所得控除

配偶者控除

  1. 雑損控除
  2. 医療費控除
  3. 小規模企業共済等掛金控除
  4. 寄付金控除
  5. 寡婦・寡夫控除
  6. 配偶者控除(2件)
  7. 扶養控除

内縁の夫は所得税法第2条第1項第33号に規定する控除対象配偶者に該当しないとした事例

裁決事例集 No.77 - 150頁

 請求人は、10年以上にわたり内縁の夫と同居し生計を一にしていること、請求人が加入している健康保険組合において内縁の夫が請求人の扶養配偶者と認定されていること、遺族年金が内縁の配偶者にも支給されること、所得税法の配偶者控除に係る条文に内縁関係の者は除外するとは記されていないことから、内縁の夫を控除対象配偶者と認め、配偶者控除を認めるべきである旨主張する。
 しかしながら、所得税法第83条第1項は、居住者が控除対象配偶者を有する場合、配偶者控除を適用する旨規定している一方で、同法は上記配偶者についての定義規定を置いていないが、身分関係の基本法は民法であるから、所得税法上の配偶者については、民法の規定に従って解するのが相当であるところ、民法は、婚姻の届出をすることによって婚姻の効力が生ずる旨を規定し(民法第739条第1項)、そのような法律上の婚姻をした者を配偶者としている(民法第725条、第751条等)から、所得税法上の配偶者についても婚姻の届出をした者を意味すると解するのが相当であり、所得税法上の配偶者の意義については、民法上使用されている配偶者の意義と同様に、戸籍法の定めるところにより市区町村長等に届出をした夫又は妻を指し、内縁の夫はこれに含まれないことになる。
 そして、これを本件についてみると、請求人は、内縁の夫を世帯主とする住民登録上、請求人の続柄として「妻(未届)」と登録されており、また、請求人の戸籍及び内縁の夫の戸籍のいずれにも、請求人及び内縁の夫に係る婚姻の記録はないことからすれば、内縁の夫が、請求人の民法の規定による配偶者であったとは認められない。
 したがって、内縁の夫は、請求人の所得税法上の配偶者に該当しないから、控除対象配偶者には該当せず、請求人は、配偶者控除を適用することはできない。

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年の中途で死亡した者の控除対象配偶者に該当するかどうかは、死亡時の現況により見積もったその年の1月1日から12月31日までの配偶者の合計所得金額により判定すべきであるから、配偶者控除は適用できないとした事例

裁決事例集 No.78 - 193頁

 請求人らは、所得税法第85条第3項において、年の中途において死亡した居住者の配偶者がその居住者の控除対象配偶者に該当するかどうかの判定は、死亡の時の現況による旨規定しており、居住者が死亡の時まで配偶者を扶養していたか否かによって判断されるから、当該判定に係る配偶者の合計所得金額の計算期間はその年の1月1日からその居住者の死亡の日までとなる旨主張する。
 しかしながら、合計所得金額を構成する所得税法第23条から第35条までの各種所得金額は、いずれも「その年中の」、すなわち、1月1日から12月31日までの収入金額又は総収入金額を基礎に計算されることから、それらの合計である合計所得金額についても1月1日から12月31日までの期間で計算されることとなる。そして、このことは、配偶者控除を受けようとする居住者が年中に死亡していたかどうかによって異なるものではない。

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