1項第1号の規定により本件不動産の取得価額に算入すべきものである。 (2) 不動産取得に係る租税公課は、別段の定めがあるものを除き、取得価額を構成しないと考えるのが相当である。
 また、法人税法施行令第54条第1項第1号の規定は、減価償却資産の購入に直接要した費用を指すものであり、所有期間に対応して請求人と売主との間で公平に分担した本件固定資産税等相当額のような間接経費を取得価額に含めることは、貸借対照表上に時価以上の過大な資産を計上することになる。

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3 判断

(1) 認定事実

 当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。
イ 売主がa県税事務所長に提出した平成22年度償却資産申告書(償却資産課税台帳)には看板工事、袖看板設置工事及び袖看板工事と記載されているところ、別表3に記載する「償却資産」とは、本件不動産のうち建物に設置されている屋上広告塔及び袖看板2基(金属造及び金属製のもの。以下、屋上広告塔を「本件構築物」、袖看板2基をそれぞれ「本件建物附属設備まる1」及び「本件建物附属設備まる2」といい、これらを併せて「本件各償却資産」といい、また、本件不動産のうちの建物から本件各償却資産を除いた部分を「本件建物」といい、本件各償却資産と本件建物を併せて「本件各減価償却資産」という。)であることが認められる。
ロ 本件各減価償却資産のそれぞれの固定資産税評価額(平成22年度)は、別表4のとおりである。

(2) 法令解釈等

 基本通達7−3−16の2は、減価償却資産以外の固定資産の取得価額については、法人税法施行令第54条及びこれに関する取扱いの例による旨定めているところ、この取扱いは、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従い、減価償却資産以外の固定資産の取得価額に関しても減価償却資産に関する同法施行令の規定及びこれに関する取扱いが準用されてしかるべきであることを留意的に定めたものであると解され、当審判所においても相当と認める。

(3) 当てはめ

 上記1の(4)のイの(イ)、(ニ)及び(ホ)並びに同ハ及びニのとおり、請求人は、本件受益権売買契約書等に基づき、平成22年2月18日までに本件売買代金の全額を売主に支払い、同人から本件受益権を取得するとともに、本件受益権の原契約である本件信託契約を解除し、本件信託契約の受託者であるG信託銀行から信託財産の引継ぎとして本件不動産の所有権を取得していることからすると、請求人は、本件受益権売買契約及びそれに基づく不動産管理処分信託契約解除により、本件売買代金を支払って本件不動産を取得しているものと認められる。
 ところで、地方税法第343条第1項等の規定によれば、固定資産税等は固定資産の所有者に対して課されるものであり、その賦課期日は毎年1月1日であることからすると、固定資産税等の納税義務者は、賦課期日現在において当該固定資産を所有している者であると解されるところ、同日後に当該固定資産の所有者に異動が生じたからといって課税関係に変動が生じるものではなく、同日後に当該固定資産の所有者となった者が納税義務を負うことはないから、当該固定資産の売買の当事者間において売買後の期間に対応する固定資産税等、すなわち未経過分の固定資産税等相当額が授受されたとしても、買主において当該未経過分の固定資産税等相当額について地方税法上の固定資産税等の納税義務に伴う負担とみることはできない。
 そうすると、請求人が負担した本件固定資産税等相当額は、上記1の(4)のイの(ヘ)のとおり、本件不動産に対して賦課される平成22年度の固定資産税等をクロージング日すなわち本件不動産の引渡日以降に相当する部分は請求人が負担する旨の本件受益権売買契約書の定めに基づいて売主に対して支払われたものであるから、上記のとおり、地方税法上の固定資産税等の納税義務に伴う負担ではなく、本件受益権売買契約書の定めにより請求人と売主との間に生じる債権債務関係に基づいて固定資産税等の相当額として売買当事者間で授受されたものであって、また、本件不動産の売買に伴って授受されたものであり事後費用とはいえないことからすれば、本件固定資産税等相当額は、本件各減価償却資産に係るものについては法人税法施行令第54条第1項第1号の規定により、また、減価償却資産以外の固定資産すなわち本件不動産のうち土地に係るものについては基本通達7−3−16の2の定めにより、本件不動産の購入の代価の一部であると認めるのが相当である。
 したがって、本件固定資産税等相当額は、本件不動産の取得価額に算入すべきである。

(4) 請求人の主張について

 請求人は、上記2の「請求人」欄のとおり主張する。
 しかしながら、上記(3)のとおり、本件固定資産税等相当額は、売買条件の一つとして請求人が売主へ支払ったものであって、本件不動産の購入の代価の一部であり、本件不動産の取得価額に算入すべきであるから、請求人の主張には理由がない。

(5) その他の請求人の主張について

 請求人は、仮に、本件固定資産税等相当額について、その全額が本件事業年度の損金の額に算入されないとしても、請求人が支払った本件固定資産税等相当額のうち本件不動産の引渡しを受けた日から本件事業年度終了の日までの期間に相当する金額を本件事業年度の損金として認め、残額を前払費用とすべきであるとも主張する。
 しかしながら、本件固定資産税等相当額は、上記(3)のとおり、本件不動産の取得価額に算入すべきものであり、また、一定の契約に従い継続して役務の提供を受ける場合にいまだ提供されていない役務に対応して支払われたものではなく、前払費用に該当しないことは明らかである。
 したがって、請求人の主張には理由がない。

