所得控除

寄付金控除

  1. 雑損控除
  2. 医療費控除
  3. 小規模企業共済等掛金控除
  4. 寄付金控除(5件)
  5. 寡婦・寡夫控除
  6. 配偶者控除
  7. 扶養控除

マンション建築用地の開発に当たり、市に対して土地を無償提供したことは、所得税法第78条第2項に規定する特定寄付金を支出した場合に当たらないとした事例

裁決事例集 No.38 - 85頁

 マンション建築用地の開発に当たり、都市計画法等の関係法令及び市の指導要綱に基づき、本件土地を無償提供しているが、土地の無償提供が本件開発行為における実質的な許可条件とされており、また、請求人が本件土地を提供したことにより開発行為の許可を受けられること自体、所得税法第78条第2項第1号かっこ書所定の「特別の利益がその寄付をしたものに及ぶ」と認められる場合に該当するから、本件土地の無償提供は、所得税法第78条第2項に規定する地方公共団体等に対して特定寄付金を支出した場合に当たらない。

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請求人が、支給された賞与から支払った寄付金である旨主張する金額は、勤務先法人がその関連法人に寄付すべき金額を請求人の賞与に上乗せしたものであり、請求人の寄付金控除は認められないとした事例

裁決事例集 No.45 - 122頁

 請求人は、請求人が勤務先法人より支給された賞与から勤務先法人の関連法人に寄付したものであるから、寄付金控除を認めるべきであると主張するが、次の事実から請求人の主張する寄付金は勤務先法人が直接寄付したものと認められる。

  1.  勤務先法人の賞与の明細書の交付状況をみると、支給明細書が2通あり寄付金相当額を含めた明細書は、勤務先法人の税務調査時に交付している。
     したがって、退職した従業員は、寄付金相当額を含めた明細書の交付は受けていないこと。
  2.  寄付金の額は、勤務先法人において基本賃金を基準にして算定しており、請求人は寄付申込書を白紙で勤務先法人に提出している。また、寄付に応じなかった従業員はその計算がなされていないこと。
  3.  勤務先法人は、請求人が寄付申込書を提出する前に、寄付金相当額を預り金として経理していること。

 したがって、請求人の賞与は、寄付金相当額を含めない金額となり、所得税法第78条に規定する寄付金控除はないものとされた本件更正は適法である。

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地方公共団体への土地の寄付が、所得税法第78条第2項第1号に規定する「その寄付をした者がその寄付によって設けられた設備を専属的に利用することその他特別な利益がその寄付をした者に及ぶと認められるもの」に該当するとした事例

裁決事例集 No.66 - 170頁

 特定寄付金とされる所得税法第78条第2項第1号の「国又は地方公共団体に対する寄付金」のうち、「その寄付をした者がその寄付によって設けられた設備を専属的に利用することその他特別な利益がその寄付をした者に及ぶと認められるもの」を除く旨の規定は、その寄付をした者が形式的には寄付したものであっても、それにより特別の利益を受ける場合には、実質的にみて寄付とはいえないので、かかるものを除く趣旨であると解される。
 請求人は、側溝をまっすぐに改修してもらうよう本件土地を買い上げ、P市に寄付したものであり、所得税法第78条に規定する寄付金控除に該当する旨主張する。
 しかしながら、本件寄付があり市道が拡幅されることとなったため、請求人の要望どおり、側溝の設置工事が行われており、また、旧市道が拡幅及び舗装されたことにより、主として当該市道を日常的に利用する請求人及び近隣住民の通行等の利便性が従来に比べ向上し、特に、自宅への進入路が狭くなっていた請求人は、市道として拡幅、舗装された部分に接する自宅玄関側敷地に新たに出入り口を設けるなど、本件寄付前に比べ利便性が向上したことが他の利用者以上に顕著であり、本件寄付の利益を最も享受しているといえることから、所得税法第78条第2項第1号に規定する「その寄付をした者がその寄付によって設けられた設備を専属的に利用することその他特別な利益がその寄付をした者に及ぶと認められるもの」に該当し、特定寄付金には該当しない。

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被相続人が宗教法人の敷地に接する市道の改修工事に係る費用を負担したことは、宗教法人に対する寄付に当たり、市に対する寄付に当たらないとして寄付金控除の適用を認めなかった事例

裁決事例集 No.75 - 243頁

 請求人は、市職員の指導誤りにより本件承認申請の名義が宗教法人D寺になったこと、本件決定に係る通知書には、本件工事で設置された工作物等が市に帰属する旨明記されていること、本来、工事費用はP市が負担すべきであること等から、特定寄付金に該当するのは明らかである旨主張する。
  しかしながら、道路法第24条は、私人などが自らの必要に基づいて道路に関する工事又は維持を行う必要が生じた場合、道路管理上支障がなければそれを許可することができるようにするために設けられた規定であり、このように道路管理者の積極的な意思に基づかず、第三者が自己の利便のために行う工事等であるから、道路法第57条は、承認を受ける第三者にその費用負担を義務付けたものである。
  そして、本件決定の承認条件として、道路敷に設けた工作物及び施設が、工事完了検査後市に帰属する旨定められた理由について、P市の担当課長は、「本件工事後の工作物等は道路の従物であり、工事費用を負担した者の所有のままにしておくと、その後の道路管理に支障を来たすため市に帰属させる必要があることから、『市に帰属する』という条件を付したもので、市が寄付を受けるとの意味ではない。」旨回答しており、工作物等をP市に帰属させることで、道路管理に支障が生じないように、D寺に義務として課したものであるということができる。
  したがって、本件工事の費用負担、本件工事により設けられた工作物及び施設をP市に帰属させることのいずれもが、本件決定で承認を受けた者に課せられた義務であるから、それを履行したことが、国等に対する寄付に該当するとはいえない。このことは、仮に被相続人が本件承認申請をしたとしても同様である。

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配偶者名義で支払われた義援金について、確定申告書の提出後に発行された当該義援金に係る受領証等からみて寄付金控除の適用が認められるとした事例

平成25年7月30日裁決

《要旨》
 原処分庁は、配偶者名義で支払われた義援金は請求人の寄附金控除の対象とならない旨主張する。
 しかしながら、当該義援金の振込票には請求人の妻の氏名が記載されているところ、請求人の妻が当該義援金に係る金員は請求人から受け取った旨申し立てていること、請求人の妻は確定申告をしておらず、当該振込票以外に請求人の妻が義援金を支出したことを推認させる事情はないことに加えて、確定申告書の提出後ではあるものの、当該義援金の受付先である日本赤十字社が、当該義援金に係る受領証を請求人に宛てて発行していることなどからすると、当該義援金は請求人が支出したものと認めるのが相当であるから、寄附金控除の適用が認められる。

《参照条文等》
 所得税法第78条第1項

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