別紙

当事者の主張

争点1 本件売掛債権は本件滞納会社と請求人のいずれに帰属していたものか。
請求人 原処分庁
 請求人が、本件滞納会社の工場(製造部門)及び従業員を引き継いだ平成15年12月1日に、請求人と本件滞納会社の間で口頭契約により営業譲渡が行われたことから、本件売掛債権は、請求人に帰属するものである。  本件売掛債権は、次の事実から、本件滞納会社に帰属すると認められる。
1 本件滞納会社及び請求人から、重要な取引関係にある本件取引先に対して、平成15年12月1日付で営業譲渡が行われた旨の通知は行われておらず、本件滞納会社は、本件取引先に対して、同日付の「更新取引申請書」を提出し、本件取引先との取引を継続したい旨の意思表示をしている。
2 本件取引口座内容変更依頼書には、平成16年1月10日から振込先を本件滞納会社の預金口座から本件請求人口座に変更を依頼する旨の記載がある。
3 本件通知書には、「平成16年1月10日をもって本件取引先と本件滞納会社との間の契約上の本件滞納会社の地位を請求人が承継した」旨、また、「このことを本件滞納会社及び請求人の双方に確認した」旨の記載がある。
4 本件要請書には、「今年の1月9日までは本件滞納会社の従業員である」旨、また、「本年1月10日からの仕事は請求人の仕事である」旨の記載がある。
5 Q市q町○○番地○に所在する工場の土地・建物は、平成16年1月10日売買を登記原因として平成16年2月○日受付により、本件滞納会社から請求人への所有権移転登記が経由されている。

争点2 本件売掛債権が本件滞納会社に帰属していたと認められる場合に、無償譲渡等の処分に該当する事実があるか否か。また、第二次納税義務による納付すべき限度の額はいくらか。
請求人 原処分庁
 本件売掛債権は、請求人に帰属するとの主張が認められないとしても、請求人は本件売掛債権に係る金員を受領した後に、本件滞納会社の各支払義務を、本件滞納会社の従業員等を引き継いだ以降履行しているので、徴収法第39条に規定する無償譲渡等の処分による利益などは存在せず、請求人が第二次納税義務者とされる理由はない。
 なお、請求人が、本件売掛債権を譲り受ける以上は、本件滞納会社の従業員に対する賃金の支払並びに材料費及び燃料費の支払義務を引き継ぐことは当然のことである。
 本件取引先は、平成16年1月10日から振込先を本件滞納会社から請求人に変更を依頼する旨の記載がある本件取引口座内容変更依頼書の送付を受けたことから契約上の地位譲渡を承認し、本件売掛債権○○○○円を本件請求人口座に振り込んだものである。
 このことは、本件滞納会社から請求人に対して本件売掛債権が譲渡されたことになり、無償譲渡等の処分に該当する。
 また、徴収法第39条は、滞納者がその財産につき行った無償譲渡等の処分により、権利を取得し又は義務を免れた者は、これらの処分により受けた利益が現に存する限度において第二次納税義務を負う旨規定されているところ、本件においては、契約上の地位譲渡以前にこの譲り受けた債権の対価として請求人が本件滞納会社の未払金等を支払うという契約等は行われておらず、また、請求人の主張する支払は、請求人が譲り受け後の本件滞納会社の従業員との雇用関係を維持し、あるいは、本件取引先との取引を継続する上で必要と判断して任意に支払ったものであり、支払う義務があったとは認められないことから、当該未払金等の支払について、債権を譲り受けた対価と認めることはできない。
 したがって、契約上の地位の譲渡には対価が支払われていないので、請求人は、本件売掛債権の無償譲渡を受けたものである。

トップに戻る