納付及び徴収

督促

  1. 督促(5件)
  2. 繰上請求
  3. 徴収の所轄庁
  4. その他

源泉所得税等還付金を相続税延納分の未納利子税額に充当した後に、所得税の修正申告により納付すべき税額が生じても、当該納付すべき税額が納期限までに納付されなかったことにより行った本件督促が違法となるものではないとした事例

裁決事例集 No.49 - 1頁

 請求人は、源泉所得税等還付金は、修正申告により納付すべき所得税の一部に充当されるべきことは法令上も当然に予定されているのであり、請求人に他の租税債務があったとしても、これに充当することは許されない旨主張する。源泉所得税等還付金が発生した場合には、その年分の未納の所得税で修正申告書の提出により納付すべきものがあるときは、その他の未納の国税に優先して充当するものであるところ、請求人には、源泉所得税等還付金の発生時にこれらの事実はなく、原処分庁は、その他の未納の国税である相続税延納分の未納利子税額に充当したことが認められる。そうすると、当該充当の後に所得税の修正申告があっても、充当が違法となるものではなく、所得税の修正申告により納付すべき税額が納期限までに納付されなかったことにより行った本件督促は適法である。

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当初申告に係る物納申請についてされた徴収猶予の効果は、その後に提出された修正申告に係る物納申請に対する徴収猶予には及ばないことから、修正申告に係る延滞税の納税義務があるとした事例

裁決事例集 No.54 - 59頁

  1.  原処分庁は、請求人の更正の請求に基づき、納付すべき税額を931,345,100円とする更正処分を行った。
     その後、請求人は、物納土地の面積の増加を避けるためか、納付すべき税額が310,389,500円増加する本件修正申告をしたものであり、これに附帯する本件延滞税については、国税通則法第60条第1項第2号及び同条第3項の規定により、これを納付する義務がある。
     また、国税通則法第29条第2項及び同法第20条の規定により、本件減額の更正処分の結果、当初申告に係る物納申請額は1,318,860,400円が931,345,100円へと減額になり、この減額後の金額の範囲内で徴収猶予の効果は存続しており、当初申告の物納申請に対してなされた徴収猶予の効果は、本件修正申告により納付すべき税額には及ばない。
  2.  請求人の主張するように、本件修正申告には本件更正の請求を上回って減額された(減額更正)金額が含まれているとしても、これが修正申告及び延滞税の納税義務には何ら影響を与えるものではなく、また原処分庁は減額の更正をしているのであるから、本件修正申告をしょうようするはずはなく、仮に、原処分庁が物納土地の増加を避けるための一方法として修正申告の方法がある旨を示唆したとしても、本件修正申告をするか否かは請求人の判断と責任においてされたものであるから、本件修正申告を適法でないとする理由とは認められず、本件延滞税を免除すべき事由に該当しない。
  3.  本件更正処分は極めて不公正であり、本件督促処分の違法性にも影響を及ぼす旨主張するが、督促処分は本件延滞税に係る処分であり、本件延滞税の納税義務は請求人が本件修正申告をすることに伴って生じているのであるから、この点に関する請求人の主張には理由がない。

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延滞税は適法に確定し、かつ、完納されていないから、督促処分は適法であるとした事例

裁決事例集 No.66 - 31頁

 請求人は、原処分庁が確定申告の早期審査の責任を果たさず、請求人の確定申告の審査及び修正申告のしょうようを遅延したもので、これは国税通則法施行令第26条の2に規定するいわゆる「人為による災害又は事故」に該当するから、修正申告をするまでの期間に対応する延滞税を免除すべきである旨主張し、延滞税に係る督促処分の取消しを求めている。
 しかしながら、本件延滞税は、適法に確定し、かつ、完納されていないから、本件督促処分は適法であって、違法、不当な点はない。
 仮に、請求人の主張どおり、延滞税を免除することができる場合に該当し、免除しないことが違法であるとしても、当然に免除の効果が発生するわけではないから、現実に免除がされておらず本件各延滞税が存在する以上、原処分の適法性に何ら影響はない。
 なお、確定申告の審査事務の処理の時期及び方法は税務署長の裁量にゆだねられており、少なくとも法定の更正の期間制限内の是正処理は法が当然予定しているところと解され、審査等を遅延したという請求人の主張には理由がない。また、国税通則法施行令第26条の2の「人為による異常な災害又は事故」は、当該災害又は事故が納税者の責に帰すべき事由により生じたものである場合は除かれるところ、本件では、請求人自身が誤った確定申告書を作成して提出したことから、原処分庁による指摘が必要となったものであり、そもそも請求人の責に帰すべき事由により生じた事態であるから、請求人の主張することは「人為による災害又は事故」に該当しない。

