ホーム >> 公表裁決事例集等の紹介 >> 公表裁決事例要旨 >> 国税徴収法関係 >> 清算人等の第二次納税義務
清算人等の第二次納税義務
- 第二次納税義務の通則
- 清算人等の第二次納税義務(4件)
- 共同的な事業者の第二次納税義務
- 無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務
- 事業を譲り受けた特殊関係者の第二次納税義務
- その他
職務に直接関与しない清算人に対する第二次納税義務の告知処分について適法であるとした事例
裁決事例集 No.21 - 231頁
清算人としての職務に関知していないことを理由に第二次納税義務の告知処分の取消しを求める旨の主張について、滞納会社の解散に関する事務手続に清算人が直接関与せず他に委任している事実を認めることができるとしても、正規の手続に基づく清算報告書が作成されている以上、同報告書に記載された残余財産の分配に係る金額が単に形式的に算出されたものとは到底いえないことなどから、当該滞納会社の租税債務を履行せずに残余財産の分配をした清算人に対する原処分庁のした第二次納税義務の告知処分は適法である。
昭和56年3月20日裁決
営業譲渡代金の一部から株式譲渡代金名下で個人株主に金員を交付したことが、法人の解散を前提とする残余財産の分配に当たるとした事例
請求人は、本件営業譲渡日に滞納法人の個人株主Bらが受領した金員は、滞納法人の株式の譲渡代金であるとともに、同日は滞納法人の解散決議前であるから、当該金員は国税徴収法第34条の「残余財産の分配」によるものではないと主張する。
しかしながら、本件滞納法人は、本件営業譲渡日に、本件滞納法人の代表者である請求人とその親族が全株式を所有する本件滞納法人の筆頭株主であるC社に対する債務を除き、資産・負債のすべてをD社に譲渡するとともに、従業員もD社に引き継いでいること、D社は、当該金員を営業譲渡代金の一部と認識し、その旨の経理をしていること、本件営業譲渡日において本件滞納法人は債務超過と認められ、その株式に経済的価値はなく、D社が当該株式を取得する経済的合理性も必要性も認められないこと、本件滞納法人の株式の譲渡に必要な取締役会の承認がなされていないこと、請求人は本件営業譲渡に際し、Bら個人株主を含む従業員に迷惑を掛けたくないと考えていたこと、Bら個人株主が受領した金員は、本件滞納法人への出資相当額であること、本件滞納法人は、本件営業譲渡日から解散決議に至るまで何ら資産を有せず、事業活動も行っていないことからすると、本件営業譲渡は解散を前提として行われたものと認められ、Bら個人株主が受領した金員は、株式譲渡代金ではなく、本件営業譲渡の対価の一部を分配したものと認められるから、当該金員の交付は、国税徴収法第34条に規定する「法人が解散した場合における残余財産の分配」に当たり、請求人はその価額を限度として同条の第二次納税義務を負うこととなる。
平成19年12月21日裁決
残余財産の分配の事実を認めることができないとした事例
原処分庁は、本件滞納会社の清算人であった請求人が行った本件滞納会社の元代表者亡Cと内縁関係にあったWに対する支払、本件滞納会社の元役員Bに対する支払、Yに対する支払及びZに対する支払は、本件滞納会社の債務の弁済ではなく、Cの死亡により本件滞納会社に対するCの出資持分を承継したCの相続人のために、C個人の債務を弁済したことにほかならず、その使途が明らかでないものを含めた○○○○円が国税徴収法第34条にいう残余財産の分配又は引渡しに当たると主張する。
しかしながら、本件滞納会社の解散時における出資者はCの相続人だけであると認められるところ、Cの相続人に交付された本件滞納会社の財産は、本件滞納会社の債務の弁済資金としてCの妻に交付された金員だけであると認められ、原処分庁が主張する他の支払も、Cの相続人のために残余財産の分配に代えて行われたものと認めることはできず、その使途が明らかでないものについても、これがCの相続人に交付されたともC個人の債務の弁済に充てられたとも認めることができないから、請求人が本件滞納会社の社員に対して残余財産の分配等を行ったと認めることはできない。
平成20年9月19日裁決
残余財産の分配後に成立した国税が国税徴収法第34条第1項に規定する「法人に課されるべき、又はその法人が納付すべき国税」に該当するとした事例
《要旨》
請求人は、請求人が株主である解散した法人(本件滞納法人)から残余財産の分配を受けたときには、本件滞納法人は国税を滞納しておらず正当かつ適法に残余財産の分配をしたものであるから、国税徴収法第34条《清算人等の第二納税義務》第1項の要件に該当しない旨主張する。
しかしながら、国税徴収法第34条第1項に規定する「法人に課されるべき、又はその法人が納付すべき国税」とは、法人が結果的に納付しなければならないこととなる全ての国税をいい、解散の時又は残余財産の分配若しくは引渡しの時に成立していた国税に限られないところ、本件滞納法人は、請求人に対し残余財産の分配をしたものと認められ、第二次納税義務の納付告知処分時に国税を滞納していたのであるから、国税徴収法第34条第1項の要件に該当し、請求人は第二次納税義務を負う。
《参照条文等》
国税徴収法第34条第1項