別紙5

争点に対する当事者双方の主張

1 争点1 本件各更正処分は、違法又は不当な調査手続によりなされたか否か。

原処分庁 請求人ら
 本件各更正処分は、次のとおり、違法又は不当な調査手続によりなされたものではない。  本件各更正処分は、次のとおり、違法又は不当な調査手続によりなされた。
(1) 本件調査担当職員は、本件請求人ら名義財産の原資、管理・運用の状況及び請求人らが贈与を受けたとする際の状況等を調査し、また、請求人らに対し、本件被相続人からの贈与事実や本件請求人ら名義財産の原資等について確認しており請求人らの反論を無視してもいない。 (1) 原処分庁は、本件請求人ら名義財産の原資及び収益並びに本件申立書の内容について調査・審理を行わず、請求人らに反論する機会・時間を与えず一方的に調査を打ち切った。
(2) 上記(1)の調査・審理の結果に基づき、本件請求人ら名義財産が相続財産であることを総合的に判断した。 (2) 原処分庁は、原資と帰属の解明をせず、本件請求人ら名義財産が多額に存在していることのみを本件各更正処分の理由とした。
(3) 本件調査において、本件調査担当職員が請求人らに示した資料において保険証券番号の記載を誤ったものであり、相続財産と認定したのは別表2の番号3の生命保険契約に関する権利である。 (3) 原処分庁は、本件調査において、存在しない生命保険契約に関する権利を相続財産として示した。

2 争点2 本件請求人ら名義財産は、本件相続の相続財産であるか否か。

原処分庁 請求人ら
 本件請求人ら名義財産が相続財産に当たるか否かは、当該財産の原資、管理・運用の状況等から総合的に判断するのが相当であるところ、次の理由から、本件請求人ら名義財産は相続財産である。  次の理由から、本件請求人ら名義財産は請求人らに帰属する固有財産である。
(1) 請求人らは、本件被相続人が請求人らの名義を利用して資産運用していた旨を自認しており、いずれも本件被相続人の生前中には、本件被相続人から本件請求人ら名義財産の各口座の名義利用の具体的な内容や資産の残高などの説明を受けておらず、資産運用の内容も承知していた事実がないことや、本件被相続人が使用印鑑を管理したり、金融機関から送付された文書を保管していたものもあったことなどから、本件被相続人が自己の財産として、本件請求人ら名義財産を管理し、運用していたと認められる。 (1) 本件請求人ら名義財産は、本件被相続人から贈与された金員を原資とし、請求人ら固有の財産として各金融機関の名義人固有の各口座において本件被相続人により資産運用されたものである。
(2) 本件請求人ら名義財産の原資の一部である上場株式の配当金が請求人ら名義の固有の財産である普通預金口座に入金されているからといって、本件請求人ら名義財産が請求人ら固有の財産と判断されるものではない。 (2) 本件請求人ら名義財産の原資であるR証券の各名義人口座に入庫した上場株式は、その配当金が請求人ら固有の財産であるT銀行a支店の各名義人普通預金口座に入金されていることから、請求人ら固有財産であり、当該上場株式を原資とする請求人ら名義の財産も、請求人ら固有の財産である。
(3) 本件被相続人は、請求人らに対し、本件請求人ら名義財産又はその原資となる金員について、贈与の意思表示をしていないことから、本件請求人ら名義財産又はその原資は、請求人らに対して贈与されていない。 (3) 別表2の番号1の生命保険契約に関する権利は、請求人G固有の財産であるT銀行a支店及びS銀行m支店の各請求人G名義の預金を原資の一部としたものである。

3 争点3 本件宅地の評価に当たって、著しい高低差による減額をすべきか否か。また、裏面路線に係る二方路線影響加算をすべきか否か。

請求人ら 原処分庁
 本件宅地は、次のとおり評価すべきである。  次のとおり、本件宅地の評価に当たり、著しい高低差による減額をすべきではない。また、二方路線影響加算を適用して評価することが相当である。
(1) 本件宅地は、付近にある宅地に比べて著しい高低差があるため、利用価値が著しく低下しており、高低差のない土地の価格の10パーセントに相当する金額を減額すべきである。 (1) 本件宅地は、本件相続が開始した時において既に自宅マンションの敷地として使用されており、付近にある他の宅地の利用状況と比較しても、利用価値が著しく低下している等の事情は認められない。
(2) 本件宅地は、高低差の著しい宅地であることから、裏面路線に係る二方路線影響加算をすべきではない。
 仮に、裏面路線に係る二方路線影響加算をすべきとした場合には、傾斜地の宅地造成費を控除すべきである。
(2) 裏面路線は、正面路線と同様に本件宅地への出入口として利用されており、裏面路線の影響がないとする著しい高低差等は認められない。また。上記(1)のとおり使用していることから、宅地造成費を控除する必要はない。

4 争点4 請求人らが本件請求人ら名義財産を相続財産として申告しなかったことに、通則法第68条第1項に規定する隠ぺい又は仮装の事実があるか否か。

原処分庁 請求人ら
 請求人らが、次のとおり、本件請求人ら名義財産が相続財産であることを認識しながら、請求人らの名義となっていることを利用して、本件相続に係る申告書の作成を依頼した税理士に本件請求人ら名義財産を提示しなかったことは、通則法第68条第1項に規定する隠ぺいの事実に当たる。
(1) 請求人J及び請求人Kから相続財産の調査確認を任された請求人Gは、本件調査担当職員に対して、本件請求人ら名義財産である銀行預金口座の通帳を保管しているにもかかわらず、保管していない旨の虚偽の答弁をしていることから、当該預金が相続財産であることを認識していたと認められ、また、請求人Jは、R証券の社員に別表2の番号2の生命保険契約に関する権利の申告の要否を確認しており本件被相続人の財産であることを認識していたものと認められる。さらに、その他の請求人ら名義財産についても、請求人らは本件被相続人による資産運用の内容を承知せず、本件被相続人から贈与を受けたと認識していたと考えられないことから、相続財産と認識していたと認められる。
(2) 請求人らが、本件相続に係る相続税の申告を委任したM税理士から、本件被相続人名義以外の財産も提示するよう求められたにもかかわらず、同税理士に対し、本件請求人ら名義財産を提示しなかった。
 請求人らが、M税理士の求めに対し、本件請求人ら名義財産を提示しなかったのは、請求人ら固有の財産で本件相続に係る相続税の申告と関係がないからであり、当該提示をしなかったことは通則法第68条第1項に規定する隠ぺい又は仮装の事実に当たらない。
 なお、請求人Gが本件請求人ら名義財産である銀行預金口座の通帳を保管していない旨発言したのは、記憶がなかったからにすぎない。

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