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残高不足により本税が口座振替によって納付されなかった場合に、納付すべき延滞税の額の計算の始期を口座振替日の翌日ではなく法定納期限の翌日として算出した当該本税に係る延滞税の督促処分を適法とした事例

裁決事例集 No.75 - 37頁

 請求人は、残高不足により口座振替納付日に振替できなかったからといって法定納期限にさかのぼって延滞税が課されるのは納得できず、当該延滞税により行った督促処分は、違法である旨主張する。
  しかしながら、延滞税は、私法上の遅延利息ないしは遅延損害金の性質を有し、法定納期限内に納付すべき国税が完納されなかった場合に、その納税者にこれを負わせることにより、法定納期限までに国税を完納した者との権衡を図るとともに、もって国税の期限内における適正な納付を担保しようとするものであると解され、納付遅延行為に対する制裁的意味合いが認められるとしても、そのことのみによって延滞税の制度が設けられていると解することはできない。また、口座振替納付の方法は、納税者が預貯金先に出向いてその払戻しを受け、その金銭を再び国税として金融機関に提出するという二重の手数を省略するという便利な方法であるが、納付する国税の納期限が申告期限と同一日である場合は、税務署長による金融機関への納付書の送付、金融機関における振替手続等に要する日時を考慮すれば、実際問題として期限内に口座振替納付ができないことになるので、国税通則法第34条の2第1項は、このような国税について口座振替期日に口座振替納付がされた場合には、口座振替期日が納期限後であっても、特に期限内納付とみなすこととしているものと解される。したがって、納税者の事情で預金不足等により振替不能となったときは、この特例の適用はなく、原則どおり期限内納付した者との権衡を図るため、本来の納期限から完納される日までの間、延滞税が課されることになるものと解するのが相当である。これを本件についてみると、請求人が納付すべき税額は、口座振替の手続が行われたものの、請求人が指定した預金残高が当該税額に不足していたことから振替納税がされなかったため、後日、請求人が自ら納付したものであり、国税通則法第34条の2第2項により、口座振替を選択している者において振替納付期日に口座振替による納付が行われなかった場合には、法定納期限後に自ら納付したとしても、法定納期限に納付されたとみなされないことから、請求人は、法定納期限の翌日から自ら納付した期間に応じた本件延滞税を納付しなければならないこととなる。

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国税の収納機関たる日本銀行歳入代理店となっている金融機関の窓口で納税資金を預金口座から引き落として当該代理店に納付手続を依頼した日と当該金融機関が収納手続をした日が相違する場合、収納手続をした日が納付日であるとした事例

裁決事例集 No.77 - 1頁

 請求人は日本銀行歳入代理店であるA銀行B支店が平成20年1月21日の営業時間内に本件源泉所得税を弁済受領しており、弁済者が弁済受領権限のある者に対して既に弁済を完了しているのであるから、弁済日は翌日ではなく弁済当日の平成20年1月21日となる旨主張する。
 しかしながら、請求人の従業員Cは、平成20年1月21日の16時30分ころ、同支店において本件源泉所得税の納付手続を行ったと認められるところ、同銀行の内部規定では、15時から17時までに税公金の払込みを受付する場合は、当日払込資金を受け入れ、国税については、翌営業日付取引の依頼として預かり、受取証兼引換証を交付することとされており、同支店の窓口担当者がCに交付した本件受取証兼引換証は、複写式の一連の冊子に基づいて作成されたものであって、実際に同銀行に本件受取証兼引換証と一連となる書類が保管されていることに照らせば、上記窓口担当者が、上記内部規定に基づき本件受取証兼引換証を交付したことが推認でき、平成20年1月21日に本件源泉所得税を納付したのであれば、同日に領収証書が交付されるべきところ、本件においてはこれに代えて本件受取証兼引換証に、「預り日」として平成20年1月21日が、「手続ご指定日」として同月22日が別々に記入されていることからすれば、同支店は、一金融機関として翌営業日に納付手続を行う目的で金銭及び納付書等を預かったものであり、同支店は平成20年1月22日に本件源泉所得税を国庫金として収納したと認められるから、平成20年1月21日に納付は完了しておらず、平成20年1月21日に納付があったとはいえない。

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