総則

資産から生ずる所得

  1. 納付義務者
  2. 所得の帰属
    1. 実質所得者課税の原則
    2. 所得の帰属者
      1. 事業に係る利益
      2. 役員等名義の取引
      3. 資産から生ずる所得(3件)
      4. 従業員の厚生団体
      5. リベート収入
      6. 組合に係る収益
      7. その他

法人名義の船舶の譲渡による所得はその現物出資者となっている個人に帰属するとした事例

裁決事例集 No.2 - 19頁

 船舶の現物出資により設立されたこととなっている請求人(法人)は、船腹調整規程による代替船舶の建造承認を得るための単なる手段として設立されたものにすぎず、当該船舶はその現物出資者となっている個人から当該法人の設立前に直接相手方に譲渡されたものと認められるから、当該船舶の譲渡に係る所得は、当該個人に帰属するものと認めるのが相当である。

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請求人名義で支払を受けた火災保険金の受取人は、請求人ではなく、代表者ら個人であるとした事例

裁決事例集 No.27 - 157頁

 原処分庁が請求人の益金であると認定した本件建物の焼失による本件保険金については、[1]本件建物を請求人が売買・贈与等により取得したとする証拠がなく、請求人の資産として会計帳簿に計上がないこと、[2]本件建物の登記簿上の名義人は請求人の代表者らの被相続人Eとなっており、少なくとも昭和52年11月から代表者個人名義で賃貸していたこと、[3]保険契約書に被保険者名の記載はないが、契約の締結に際し、本件建物の所有権者は、Eの共同相続人であると告知していること、[4]本件保険金の支払に際し、請求人が保険会社に提出した「本件建物は請求人に帰属する」旨の確認書は、保険契約者に代理受領させるため行われたものと認められること等から、請求人は本件保険金の真実の受取人とは認められない。

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収益の計上について、委任状の発行があることを絶対的なものとして、売買契約の名義人を取引の当事者と認定したことは相当でないとした事例

裁決事例集 No.51 - 281頁

  1.  原処分庁は、本件輸出取引は[1]請求人が取引先あてに委任状を発行し、取引先は請求人の代理人として入札に参加していること、[2]インボイスは、請求人から取引先の売上先あてに発行されていること、[3]信用状は、取引先の売上先が発行し請求人が受益者になっていること、[4]輸出報告書の名義は請求人であること及び[5]船荷証券の輸出者は請求人であることなどから、請求人と取引先の売上先との直接取引である旨主張する。
  2.  しかしながら、委任状は、代理権を与えたというより取引先が入札の際入札製品を特定するために発行したとみるのが相当であり、委任状の発行を絶対的な要件として、売買契約の当事者を請求人とすることはできない。また、売買契約書の条項には特則条項があることから、請求人は、取引先の指示に基づいてかかる措置を講じたものと認められ、[1]本件調達に係る納入業者の製品を請求人が仕入れた事実がなく、請求人が取引先の指示により船積みしたと推認できること、[2]本件通信文等には、本件輸出取引に係るほとんどすべての経過が記載されており、記載内容から実際の物及び金の流れと一致していることなどから、請求人の主張は相当である。
  3.  なお、請求人が取引先の指示によって送金した金員は、原処分庁は支払理由及び支払先が不明であると主張するが、請求人が銀行から送金小切手の受領を受け、当該取引先の指示する相手先に送金し、裏書人も当該相手先であることが認められることから、原処分庁主張は理由がない。

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