損益通算及び損失の繰越控除

純損失の繰越控除

  1. 損益通算
  2. 純損失の繰越控除(2件)

純損失の繰越控除について、当該純損失の生じた年以降3年以内においては金額的処理方法に任意選択性がある旨主張を退けた事例

裁決事例集 No.20 - 152頁

 純損失の繰越控除は、所得税法第70条第1項、第22条第2項及び同法施行令第201条第1項第2号イの規定から明らかなように、純損失の生じた年の翌年以降3年内の各年において発生する総所得金額から順次控除するものであり、その純損失の生じた年以降3年内であれば、金額的処理方法には任意選択性があるとしてなした請求人の純損失の繰越控除は相当でない。

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請求人の青色申告書は、その提出期限後に提出されたものであるから、これに記載された純損失の金額は、翌年に繰り越すことができないとした事例

平成23年4月27日裁決

《ポイント》
 所得税法第70条第1項及び第4項の規定によれば、総所得金額の計算上純損失の金額を控除するには、純損失の金額が生じた年分において、青色申告書をその提出期限内に提出しなければならないとされているところ、第4項かっこ書において、やむを得ない事情があると認められる場合には、その提出期限後に提出した場合を含むとされている。
 この事例は、青色申告書を提出期限までに提出しなかった請求人の事情がこの「やむを得ない事情」に当たるか否かが争われたものである。

《要旨》
 請求人は、平成20年分の所得税の青色の確定申告書をその提出期限後に提出したのは、顧問税理士の業務用パソコンが故障したことに基因しており、このような事情は所得税法第70条《純損失の繰越控除》第4項の「やむを得ない事情」に該当する旨主張するが、「やむを得ない事情」とは、天災、交通や通信の途絶等、納税者の責めに帰すことができない外的事情など、その提出期限までに確定申告書を提出することを不可能とする真にやむを得ない客観的事情をいうものであり、請求人が主張するパソコンの故障は、請求人及び顧問税理士の個人的事情又は主観的事情にとどまるものであって、その提出期限までに確定申告書を提出することを不可能とする真にやむを得ない客観的事情には該当しないというべきである。

《参照条文等》
 所得税法第70条第1項、第4項

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