清算所得に対する課税

解散の場合の清算所得

  1. 解散の場合の清算所得(2件)
  2. 合併の場合の清算所得

破産法人の清算中の事業年度の予納申告の課税の計算において、利子に対する源泉所得税の額を更正処分に係る法人税の額から控除することは、破産法第104条に規定する相殺には該当せず適法であるとした事例

裁決事例集 No.48 - 236頁

 請求人は、利子に対する源泉所得税の額を更正処分に係る法人税の額から控除することは、破産法第104条に規定する相殺に該当し、違法である旨主張する。
 ところで、破産法人には、法人税法第102条“清算中の所得に係る予納申告”の規定が適用され、清算中の事業年度の予納申告の税額の計算については、同条第1項第2号の規定により、法人税額から利子に対する源泉所得税の額を控除して納付すべき税額が算定されることとされている。この清算中の事業年度の予納申告の税額の計算において、利子に対する源泉所得税の額を控除することは、租税債権・債務が成立する以前の理論的な計算過程の一環としてされているのにすぎないのであるから、上記の法人税の額及び利子に対する源泉所得税の額については、いまだ債権・債務が成立していず、上記計算をもって法的な相殺ということはできない。
 したがって、破産法第104条に抵触する旨の請求人の主張は、その前提を欠くものである。また、利子に対する源泉所得税の額を更正処分に係る法人税の額から控除することは、法人税法の規定に従ったものであるから適法である。

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解散による清算所得の金額の計算において、残余財産の価額から控除する利益積立金額等の金額がマイナスの場合には、これを零円として計算することはできないとした事例

裁決事例集 No.78 - 397頁

 請求人は、利益積立金額等がマイナスの場合にその金額を零円として清算所得の金額を算定しないということは、過年度の損失であるマイナスの利益積立金に対し清算時に課税することといえ、これは、清算前の通常の事業年度でも課税しない損失に対して課税することを意味するものであり、また、資本金に対して課税することと同義であり、所得に対して課税するという法人税の根幹に反するものとなる旨主張する。
 しかしながら、清算の過程で実現したいまだ課税されていない資産の含み益のうち、いわゆる累積欠損金に相当する金額について課税するかしないかは制度上の問題であり、現行法人税法上、清算所得の計算において解散の時におけるマイナスの利益積立金額を零円とする特段の規定は存在しないところ、この計算の下で算出された清算所得の金額は、いわば法人が解散するまでに稼得した部分の金額でいまだ課税されていない資産の含み益にすぎないのであるから、この含み益には株主からの投下資本に相当する部分は含まれていないと解するべきであり、請求人の主張には理由がない。

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