別紙6

本件鑑定書の要旨

1 価格時点  平成19年6月1日
2 評価方針は、現状を所与とした区分所有建物及びその敷地とし、評価対象物件が3物件であるため、このうち1物件(本件乙不動産)を標準住戸としての評価を行い、次に他の2物件の比較検討をすることによりそれぞれの鑑定評価額を求める。
 標準住戸の評価においては、原価法による積算価格、取引事例比較法による比準価格及び収益還元法による収益価格をそれぞれ求め、各価格を総合的に比較検討して鑑定評価額を決定する。
3 標準住戸の試算価格と検討
(1) 積算価格  96,700,000円
 積算価格は、対象不動産の費用性に着目して求めたもので、一団地の土地価格及び一棟の建物価格に適正に持分割合等を乗じて試算した。
 供給者の原価面の合理性を有する価格ではあるが、現在の容積率制限からみて、最有効使用されていないため通常のマンションと比して専有面積当たりの持分が大きいことがそのまま反映されていること、さらに、積算価格に占める土地価格を顕在化するためには、建替え決議を行い、費用と時間をかけて建替えを行う必要があり、現状においては実現性に不透明な部分があることに留意しなければならない。
(2) 比準価格   20,000,000円
 比準価格は、別紙6の付表のとおり、1平方メートル当たり488,000円から523,000円と開差はあるが、採用した事例は同一需給圏内にある評価対象不動産との類似性の高い中古マンションであり、建物の品等・グレード、階数、方位、住戸規模、日照・眺望、リフォームの有無等についてもいずれも開差はなく、それぞれを個別に査定することにより適正に格差修正を行った。いずれも規範性が高いため中庸値である1平方メートル当たり509,000円を採用し、これに床面積39.27平方メートルを乗じて20,000,000円と決定した。
 実証的で説得力を有する価格であり、市場性を反映している点で規範性は高い。
(3) 収益価格   18,100,000円
 対象不動産の収益性を反映した理論的な価格であり、対象不動産の典型的需要者として収益性を重視する個人も考えられるから、参考とすべき価額である。
4 標準住戸の鑑定評価額の決定
 市場性を反映した比準価格を重視し、収益価格を関連付け、実現性に不透明感が残る積算価格については参考にとどめながら、将来における土地価格実現の可能性を考慮して標準住戸の鑑定評価額を21,000,000円とした。
5 本件各不動産の鑑定評価額の決定
 各住戸の面積、これに付随する階段室及び事務所の共有持分はいずれも等しく、対象不動産の建物は昇降機のない低層共同住宅であることから、日照や眺望の開差が認められないため、価格比を1:1:1とし、それぞれ鑑定評価額を21,000,000円とした。

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