所得税法の特例

株式等に係る譲渡所得等の特例

  1. 不動産所得及び事業所得等の特例
  2. 譲渡所得の特例
  3. 株式等に係る譲渡所得等の特例(2件)
  4. 住宅借入金(取得)等特別控除
  5. 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
  6. 先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除
  7. タックスヘイブン対策税制
  8. 寄附金特別控除

株式、転換社債及び新株引受権を売買したことによる損失は、租税特別措置法第37条の10に規定する株式等に係る譲渡所得等に該当するので損益通算はできず、信用取引は同条の適用対象外である先物取引に該当しないとした事例

裁決事例集 No.47 - 230頁

 請求人は、株式等の売買による所得は、営業による所得であるとして、他の所得との損益通算を認めるべきであると主張するが、租税特別措置法第37条の10の規定により、株式等の取引による所得に係る損失は、その他の所得と損益通算することはできない。
 また、請求人は、信用取引については、有価証券先物取引に含まれるから、同条の適用対象外であると主張するが、有価証券先物取引と信用取引は、内容が異なるものであり、信用取引は有価証券先物取引には該当せず、信用取引に係る損失についても、租税特別措置法第37条の10の規定により他の所得と損益通算することはできない。

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上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の特例について、連続して確定申告書が提出されていないため、上場株式等に係る譲渡損失の金額を翌年に繰り越すことができないとした事例(平成25年分の所得税及び復興特別所得税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分・棄却・平成28年12月2日裁決)

平成28年12月2日裁決

《ポイント》
 本事例は、上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の特例は、譲渡損失の発生年分以降、確定申告書(更正の請求に基づく更正を含む。)が時系列的に連続して提出されていることが適用要件の一つとなるとしたものである。

《要旨》
 請求人は、租税特別措置法(平成25年法律第5号による改正前のもの。)第37条の12の2《上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除》第8項(本件第8項)適用の判断に当たっては、平成25年分の所得税及び復興特別所得税(所得税等)に係る更正請求書(本件更正請求書)は平成26年分の所得税等の申告書(本件申告書)よりも先に作成したものであるから、本件更正請求書及び本件申告書の提出日の先後ではなく、作成順序の先後をもって、実質的に判断されるべきである旨主張する。さらに、本件更正請求書の提出は、平成26年分の所得税等の法定申告期限までに行ったものであるから、当該提出をもって本件申告書について訂正申告書が提出されたものとみなされるのが相当である旨主張する。
 しかしながら、本件第8項は「その後において連続して確定申告書を提出している場合」と規定しているのであるから、連続性の有無は、前年分の確定申告書(更正の請求に基づく更正を含む。)と後年分の確定申告書の提出の先後をもって判定すべきことは法文上明らかである。また、本件更正請求書の提出をもって本件申告書についての訂正申告書の提出があったものとみるべき理由もない。したがって、平成25年分の上場株式等に係る譲渡損失の金額は、同条第6項の適用要件を満たさず、やむを得ない事情も認められないから、これを平成26年分以降に繰り越すことはできず、平成25年分の所得税等に係る更正の請求は更正をすべき理由がない。

《参照条文等》
 租税特別措置法第37条の12の2第6項、第8項
 租税特別措置法(所得税関係)通達37の12の2−5

《参考判決・裁決》
 平成28年3月7日裁決(裁決事例集102)

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