(6) 本件各減価償却資産の償却限度額及び償却限度超過額の計算について

 原処分庁は、請求人が本件受益権売買契約により土地及び建物を取得したものとして、当該建物を一の減価償却資産として償却限度額の計算を行い、請求人が当該建物に関して償却費として損金経理をした金額のうち当該償却限度額を超える部分の金額(以下「償却限度超過額」という。)を算出して本件更正処分をしている。
 しかしながら、別表3及び上記(1)のイのとおり、請求人が本件売買代金の支払の際に精算をした本件固定資産税等相当額には本件各償却資産に係るものが含まれていること、上記1の(4)のロのとおり、当該精算に当たっては、本件建物の各室の賃貸料とともに袖看板の使用料についても精算が行われていることから、請求人は、本件受益権売買契約により本件各償却資産を本件建物と一括して取得したと認められる。
 そして、本件各償却資産は、減価償却資産の耐用年数等に関する省令の別表第1《機械及び装置以外の有形減価償却資産の耐用年数表》の適用上、本件構築物は「構築物」の「広告用のもの」の「金属造りのもの」に、本件建物附属設備まる1及び本件建物附属設備まる2は「建物附属設備」の「前掲のもの以外のもの及び前掲の区分によらないもの」の「主として金属製のもの」にそれぞれ該当するから、本件建物として一括して計上されている取得価額をそれぞれの資産に区分し、それぞれの取得価額を基に本件事業年度における各資産の償却限度額等の計算を行う必要があり、当審判所において、償却限度額等の計算を行ったところ、次のとおりである。
イ 本件各減価償却資産の取得価額について
 本件受益権売買契約書においては、上記1の(4)のイの(ロ)のとおり、本件売買代金は本件建物と本件各償却資産の価額を区分していないところ、本件各減価償却資産の取得価額の算出に当たっては、同一の時期の合理的な同一の評価基準で評価した固定資産税評価額(別表4)を用いてあん分する方法が、合理的であると認められる。
 そこで、本件受益権売買契約書における建物の購入代価○○○○円(消費税等の額を含む。)及び付随費用(支払手数料)の額○○○○円を本件各減価償却資産の固定資産税評価額の割合によりそれぞれあん分して算出した金額に、本件各減価償却資産に係るそれぞれの固定資産税等相当額の精算額として支払われた金額を加算して本件各減価償却資産の取得価額を算出すると、別表5の「改訂取得価額まる5」の各欄のとおりとなる。
ロ 本件各減価償却資産の償却限度額及び償却限度超過額について
 上記イにより算出した取得価額に基づいて本件事業年度の本件各減価償却資産に係る償却限度額を計算すると、別表6の「償却限度額」の各欄のとおりとなる。
 そして、請求人は、本件各減価償却資産に係る本件固定資産税等相当額(別表5の「固定資産税等相当額まる4」の各欄の金額)を本件事業年度の租税公課として損金の額に算入しており法人税法第31条《減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法》第1項に規定する「償却費として損金経理」をしていないから、本件各減価償却資産に係る本件固定資産税等相当額を償却費として損金経理をした金額に含めないで本件各減価償却資産の償却限度超過額を計算すると、別表7の「償却限度超過額まる4」欄の○○○○円となる。なお、請求人は、平成22年5月18日の修正申告において、既に本件各減価償却資産に係る償却限度超過額として○○○○円を所得の金額に加算しているから、上記○○○○円から○○○○円を差し引いた○○○○円が請求人の本件事業年度の償却限度超過額として所得の金額に加算すべき金額となる。

(7) 本件更正処分について

 以上のとおり、本件各減価償却資産に関し、請求人の本件事業年度の所得の金額に加算すべき金額は、本件各減価償却資産に係る本件固定資産税等相当額で本件各減価償却資産の取得価額に算入すべき金額○○○○円と上記(6)のロの償却限度超過額○○○○円との合計額○○○○円となるところ、この金額は、本件更正処分における償却限度超過額の計算結果である別表8の「償却限度超過額まる4」の「合計」欄の○○○○円から同ロの請求人が平成22年5月18日の修正申告において、既に本件事業年度の所得の金額に加算した償却限度超過額○○○○円を差し引いた金額○○○○円を下回ることとなる。
 そうすると、請求人の本件事業年度の翌期へ繰り越すべき欠損金は、別紙「取消額等計算書」の「4 課税標準等及び税額等の計算」の「裁決後の額B」の「まる23」欄の○○○○円となり、この金額は、本件更正処分に係る翌期へ繰り越すべき欠損金○○○○円を上回ることとなるから、本件更正処分はその一部を取り消すべきである。

(8) 原処分のその他の部分については、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。

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