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弁護士費用、訴訟費用
家屋の明渡しに際し支出した弁護士費用は立退料を取得するための必要経費に当たるとした事例
裁決事例集 No.18 - 50頁
請求人が支出したとする弁護士費用は、その支出の事実が認められ、かつ、本件家屋の所有者から提起された明渡しを求める訴訟において、弁護士によって請求人の立場が有利になるように訴訟が進められ、和解に際し立退料の支払が行われたものと認められるから、その収入を得るために直接要した支出と認められる。
昭和54年6月29日裁決
土地の時効取得に係る一時所得の金額の計算上、弁護士費用等は、総収入金額から控除することができないとした事例
《ポイント》
この事例は、請求人が同人の夫の父の後妻名義の土地を取得したことにつき、請求人の夫から相続により取得したものか、時効により取得したものか、
仮に、時効により取得した場合には、訴訟追行のための弁護士費用等は、一時所得の金額の計算上、総収入金額から控除できるか否かが争われたものである。
なお、については、請求人の夫から相続により取得したものではなく、時効の援用により取得したものとして一時所得に該当すると判断している。
《要旨》
請求人は、所有権移転登記請求訴訟(本件訴訟)により、時効取得が認められた土地の取得が一時所得に該当する場合、本件訴訟に係る弁護士費用等は、一時所得の金額の計算上収入を得るために支出した金額に当たる旨主張する。
しかしながら、時効取得による一時所得の金額の計算上、総収入金額から控除できる金額は、取得時効の援用の意思表示を相手方へ明らかにするために直接要した費用のみであるところ、本件訴訟に係る弁護士費用等は、登記の変更を求めるためのもので取得時効を援用するために直接要した費用とは認められないから、一時所得の収入を得るために支出した金額には当たらない。
《参照条文等》
所得税法第34条、第36条
《参考判決・裁決》
東京地裁平成4年3月10日判決(訟月39巻1号139頁)
静岡地裁平成8年7月18日判決(行集47巻7・8号632頁、裁Web)