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認めた事例
相続を原因とする所有権移転登記に係る登録免許税を不動産所得の必要経費に算入したことに基因する過少申告について正当な理由があるとした事例
裁決事例集 No.23 - 7頁
請求人の代理人が相続を原因とする所有権の移転登記に係る登録免許税を不動産所得の金額の計算上必要経費に算入して申告をしたことについては、当該代理人が他の納税者の代理人として本件と同じく必要経費に算入することを求めた更正の請求に対して、原処分庁がそれを認めた更正をしたこと及び必要経費に算入した申告について是正がなされていないことから、登録免許税を必要経費に算入することが正当なものと信じてなしたことが認められ、このような事情の下にあっては国税通則法第65条第2項に規定する正当な理由があったものというべきである。
昭和57年2月17日裁決
所有者を被相続人の孫とする登記がなされているなど家屋に係る相続税の申告以前の状況からすると、相続税の申告において請求人が当該家屋を申告しなかったことにつき国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由が認められるとした事例
《ポイント》
本事例は、相続財産と認められる家屋について、相続開始前に当該家屋の登記上の所有者が被相続人から同人の孫に名義変更されていたこと、請求人自身が関与税理士として当該家屋の売買に係る譲渡所得の申告を行っていること、上記の名義変更以前から当該家屋に被相続人は居住しておらず同人の孫が居住していたことなどの理由から、相続税の申告において当該家屋を申告しなかったことにつき国税通則法第65条第4項所定の「正当な理由」があると認められるとしたものである。
《要旨》
原処分庁は、相続開始時点において被相続人(本件被相続人)の孫(本件孫)名義となっていた家屋(本件家屋)について、本件被相続人や共同相続人らの各預金口座等を調査すれば、本件家屋の売買代金が実質的に支払われておらず、本件被相続人と本件孫との間の当該家屋に係る売買契約が成立していないことを確認できたのであるから、本件家屋が被相続人に帰属する財産であることを把握することは可能であったにもかかわらず、その確認を怠った請求人には国税通則法第65条《過少申告加算税》第4項に規定する「正当な理由」は認められない旨主張する。
しかしながら、前述するとおり、相続開始時点において本件家屋の登記上の名義は本件孫名義であり、請求人自身が関与税理士として本件家屋の売買に係る譲渡所得の申告を行っていたことに加え、当該売買以前から本件家屋には、本件被相続人ではなく譲受人である本件孫が居住していたことからすると、請求人は、本件家屋に係る本件被相続人と本件孫との間の売買契約が有効に成立し、本件家屋の所有権が本件孫に移転したと誤信せざるを得ない事情があったといわざるを得ない。加えて、本件家屋の売買代金が実質的に支払われていないことを把握し得た時点が、相続税の申告期限後であったことを併せ考えれば、請求人が本件家屋について申告しなかったことにより相続税の申告が過少申告となったことにつき、真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があり、過少申告加算税の趣旨に照らしてもなお請求人に過少申告加算税を賦課することは不当又は酷であって、請求人には「正当な理由」があったと認められる。
《参照条文等》
国税通則法第65条第4項
《参考判決・裁決》
最高裁平成18年4月20日第一小法廷判決(民集60巻4号1611頁)