附帯税

無申告加算税の賦課

  1. 延滞税
  2. 過少申告加算税
  3. 無申告加算税
    1. 無申告加算税の賦課(6件)
    2. 正当な理由
    3. 更正又は決定の予知
    4. 期限内申告書を提出する意思があったと認められる場合
  4. 不納付加算税
  5. 重加算税

無申告加算税の賦課決定に当たって国税通則法第66条第1項ただし書に規定する正当な理由の存否の調査は要しないとした事例

裁決事例集 No.40 - 2頁

 請求人は、無申告加算税の賦課決定に当たって国税通則法第66条第1項ただし書に規定する正当な理由に該当するかどうかの調査が行われていないと主張するが、同項ただし書の規定は、期限内に申告書の提出がなかったにもかかわらず無申告加算税を課さない例外的規定であるから、無申告加算税の賦課決定に当たって正当な理由の存否の調査は要しないと解される。

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1月4日は国税通則法第10条第2項に規定する「その他一般の休日」に該当しないとして、審査請求人の年始の営業開始日である平成12年1月5日(水曜日)に提出された消費税及び地方消費税の確定申告書は期限後申告に該当するとしてなされた無申告加算税の賦課決定処分を適法と認定した事例

裁決事例集 No.62 - 16頁

 請求人は、請求人をはじめとする出版業界では、年始の1月4日までを休日としており、1月4日は一般国民が慣行上休日としている一般の休日に該当するので、平成12年1月5日に提出した本件確定申告書は期限内申告である旨主張する。
 しかしながら、一般の休日とは、日曜日、国民の祝日以外の全国的な休日をいい、1月2日及び3日は、この一般の休日に該当すると解されるが、1月4日については、年始の休日としている企業等が見受けられるとしても、行政機関及び金融機関等においては必ずしも休日とはされていないのであり、一般国民の慣行上の休日には当たらないと解されるので、国税通則法第10条第2項に規定する一般の休日には該当しないというべきである。
 したがって、本件確定申告書の法定申告期限は、消費税法第45条第1項及び通則法第10条第2項の規定により、平成12年1月4日であるから、同月5日に提出された本件確定申告書は期限後申告書に該当する。

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消費税等の税額が法定申告期限内に納付され、これに係る確定申告書が法定申告期限後に提出された場合の無申告加算税の賦課決定処分は適法であるとした事例

裁決事例集 No.64 - 90頁

 請求人は、[1]本件確定申告書が期限後申告となったのは、税務職員の誤指導によるものであるから、国税通則法第66条第1項ただし書の「正当な理由」に該当する、[2]期限後申告が誤指導によるものであり、本件消費税等の税額を法定申告期限内に納付していることを考慮すれば、無申告加算税を課することは、請求人に酷すぎるものであり、同項ただし書の「正当な理由」に該当する、[3]本件消費税等の税額を法定申告期限内に納付しているのであるから、租税債権として確定することが可能であり、無申告加算税を賦課することは申告の適正を担保し申告納税制度を確保するために行政上の制裁として設けられた制度の趣旨からも不当である旨主張する。
 しかしながら、請求人が主張するような誤指導の客観的な事実を認めることができないこと、期限後申告となったのは、請求人が税務申告を委託した会計事務所職員が消費税について申告期限延長制度がないことを知らず、請求人の法人税の申告期限の延長が承認されていることから消費税等についても申告期限延長制度があるものと誤認していたためであり、消費税法の不知又は誤認であることから、「正当な理由」に該当しない。
 また、申告納税方式においては、確定申告書の提出が納税義務を確定させるために重要な意義を有することから、納税者の法定申告期限内の申告書提出義務の不履行に対して、同項の規定により、行政上の措置として、一律に無申告加算税が賦課されるものであり、当該申告書に係る税額が法定申告期限内に納付されたか否かにより、同項の規定の適用が左右されるものではない。

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信書便事業者に該当しない宅配便事業者を利用して法定申告期限の翌日に提出された納税申告書は期限内申告書には当たらないとした事例

