資産の譲渡等の時期

資産の譲渡等の時期

  1. 資産の譲渡等の時期(2件)

本件不動産の譲渡の時期については、請求人は、その経理処理上、本件不動産の譲渡収入を売買契約の効力の発生した日の属する平成元年3月期ではなく、平成2年3月期の収益に計上しているから、契約の効力発生の日を譲渡の時期とすることはできず、原則としての取扱いにより、引渡しがあった平成元年7月17日が譲渡の時期となるとした事例

裁決事例集 No.49 - 443頁

 請求人は、平成元年3月29日に、収益事業である旅館業の用に供していた本件不動産の売買契約を締結し、消費税法取扱通達9−1−13(固定資産の譲渡の時期)のただし書により、同日を資産の譲渡の日として、本件建物に係る譲渡の対価の額を平成元年4月1日から開始する本件課税期間の消費税の課税標準額に含めないで申告したところ、原処分庁は、平成元年7月1日以降が本件建物の引渡しの時期であるとして、本件建物の譲渡対価の額を本件課税期間の消費税の課税標準に含めて更正処分をした。
 請求人は、上記通達のただし書に関し、当該契約の効力発生の日を譲渡の日とすることは、請求人が契約の効力発生の日を譲渡の時期としたことを認識していれば足りる旨主張するが、法人にあっては契約の効力発生の日を譲渡の時期として経理処理をしているときという意味と解される。請求人の経理処理は、平成元年3月31日現在、本件不動産を請求人の基本財産として計上し、本件不動産の譲渡収入を平成元年4月1日から平成2年3月31日までの事業年度の収益として計上していることから、本件建物の譲渡については、事業者が当該固定資産の譲渡に関する契約の効力発生の日を資産の譲渡の時期としているときに該当しないので、原則としての取扱いにより引渡しの日が譲渡をした時となる。
 本件不動産は、平成元年7月17日にその引渡しがあったことは明らかであるから、本件不動産の譲渡が消費税の適用日以後の取引であるとして、本件建物の譲渡価額を本件課税期間の課税標準額に加算した原処分は適法である。

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自動販売機の販売手数料は毎月の締切日が課税資産の譲渡等の時期であるとした事例

裁決事例集 No.76 - 465頁

 請求人は、賃貸アパートを取得すると同時に、飲料の自動販売機を設置し、販売した飲料に係る販売手数料を受領したことについて、当該手数料は、自動販売機による飲料の販売本数に対して支払われるから、飲料を販売するたびに生じるものであるところ、当該アパートを取得した課税期間にも飲料は販売されていることから、当該課税期間の課税売上割合は100%となり、当該アパートの取得に係る消費税等は仕入税額控除できる旨主張する。
 しかしながら、当該手数料は、自動販売機の設置場所の提供、電気の供給及び人的役務の提供が一体となった課税資産の譲渡等の対価である。消費税法上、課税資産の譲渡等の時期についての規定はなく、その時期は、個人事業者の場合には所得税の所得金額を計算する際の収益の認識基準によりこれを把握することとなるが、所得税法第36条で規定する、その年分において収入すべき金額とは、その年において収入すべきことが確定し、相手方にその支払を請求し得ることとなった金額、すなわち、収入すべき権利の確定した金額であると解されるところ、自動販売機の設置に係る協定書に当該手数料の支払条件は、毎月20日締切りの翌月10日振込みとする旨定めていることからすると、毎月20日に収入すべき権利が確定するとみるのが相当であるから、課税資産の譲渡等の時期も毎月20日であり、当該課税期間には、当該締切日が到来しておらず、当該課税期間の課税売上げとはならない。

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