総則

組合に係る収益

  1. 納付義務者
  2. 所得の帰属
    1. 実質所得者課税の原則
    2. 所得の帰属者
      1. 事業に係る利益
      2. 役員等名義の取引
      3. 資産から生ずる所得
      4. 従業員の厚生団体
      5. リベート収入
      6. 組合に係る収益(2件)
      7. その他

漁業協同組合である請求人が、砂利採取業者による海砂採取に際して、同社から受領した金員は、請求人の組合員にではなく、請求人に帰属すると判断した事例

裁決事例集 No.62 - 217頁

 請求人は、砂利採取業者による海砂採取に際して、同社から受領した金員(本件金員)は請求人の組合員に対する漁業補償金であり、組合員に帰属するものであるから、その配分金額が確定するまで仮受金として計上することが認められる旨主張する。
 しかしながら、共同漁業権は漁協とその組合員全員に質的に分有され、漁協は漁業権の保有主体として管理機能を、組合員全員はその収益権能(漁業権行使権)をそれぞれ有していると解されるところ、本件金員は、請求人が砂利採取業社による共同漁業権設定水域外の水域における海砂採取に同意することに伴い受領した、請求人に帰属するものであって、所得税法施行令第94条(事業所得の収入金額とされる保険金等)第1項第2号に規定する補償金とは認められず、請求人の所得の計算上益金の額に算入すべき金額であるため、請求人の主張は採用できない。

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海面使用料は、砂利採取業者等から支払を受けた段階で請求人に確定的に帰属しているとした原処分を適法とした事例

裁決事例集 No.70 - 197頁

 請求人は、砂利採取業者等から受領した海面使用料は組合員に対する漁業補償金であるから、請求人の所得として課税するのは違法である旨主張する。
 しかしながら、請求人が所有する共同漁業権にその基礎を置く組合員の有する漁業権の行使権は、漁業協同組合の構成員たる組合員としての地位と不可分な、いわゆる社員権的権利であり、共同漁業権から派生しこれに附従する第二次的権利であって、砂利採取業者等との関係は間接的なものとなるから、漁業操業上の利益の喪失による損害を請求することはできず、これを請求できるのは共同漁業権を有する請求人のみであること、海面使用料に関する契約ないし請求はいずれも請求人が当事者となっていることからすれば、海面使用料は、砂利採取業者等から支払を受けた段階で請求人に確定的に帰属しているというべきである。

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