別紙4

当事者双方の主張

1 争点1 本件各売買契約書は、印紙税法別表第一課税物件表第2号に規定する「請負に関する契約書」に該当するか否か。

原処分庁 請求人
 本件各売買契約書は、次の理由から印紙税法別表第一課税物件表第2号に規定する「請負に関する契約書」であり、課税文書である。  本件各売買契約書は、次の理由から印紙税法別表第一課税物件表第2号に規定する「請負に関する契約書」ではなく、不課税文書である。
(1) 請求人は、本件各売買契約書及び本件各工事請負契約書の2種類の文書をそれぞれ同日に作成しているが、文書が課税文書に該当するかどうかは、その文書に記載されている記載文言の実質的な意義に基づき判断するものであり、次のとおり、工事の完成に重きを置いた一つの契約と見るべきであるから、本件各売買契約書も、印紙税法上の請負契約書である。 (1) 請求人の主な業務は、本件各売買契約書又は商流の実体からも、次のとおり、一定の規格で統一された養鶏機器を顧客に供給するものであり、発注者の指示した規格等に従い養鶏設備を製作することを請け負ったものではない。
 また、養鶏機器の設置費用は、当該機器の代金とは明確に区分し、本件各工事請負契約書により別途契約しており、適切に印紙税を納付している。
イ 本件各売買契約書の契約内容は、個々の製品を取引対象にするのではなく、複数の養鶏機器が複合的に組み合わさる養鶏システムを包括的かつ一体的に取引対象とするものである。 イ 本件各売買契約書は、養鶏機器を国内の養鶏農家に販売することを内容とするが、当該機器は、カタログに示され、請求人が保有する商標権及び独自の特許技術を背景として、あらかじめ一定の規格で統一されており、顧客は、当該カタログや見本を参考に製品を購入している。
 また、養鶏機器にそれぞれ価格を付して注文を受け、規格に従い製作をしている。
ロ 本件各売買契約書に記載した製品は、農林業用減価償却資産の耐用年数表(平成20年法律第32号による改正前のもの。)に個別に例示されている家畜飼養管理用機具であり、これらの機械等はそれぞれ個々に機能する。
ロ 本件各売買契約書の「製品の引渡時期」は、組立据付工事の完了が基準となっており、また別表1の番号1を除く本件各売買契約書の「支払条件」には、着工時、完工時等の記載があることから、納品により取引が完了するのでなく、組立据付工事が完了して取引が完了するものである。このことは、契約の当事者の意思が仕事の完成に重きを置いたものであり、養鶏システムの製作を請け負う契約と認められる。 ハ 売買と請負の混合契約は、物品の取付けが完了するまで引渡しできないものであり、商品代金と据付代金と区分して表示している場合は据付け代金部分だけが請負契約となる。据付を要する取引であれば、工期が存在するのは当然である。
ハ 請求人が、各取引先の鶏舎の寸法や収容鶏数などに応じた鶏舎のレイアウトを提案し、養鶏機器を複合的に組み合わせるなどして一体として機能する各取引先の仕様に合った養鶏システムを完成させることを請け負ったものである。 ニ 本件各売買契約書の内容は、各取引先の要望により養鶏機器の組み合わせが変化するものでなく、各取引先の仕様に合わせた養鶏システムの製作でもない。請求人が、より効率的なレイアウトの提案をすることは請負契約の根拠とはならない。
(2) 文書が課税文書に該当するかどうかは、その文書に記載されている記載文言の実質的な意義に基づき判断するものであり、次のとおり個別の契約内容をみても請負契約である。 (2) 印紙税法基本通達第3条において、課税文書に該当するかどうかの判断は文書文言の実質的な意義に基づき判断するとされている。原処分庁の所論は文言記載事項から離れたところでなされており、印紙税課税に意味をなさず、次のとおり、個別の契約内容をみても請負契約であるとはいえない。
イ 別表1の番号10に係る請負工事台帳には、売買契約書に係る金額と請負契約書に係る金額の合計額が記載されており、また、多数の材料費、労務費、経費から完成工事原価を積算して算定されている。 イ 別表1の番号10については、請求人が、工事と商品代とを一体管理していることのみを根拠に、本件各売買契約書が請負契約書であるとはいえない。
ロ 別表1の番号13及び15に係る施設引渡書によれば、製品と組立据付工事を施設として一括で引き渡している。 ロ 別表1の番号13及び15に係る施設引渡書には、請負契約に関する記述はない。
ハ 別表1の番号4に係る注文書によれば、製品の代金及び同製品の工事請負代金を一括して計上している。 ハ 別表1の番号4に係る注文書は、養鶏機器の代金及び設置費を明確に区分した見積書を引用している。

2 争点2 本件モニター納入覚書は、印紙税法別表第一課税物件表第1号に規定する「運送に関する契約書」に該当するか否か。

原処分庁 請求人
 本件モニター納入覚書は、前記1の(4)のロの(ハ)のDのとおり、本件モニター納入覚書には、対象物品は請求人が無償で宅配便により納入すると記載されていることから、養鶏機器を無償で納入することを取り決めたものであり、運送契約の成立の事実を証明する目的で作成された文書であるので、印紙税法別表第一課税物件表第1号に規定する運送に関する契約書に該当し課税文書に該当する。  本件モニター納入覚書は、請求人が製品を販売先に納品することを約する物品売買に関する覚書であり、印紙税法別表第一課税物件表第1号に規定する運送に関する契約書に該当せず不課税文書である。

3 争点3 本件無償処理覚書は、印紙税法別表第一課税物件表第2号に規定する「請負に関する契約書」に該当するか否か。

原処分庁 請求人
 本件無償処理覚書は、修理の請負業務を含む売掛債権の支払方法の一部を変更することを取り決めたものであり、印紙税法別表第一課税物件表第2号に規定する請負に関する契約書に該当し課税文書に該当する。  本件無償処理覚書は、顧客の漏電対策工事のため、損害賠償金相当額を諸取引の残高である売掛金から値引きをするとした覚書であり、印紙税法別表第一課税物件表第2号に規定する請負に関する契約書には該当せず不課税文書である。

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