ホーム >> 公表裁決事例集等の紹介 >> 公表裁決事例 >> 平成29年10月〜12月分 >> (平成29年12月14日裁決) >> 別紙5 関係法令
別紙5
原処分庁 | 請求人 |
---|---|
次のとおり、本件委託先代理店変更は、徴収法第39条に規定する第三者に利益を与える処分に該当することから、原処分は適法である。 | 次のとおり、本件委託先代理店変更は、徴収法第39条に規定する第三者に利益を与える処分に該当しないことから、原処分は取り消されるべきである。 |
(1) 原処分庁が、原処分において第三者に利益を与える処分と認定した行為は、本件委託先代理店変更であるところ、本件滞納会社と請求人がL社に対して提出した本件代理店変更申請書によれば、請求人は、本件委託先代理店変更により、代理店としての地位を本件滞納会社から譲り受け、これに伴い、本件委託契約に係る一切の権利及び義務を本件滞納会社から引き継いでおり、この「一切の権利」には、本件委託先代理店変更により本件滞納会社から請求人に引き継がれた本件委託先変更保険契約に係る本件滞納会社が受け取るべき将来にわたる一切の代理店手数料の受領権が含まれているものと認められる。 |
(1) 代理店業務委託契約書第32条にも明言されているとおり、本件滞納会社には、担当する保険契約や代理店の地位について、第三者への譲渡等を行う権限はなく、それらの権限は保険契約の所有者でかつ代理店の管理者であるL社に存在するため、そもそも本件滞納会社自身が自らの意思で代理店の地位等を請求人に譲渡すること自体ができない。 |
(2) 代理店手数料規程第2条及び代理店業務委託契約書第1条第1項によれば、代理店手数料は、「保険募集業務」、「保険料の領収業務」及び「保全・サービス業務」の遂行の対価として、当該各業務を行った者に支払われるものであるといえるところ、本件委託先変更保険契約に係る「保険募集業務」を行っていたのは本件滞納会社であるのだから、同業務に係る対価は本件滞納会社が受領すべきものであったことが明らかであり、請求人は本件委託先代理店変更により、同業務に係る代理店手数料の価額において、本件滞納会社から利益を受けたことが明らかである。 |
(2) 代理店手数料規程第4条等を参照すれば、保険契約の解約等によりL社に保険料が入金されない場合は、「初年度手数料」も含め、代理店手数料は当然に支払われないことが分かるとおり、代理店が「保険募集業務」を行ったとしても、その対価たる手数料は、当該保険に対する「保全・サービス業務」により保険契約を継続して初めて受領できるものとなっており、「保険募集業務」、「保険料の領収業務」及び「保全・サービス業務」の各業務遂行者と手数料受領者との間に、個別的な関係性は存在しない。 |
(3) 本件委託先代理店変更においては、本件委託先変更保険契約が本件滞納会社から請求人に移管しているにもかかわらず、それに対し何ら対価の支払もなく、さらに、客観的事実として、事業譲渡の後、請求人は本件滞納会社の旧商号と同一の商号に変更していること、平成22年7月に代理店登録を行った請求人は、本来であれば他の手数料率が適用されるところ、本件滞納会社と同様の手数料率の適用をL社に強く要望し承認されていることなどの事情からすれば、本件における事業譲渡は、実質的には本件滞納会社の事業を単に請求人が継続するために行われたものにすぎず、一般的な事業譲渡と同一視し難い性質のものであるから、本件における事業譲渡において、請求人の主張するようなリスクを考慮する余地はない。 |
(3) 本件滞納会社から請求人への事業譲渡において、請求人は、L社と全く新規で代理店業務委託契約を締結し、本件滞納会社から請求人に保険契約の委託先を変更するために開業代理店としてL社の審査の後、認可を受けなければならない上、本件滞納会社の従業員全員を従前の待遇で継続雇用し、職場環境を従前どおり維持するという本件滞納会社からの要求を負担しなければならなかったのであり、債務超過により事業継続不可能となった本件滞納会社に対して十分な対価の支払を行ったと自負している。原処分庁は、譲渡対価は金銭であることが前提のように主張するが、これらの条件負担は本件における事業譲渡の対価として十分であり、客観的にも正当な経済取引である。 |
(4) 滞納者の行為が、徴収法第39条の第三者に利益を与える処分に該当するか否かの判定は、個別具体的な検討を要するものであり、前例がないことは何ら原処分の適法性に影響を与えるものではない。 |
(4) 代理店が廃業した場合、当該代理店が管理していた保険契約をL社が引き継ぐことが多々あるが、この場合、当該代理店の「初年度手数料」による利益は、L社が享受することになり、当該代理店が受領することはできない。 |