裁決事例集 No.69 - 1頁

 請求人は、原処分が違法である理由として、[1]本件各申告書をその法定申告期限内にA社に引き渡しているのであるから、本件各申告書は期限内申告書であること、[2]国税通則法第66条の規定の趣旨は、納税者に正しい税額の計算と期限内納税を行わせるためのものであるところ、請求人は本件各申告書に記載した納付すべき税額を法定期限内に完納していること、しかも、同条の規定自体が、納税額がある者だけに課されるなど不合理なものであり法改正されてしかるべきであること、を主張する。
 しかしながら、納税者から納税申告書が提出された場合、いつの時点をもって提出日とするかについては、原則として申告書が税務官庁に到達した日(到達主義)と解されており、また、この到達主義の例外として、国税通則法第22条は、納税申告書が郵便又は信書便により提出された場合には、その通信日付印により表示された日に提出されたとみなす旨規定しているところ、本件各申告書の提出日については法定申告期限の翌日に原処分庁に到達していることが認められ、また、A社は信書便事業者ではないので信書便により提出された場合に該当しないことから、本件各申告書を法定申告期限内に提出したとする請求人の主張には理由がない。
 次に、無申告加算税の規定は、納税申告書の提出が期限内にされなかった場合の行政上の制裁として設けられたものであるから、納税申告書に記載された納付すべき税額が法定納期限内に完納されたか否かということで、その適用が左右されるものではなく、この点に関する請求人の主張は採用できない。
 なお、国税通則法第66条の規定は合理性がないもので法改正されてしかるべきものである旨の主張については、当審判所の権限外のことであり審理の限りでない。

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ゆうメールによる納税申告書の提出に国税通則法第22条の適用はないとした事例

平成25年7月26日裁決

《要旨》
 請求人は、ゆうメールにより提出した所得税の確定申告書(本件確定申告書)について、国税通則法第22条《郵送等に係る納税申告書等の提出時期》の規定が適用される旨主張する。
 しかしながら、租税法が私法上の概念を特段の定義なく用いている場合には、私法上の概念と同じ意義に解することが、租税法律主義や法的安定性の確保に資するところ、国税通則法第22条は、「郵便」及び「郵便物」と規定し、同法上にその定義規定を置いておらず、郵便法上の「郵便」及び「郵便物」と別意に解すべきことが国税通則法の明文又はその趣旨から明らかであるなどの事情も認められない。かえって、国税通則法第22条は、郵便及び信書便が郵便法又は信書便法の規定に従って配達されるため紛失する可能性が低いことなどの事情を考慮し、また、納税者と関係税務官庁との地理的間隔の差異に基づく不公平を是正する必要性も勘案して、特に郵便又は信書便により提出された納税申告書等については、民法上の到達主義の原則を緩和するものであることなどに照らせば、国税通則法第22条の「郵便」及び「郵便物」は、郵便法上の「郵便」及び「郵便物」と同じ意義に解するのが相当である。そして、郵便法第68条《郵便約款》に基づき定められた内国郵便約款及びゆうメールについて定めるポスパケット約款によれば、ゆうメールによる役務の提供は、荷物の運送であって、郵便法上の「郵便」には該当しない。したがって、ゆうメールによる本件確定申告書の提出について、国税通則法第22条の規定は適用されない。

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外国子会社合算税制に係る所得が無申告であった者に対する無申告加算税の賦課決定処分において、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律第6条《国外財産に係る過少申告加算税又は無申告加算税の特例》第2項を適用したことを適法とした事例

令和3年3月26日裁決

《ポイント》
 本事例は、請求人が、外国子会社合算税制に係る所得の基因となる外国子会社の株式を記載した国外財産調書を提出していなかった場合において、原処分庁が、当該所得に係る無申告加算税の賦課決定処分を行う際に内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律第6条第2項の加重措置を適用したことは適法と判断したものである。

《要旨》
 請求人は、平成27年12月31日、平成28年12月31日及び平成29年12月31日において、その価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を有していたと認められるから、平成27年分から平成29年分までにつき、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律(国送法)第5条《国外財産調書の提出》第1項本文に規定する国外財産調書の提出義務があったにもかかわらず、これらをいずれも法定提出期限内に提出しなかったと認められる。
 したがって、上記各年分の無申告加算税の金額につき、国税通則法第66条《無申告加算税》並びに国送法第6条《国外財産に係る過少申告加算税又は無申告加算税の特例》第2項の規定に基づいて計算すると、いずれも原処分の各金額と同額となるから、本件の無申告加算税の各賦課決定処分は、いずれも適法である。

《参照条文等》
 内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律第2条第7号、第5条第1項、第6条第1項、第2項、同法施行令第11条、同法施行規則第13条

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