別紙

争点1 本件国税が存在しているか否か。

原処分庁 請求人
 以下のとおり本件申告及び無申告加算税の賦課決定処分は有効であり、本件国税は存在していることから、本件告知処分は有効である。  以下のとおり本件申告及び無申告加算税の賦課決定処分は無効であり、本件国税が存在していないことから、本件告知処分は無効である。
1 本件申告書には、関係法令に定める所定の事項の記載、押印がなされており、本件申告による確定手続に重大な瑕疵があり、かつ、その瑕疵が客観的に明白であるとはいえない。 1 本件申告書は、Bの承諾がない状態で、請求人がH税務署所属の担当者に言われるまま署名した書類にすぎず、本件申告はBの意思に基づかない無効なものである。
2 本件譲渡不動産に係るC社への所有権移転登記が、その後、錯誤を原因として抹消されていても、そのことが、本件申告の効力に影響を与えるものではない。 2 本件譲渡不動産に係るC社への所有権移転登記は、その後、錯誤により抹消されており、この登記に基づく譲渡を課税原因とする本件申告はその根拠を欠くこととなり、無効である。
3 仮に、請求人が本件申告を行っていたとしても、本件申告については、以下の事実からBの追認があったと認められる。 3 本件申告については、以下の事実からBの追認があったとも認められない。
(1) 無申告加算税の賦課決定通知書や督促状等の送付を受けてもBは不服申立等をしていない。 (1) Bには、H税務署長や原処分庁から送付された書類の内容を理解する能力はない。
(2) 原処分庁所属の担当者が納付しょうようのためBと面談した際、同人が本件国税の存在を前提に応対している。 (2) 請求人がBに本件申告の話をした際、同人は「そんな申告は認めない」旨の発言をしている。
(3) 差押解除不動産の差押解除手続については、当該不動産の収用に係る代金を本件国税へ納付することを条件として行っており、これらの手続は本件国税の存在を前提にしたBの了解なしには行えない。 (3) 差押解除不動産の差押解除手続に関しては、請求人においてすべて対応しており、Bは何ら存知していない。
4 以上のとおり、本件申告は有効であることから、本件申告に係る無申告加算税の賦課決定処分も有効である。 4 以上のとおり、本件申告は無効であることから、本件申告に係る無申告加算税の賦課決定処分についても重大かつ明白な瑕疵があり、無効である。
5 本件申告が無権代理人である請求人によるものであるとするなら、本件申告という代理行為を行った請求人が代理権の不存在を主張することは信義則上許されない。
 さらに、差押解除不動産の差押解除手続及び本件国税の一部納付について、原処分庁が受領した各種の関係書面等は、Bの名において作成され、印鑑登録証明書も添付されているが、請求人がこれら書面の作成、押印や印鑑登録証明書の添付などのすべてを行ったのであれば、請求人において、Bの追認がない旨主張をすることは信義則上許されない。
5 請求人は本件申告をした翌日にH税務署に赴き、本件申告書の返還を求めていたにもかかわらず、H税務署所属の担当者にこれを拒否されていることから、請求人が代理権の不存在を主張することは信義則違反ではない。
 さらに、差押解除不動産の差押解除手続に関しては、請求人は、実質的な権利者である叔父のEの意向に従って行動しただけであるから、当該手続におけるBの追認を否認する旨主張することは、信義則違反ではない。

争点2 本件贈与不動産等についての無償譲渡等の処分の時期は、本件国税の法定納期限の1年前の日以後か否か。

原処分庁 請求人
 徴収法第39条の無償譲渡等の時期について、不動産のように登記を対抗要件とするものは、対抗要件を具備した日を基準に判断すべきであるが、本件においては、本件判決の確定により、請求人は本件不動産について所有権移転登記し得る権利を取得しており、同判決の確定がなければ対抗要件を具備することはできないのであるから、本件判決の確定をもって無償譲渡等の処分の効力の発生があったものと解するのが相当である。
 本件においては、本件判決の確定日は平成○年○月○日であり、本件国税の法定納期限の1年前の日以後になされたこととなるから徴収法第39条に規定する要件を充足している。
 徴収法第39条の無償譲渡等の時期について、不動産のように登記を対抗要件とするものは、対抗要件を具備した時と解すべきであるが、本件においては、請求人は本件不動産について、本件仮処分登記を経由し、その後本件判決を得ていることから、本件判決により本件仮処分登記時に遡及して、対抗要件を具備したものと解するのが相当である。
 本件においては、本件仮処分登記が平成6年7月27日付で経由されており、本件国税に係る法定納期限の1年前の日よりも前に、本件不動産の無償譲渡等を受けていることになるから、徴収法第39条の要件を充足していない。

争点3 請求人がBから不動産を無償で譲り受けたことにより受けた利益の額はいくらか。

原処分庁 請求人
 無償譲渡等により受けた利益の額は、無償譲渡等処分時の財産の価額を基準に算定することとなるところ、財産評価基本通達に基づいて定められる財産評価基準書が公示価格水準の80パーセント程度の水準で評定されていることから、当該基準書に基づき算定した価額を0.8で割り戻した価額を基準に算定した。その結果、請求人が本件贈与により受けた利益の額は、○○○○円となる。  徴収法第39条の第二次納税義務は、無償譲渡等を受けた者に対し、贈与財産の額を限度として課すものであるところ、これは贈与税を課する場合の評価と一体となっているものであり、第二次納税義務の課税においてこれと異なる基準を用いる根拠はなく、財産評価基本通達に基づいて算定すれば請求人が本件贈与により受けた利益の額は、○○○○円である。

争点4 本件告知処分は徴収権の濫用等に当たるか否か。

請求人 原処分庁
 本件告知処分は、以下のとおり徴収権の濫用等に当たり、その全部ないし一部が違法である。  本件告知処分は、以下のとおり徴収権の濫用等に当たらず、適法である。
1 原処分庁は、本件仮処分登記により本件贈与の事実を十分認識し得たのであり、本件贈与から15年経過した後に行った本件告知処分は、徴収権の濫用かつ信義則違反である。 1 原処分庁は、本件判決の確定により、徴収法第39条の要件を充足したことから本件告知処分を行ったのであり、徴収権の濫用であるとはいえない。
2 本件においては、延滞税の計算の始期を、本件告知処分の日とした上で、租税特別措置法に定めた特例基準割合をもって延滞税の額を計算するのが相当であり、本件告知処分までの延滞税相当額及び加算税を請求人に課すことは課税の公平上重大な問題がある。 2 請求人の附帯税の縮減や割合の軽減に係る主張は、いずれも法令に規定されていることに対する要望であり、本件告知処分の適法性には影響を及ぼさない。
3 Bの国税につき生じる徴収不足は、Bと婚姻関係にあったFへの金品の贈与に起因するものであり、同人に第二次納税義務が発生するのであるから、請求人に対して第二次納税義務を課するのは課税の公平の見地からして著しく不合理である。 3 原処分庁は、Bの請求人に対する行為が、徴収法第39条に規定する要件を充足することから本件告知処分を行ったものであり、請求人の主張するFに対する第二次納税義務の追及の有無が本件告知処分の適法性に影響を与えるものではない。

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