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その他
請求人が原処分庁からの指摘に従い修正申告をしたところ、原処分庁が過少申告加算税の賦課決定処分をしたことについて、確定申告書を提出した際に、原処分庁が行政指導を行わずに過少申告加算税を賦課したことは不当ではないとされた事例(令和4年10月1日から令和5年9月30日までの課税期間の消費税及び地方消費税に係る過少申告加算税賦課決定処分・棄却)
《ポイント》
本事例は、原処分庁が行政指導を行わずに調査を行い、過少申告加算税の賦課決定処分をしたことにつき、過少申告加算税の賦課決定やその額の計算について、原処分庁に裁量権が付与されたものとは解されず、本件賦課決定処分について処分の不当性を検討する前提が欠けるから、本件賦課決定処分は不当ではないとしたものである。
《要旨》
請求人は、原処分庁が行政指導を行わずに調査を行い、過少申告加算税の賦課決定処分(本件賦課決定処分)をしたことは不当である旨主張する。しかしながら、処分の不当とは、処分を行うにつき法の規定から処分行政庁に裁量権が付与されていることを要するものと解されるところ、国税通則法第65条《過少申告加算税》第1項及び第2項は、過少申告加算税の賦課決定やその額の計算について、原処分庁に裁量権が付与されたものとは解されず、本件賦課決定処分について処分の不当性を検討する前提が欠けるから、本件賦課決定処分は不当ではない。
また、請求人は、仮に原処分庁が行政指導を行わずに本件賦課決定処分をしたことが不当ではなかったとしても、課税売上高に変動がなく、仕入税額控除の計算方式を本則課税制度から簡易課税制度へと変更するのみの修正申告で、納付すべき税額が調査を開始する前から確定しているような場合には、過少申告による納税義務違反に該当しないから、過少申告加算税に同項により計算した金額(加重分)が加算されることは不当である旨主張する。
しかしながら、過少申告加算税は、過少申告による納税義務違反の事実があれば、原則としてその違反者に対して課されるものであり、加重分は、同条第1項の規定に該当する場合において、修正申告による納付すべき税額が期限内申告税額に相当する金額と50万円とのいずれか多い金額を超えるときに一律に課され、加重分のみが不適用となる場合の規定は存在しないところ、修正申告書を提出したことにより、新たに納付すべき税額が生じたのであるから、請求人には過少申告による納税義務違反の事実があったと認められ、そして、当該新たに納付すべき税額は期限内申告税額に相当する金額を超えるから、加重分を加算した過少申告加算税が賦課されることは不当ではない。
《参照条文等》
国税通則法第65条第1項、第2項、第5項、第74条の14
行政手続法第3条第1項第6号、第14号、第15号、第16号、第4条第1項、第32条ないし第36条の2
《参考判決・裁決》
東京地裁平成19年11月16日判決(税資257号順号10825)