ホーム >> 公表裁決事例集等の紹介 >> 公表裁決事例要旨 >> 法人税法関係 >> 貸付金利息
貸付金利息
- 収益の帰属事業年度
- 益金の額の範囲及び計算
- 損失の帰属事業年度
- 損金の額の範囲及び計算
- 圧縮記帳
- 引当金
- 繰越欠損金
- 借地権の設定等に伴う所得の計算
- 特殊な損益の計算
- 適格合併
債務者である代表者が債務超過に陥っているか否かの判断に当たり、代表者が所有する個々の資産、負債の評価は、代表者が所有する請求人の株式を含め、時価評価(純資産価額方式)によることが相当であるとした事例
請求人は、請求人の代表者は債務超過の状態にあり、同人に対する貸付金に係る利息は回収困難であるから、法人税基本通達2−1−25の(1)及び(3)に該当する旨主張するが、同通達の(1)及び(3)は、元本そのものが不良債権化したという場合であって、そのような危機的状況が生じているかどうかの一つのメルクマ−ルを「債務超過」に求めているものであるから、債務超過の状態は実質的に判断すべきであり、債務者の個々の資産及び負債を時価評価して債務超過の状態にあるか否か、また、債務者の支払能力の有無等を総合して客観的に判断すべきものと解される。
そこで、請求人の株式を純資産価額方式により評価して代表者の資産負債の状況を見ると、同人が到底債務超過の状況にあるとは認められず、しかも債務の大部分は請求人からのものであるから、貸付金の元本自体の回収が危機的状況にあるとは認められない。
また、同人は換金可能な土地等の不動産、株式を有していること等から、利息を支払えないことにつき客観的にやむを得ない事情、すなわち「相当の理由」があるとは認められないから、上記通達の(1)及び(3)に該当しない。
平成9年11月14日裁決
複数の借入金がある場合において、当該各借入金が貸付金の原資となっていると認められるときは、当該各借入金の利率を加重平均した利率をもって当該貸付金に係る通常の利率とすることに合理性があるとした事例
原処分庁は、所得税基本通達36−49《利息相当額の評価》について、個人の経済的利益を評価する際の定めであるから、法人の経済的利益を評価する際に直接適用することはできないが、当事者間で通常収受すべき利息相当額を計算するという目的からすれば、特段の事情のない限り、法人の経済的利益の評価に準用するのが相当であるとし、本件債権については、同通達の「その他の場合」の利率(利子税の特例基準割合と同率)を適用すべきである旨主張する。
しかしながら、金銭の貸付けに係る通常の利率については、貸主の借入状況や市中金利の動向等の事情を総合勘案して適正利率を算定することが原則であり、本件債権のように、借入金をもって貸し付けているが、いずれの借入金をもって貸し付けているか特定できず、かつ、借入金の利率が同一でないものについては、当該各借入金の借入利率に基づく平均借入利率をもって適正利率とすることに合理性があると解されるところ、当該各借入金の借入利率に基づいて算定した平均借入利率は、原処分庁が認定した利率を下回っている。したがって、原処分庁が適用した利率は採用できない。
平成18年12月14日裁決