総則

船舶のリース

  1. 納税義務者
  2. 課税取得の範囲
  3. 非課税所得
  4. 所得の帰属
  5. 所得の発生
    1. 船舶のリース(1件)
    2. 事業所得の収入金額(1件)
  6. 収入金額

請求人が組合員となっている民法上の任意組合からの船舶の賃貸事業に係る損益であるとする金額は、所得税法第26条第1項に規定する不動産所得の金額の計算上、総収入金額又は必要経費に当たらないとした事例

裁決事例集 No.67 - 165頁

 請求人は、本件船舶の賃貸事業は、請求人が投資商品の販売者から船舶の共有持分権を購入し、これを民法上の任意組合L及びケイマン諸島のリミテッド・パートナーシップPを通じて行っているのであるから、L組合の船舶賃貸事業を通じて得られる所得は、不動産所得に当たる旨主張し、原処分庁は、本件船舶の賃貸事業は、[1]請求人が本件事業に係る業務執行権を有さず、経営に参画していないこと、[2]請求人が本件船舶を実質的に保有していないこと、[3]請求人の負う本件事業のリスクが出資した船舶の持分を限度とするものであること等の理由により、請求人ら組合員の共同事業であるとは認められないから、L組合の船舶賃貸事業を通じて得られる所得は、不動産所得に当たらない旨主張する。
 しかしながら、[1]G社が企画した船舶に係る投資商品は、G社から一体の投資システムとして請求人らに示されていたものであり、[2]その内容を構成する各一連の行為において、本件船舶の売却を切り離した場合には、本件船舶の賃貸事業は収益面で全く成り立ち得ない一方で、[3]L組合の出資者には、実質的に組合への事業参加の機会は全く予定されておらず、[4]しかも、不動産投資に伴う通常のリスク負担も予定されていないことから、当該投資商品は、本件船舶の賃貸とその売却とが一体不可分にセットされ、それらに係る収入金額から投資資金が回収され、収益の分配を受けるという経済的成果をもたらすものであることが明らかである。
 したがって、L組合の船舶賃貸事業は、船舶の賃貸借という法形式に伴う実質的な経済的成果が発生していないと認められることから、本件船舶の賃貸事業に係る損益は、請求人の不動産所得とすることはできない。

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