別紙1

本件判決に至る経緯
年月日 内容
平成11.3.○  請求人は、次のG及び本件被相続人の遺産について、R家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てた(以下、当該遺産分割の申立てを「本件調停」という。)。
(イ) Gの遺産
 A G名義の不動産
 B S社の出資金2口
 C T銀行U支店普通預金の○○○○円
 D 動産
(ロ) 本件被相続人の遺産
 A P市p1町○○番ほかの土地(以下「本件H名義土地」という。) 
 B 預金
  (A) T銀行U支店預金合計○○○○円
  (B) T銀行V支店預金合計○○○○円
  (C) W銀行X支店普通預金○○○○円
  (D) Y銀行Z支店定期預金合計○○○○円
 C S社の出資金4口
 D 動産
平成11.5.○  第1回調停期日において、Kは、本件被相続人が本件被相続人の所有財産のすべてをKに死因贈与する旨の契約を記したa地方法務局所属公証人○○○○作成の昭和63年4月28日付の死因贈与契約公正証書(以下「本件死因贈与契約公正証書」という。)が存在すると主張した。
平成11.6.10  Kは、本件死因贈与契約公正証書をR家庭裁判所に提出した。
平成11.6.○  第2回調停期日において、請求人は、本件死因贈与契約公正証書の効力を争う旨主張した。
 第3回調停期日において、Jは、本件死因贈与契約公正証書の効力を争う旨主張した。
平成11.7.○  第5回調停期日において、請求人及びKは、「双方主張の争点については、訴訟をすることなく調停で解決したい。」との考えを示した。
平成11.12.○  第9回調停期日において、調停委員会は、「公正証書を有効として扱うかどうかを確定する必要がある。」などとして当事者らに協議するよう要望した。この要望に対して、請求人及びKは、「検討する。」旨の回答を行った。
平成12.2.○  第10回調停期日において、Jが本件死因贈与契約公正証書を「無効と考える」旨主張した。
平成12.5.○  第11回調停期日において、Kが、本件死因贈与契約公正証書の有効性を前提として次のとおり主張した。
(イ) 本件死因贈与契約公正証書に基づき、金融機関を相手取り、本件被相続人名義の預金の払出しを求めN地方裁判所に提訴する準備をしている。
(ロ) 本件H名義土地につき、所有権移転登記手続をすることも計画している。
(ハ) 上記(イ)及び(ロ)による本件被相続人の遺産の処理が円満に進行するのであれば、Gの遺産については本件被相続人分を含めて何も取得しないことでよい。
平成12.5.○  Kは、本件死因贈与契約公正証書に基づき、N地方裁判所に本件被相続人の預金債権の返還請求訴訟平成12年(○)第M1号及び第M2号を提訴した。
平成12.5.○  T銀行は、同銀行V支店の本件被相続人名義の預金及び預金利息の合計83,663,352円並びに同銀行U支店の本件被相続人名義の預金及び預金利息の合計45,617,054円を供託した。
平成12.6.○  W銀行は、同行X支店の本件被相続人名義の預金及び預金利息の合計2,444,392円を供託した。
平成12.10.○  Kは、請求人及びJを相手取り、本件死因贈与契約公正証書は有効であるからT銀行及びW銀行がKに対して供託金を還付することを承諾するよう求めて、平成12年(○)第M3号「供託金還付承諾請求事件」(以下「第1事件」という。)をN地方裁判所に提訴した。
平成12.10.○  第15回調停期日において、調停委員会は、「本件は『遺産の範囲』及び『本件死因贈与契約公正証書の有効性』など遺産分割の前提問題に争点が多く、それらの解決がない限り遺産分割できない状況にある。したがって、今後、争点については逐次訴訟で確定していく方法を採るか、これらの争点について調停委員会の判断に任せることで調停成立を目指すか、意見を伺いたい。」との見解を示した。
 これに対し、請求人の代理人b弁護士は、「訴訟抜きで解決を強く望んでいる。しかし、調停委員会の判断に従うかどうかは具体的な方針が示された段階で検討させて欲しい。」旨表明した。
 Kの代理人d弁護士は、「本件死因贈与契約公正証書の有効性については譲れないが、その他の争点については調停委員会の判断が示された段階で検討したい。」旨表明した。
平成12.11.○  Kは、本件被相続人の預金債権の返還請求訴訟平成12年(○)第M2号を取り下げた。
平成12.11.○  第16回調停期日において、調停委員会は、「調停を進めるに当たっての基本的な考え方」(以下「基本的な考え方」という。)を当事者に交付した。
 「基本的な考え方」は、本件死因贈与契約公正証書は有効とし、本件被相続人の遺産については、遺留分減殺請求による物権返還あるいは価額弁償の問題と考えるとしている。
平成12.12.○  第17回調停期日において、「基本的な考え方」は、合意には至らなかった。本件H名義土地及び本件被相続人名義の預金に関するそれぞれの主張は、要旨次のとおりである。
(イ) 請求人は、本件死因贈与契約公正証書は無効であるが、有効と判断される場合は、Gの遺産と認められるものは除かれるべきである。
(ロ) Kは、P市p2町(請求人名義に移っているものも含む。)及び同市p3町の不動産全部を自らが取得する。また、本件被相続人名義の預金は、本件死因贈与契約公正証書に基づき当然Kの取得となる。なお、本件被相続人の遺産につき遺留分相当の減額には応ずる。
(ハ) Jは、本件死因贈与契約公正証書の有効性及びGの遺産の範囲についての判断に疑問を提示した。
平成13.10.○  Y銀行は、同行Z支店の本件被相続人名義の預金及び預金利息の合計2,136,943円並びにe名義の預金及び預金利息の合計17,282,617円を供託した。
平成13.10.○  第20回調停期日において、請求人は、第1事件について和解勧告があったが合意に至らず判決待ちになったこと並びに遺産確認を求める訴訟及び死因贈与無効確認訴訟を提訴するつもりであることを述べた。
平成○.○.○  請求人は、J及びKを相手取り、本件死因贈与契約公正証書の効力の無効を主張して、平成○年(○)第M4号「死因贈与契約無効確認請求事件」(以下「第2事件」という。)をM地方裁判所に提訴した。
平成○.○.○  請求人は、J、K及びLを相手取り、本件申告書に本件被相続人の遺産として計上していた本件H名義土地及び本件被相続人名義の預金のうち69,326,790円がGの遺産であることを主張して、平成○年(○)第M5号「遺産確認請求事件」(以下「第3事件」という。)をN地方裁判所に提訴した。
平成14.○.○  Kは、本件被相続人の預金債権の返還請求訴訟平成12年(○)第M1号を取り下げた。
平成14.○.○  第22回調停期日において、今後は、担当書記官がおおむね半年に1度程度、訴訟の進行状況についての照会を代理人らに対して行うこととし、「遺産の範囲」及び「本件死因贈与契約公正証書の有効性」など遺産分割の前提問題についての訴訟の結果を待つこととなった。
平成17.5.○  第23回調停期日において、家事審判官から5項目の求釈明事項が提示され、当事者らがそれぞれ求釈明に回答を行った結果、本件調停は不成立となり、家事審判に移行した。
平成17.6.○  第1回審判期日において、請求人の代理人b弁護士は、家事審判事件の取下げを行った。
平成18.○.○  N地方裁判所は、本件判決を言い渡した。
平成18.○.○  本件判決が確定した。

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