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受取配当等
- 収益の帰属事業年度
- 益金の額の範囲及び計算
- 損失の帰属事業年度
- 損金の額の範囲及び計算
- 圧縮記帳
- 引当金
- 繰越欠損金
- 借地権の設定等に伴う所得の計算
- 特殊な損益の計算
- 適格合併
最低資本金を満たすために行った利益等の資本組入れに係る受取配当金について、確定申告書に益金不算入額及びその計算明細の記載がないこは「やむを得ない事情」には該当しないとした事例
請求人は、本件受取配当金の益金不算入の申告ができなかった原因は、本件増資法人が支払通知をしなかったことにあり、このことは法人税法第23条第6項に規定する「やむを得ない事情」に該当する旨主張する。
しかし、この場合の「やむを得ない事情」とは、たとえば、風水害、地震、火災、法令違反の嫌疑等による帳簿書類の押収及びこれらに準ずるもの、即ち、外的要因によって、自己の力だけでは到底申告書の記載ができないような場合であって、自己の責めに帰すべき事情はこれに該当しないと解されるところ、請求人は、[1]本件増資会社の筆頭株主であり、かつ、請求人の代表者は本件増資法人の取締役であること、[2]本件増資に係る定時株主総会議事録には、請求人代表者の記名、押印があることから、確定申告書に益金不算入額及びその計算明細の記載がないことは「やむを得ない事情」には該当しないとした更正処分は適法である。
平成13年2月23日裁決
受取配当等の額から控除する負債の利子の額の計算においては、無配の関係法人株式等の帳簿価額も法人税法施行令第22条第2項第2号に規定する関係法人株式等の帳簿価額に含まれるとした事例
請求人は、受取配当等の益金不算入額を算出する際に受取配当等の額から控除する負債の利子の額について、請求人が実際に受領した配当等に係る関係法人株式等の帳簿価額と総資産の帳簿価額との割合を負債の利子の額に乗じて計算すべきである旨主張する。
しかしながら、昭和40年の税制改正により、請求人が主張するひも付計算は廃止されており、現行法においては、期末に保有する全部の関係法人株式等の帳簿価額と総資産の帳簿価額との割合を負債の利子の額に乗じて計算することとされている。したがって、請求人の主張には理由がない。
平成20年3月11日裁決
請求人が子会社から受けた利益剰余金を配当原資とする剰余金の配当及び資本剰余金を配当原資とする剰余金の配当は、その全額が資本の払戻しによるものに該当するとした事例
《要旨》
請求人は、請求人の子会社からの利益剰余金を原資とする剰余金の配当及び資本剰余金を原資とする剰余金の配当について、会社法上別々の法律行為として成立しているのであるから、利益剰余金を原資とする剰余金の配当は法人税法第23条《受取配当等の益金不算入》第1項第1号の剰余金の配当に、資本剰余金を原資とする剰余金の配当は同法第24条《配当等の額とみなす金額》第1項第3号の資本の払戻しによるものにそれぞれ該当する旨、また、当該剰余金の配当の全額を同号に規定する資本の払戻しによるものとして取り扱うと、法人税法施行令第23条《所有株式に対応する資本金等の額又は連結個別資本金等の額の計算方法等》第1項第3号の「払戻し等に係る株式の総数」に、利益剰余金を原資とする剰余金の配当の対象となった種類株式数が含まれるため、種類株式ごとの対応が図れないこととなる点からも当該剰余金の配当の全額が資本の払戻しによるものに該当しない旨主張する。
しかしながら、当該子会社は、剰余金の配当の原資となる利益剰余金及び資本剰余金を同一の効力発生日に同時に減少して剰余金の配当を行っているから、当該剰余金の配当は、その全額が資本剰余金の額の減少に伴うものに該当し、法人税法第24条第1項第3号に規定する資本の払戻しとして同条が適用されることとなる。また、上記「払戻し等に係る株式の総数」の「払戻し等」には同号の資本の払戻しが含まれ、当該剰余金の配当の全額が資本の払戻しによるものに該当するから、当該子会社から当該剰余金の配当の支払を受けた株主が所有する当該子会社発行済株式の総数が上記「払戻し等に係る株式の総数」となる。
《参照条文等》
法人税法(平成21年法律第13号による改正前のもの)第23条、第24条
残余財産の分配に係るみなし配当の額の計算における資本金の額は、確定決算において資本金として計上された金額を意味すると解するのが相当であるとした事例(
平23.8.1から平24.7.31の事業年度の法人税の更正処分、
平24.8.1から平25.7.31の事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、
平24.8.1から平25.7.31の課税事業年度の復興特別法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却・平成28年3月25日裁決)
《ポイント》
本事例は、外国子会社の残余財産の分配に係るみなし配当の額の計算における資本金の額は、確定決算において資本金として計上された金額を意味すると解するのが相当であるとしたものである。
《要旨》
請求人は、外国の子会社(本件子会社)の残余財産の分配に係るみなし配当の額の計算において、法人税法施行令第23条《所有株式に対応する資本金等の額又は連結個別資本金等の額の計算方法等》第1項第3号でいう直前資本金額等は、請求人が本件子会社に払い込んだ米ドルで表示された金額に基づき算定すべきである旨主張する。
しかしながら、直前資本金額等とは、残余財産の分配を行った法人の当該分配の直前の資本金等の額をいうものであるところ、資本金の額については、法人税法に資本金等として払い込まれた額又は法人の財務諸表に表示された額のいずれをいうのかを判断するための明確な定義が置かれていないことから、会社法における資本金の額、すなわち、確定決算において資本金として計上された金額を意味すると解するのが相当であり、本件における直前資本金額等は、本件子会社の貸借対照表に資本金として計上された人民元で表示された金額に基づき算定するのが相当である。
《参照条文等》
法人税法第2条第16号、第23条、第23条の2、第24条
法人税法施行令第23条第1項第3号
外国法人が株式会社である場合、外国子会社配当益金不算入制度の対象となる外国子会社に該当するかどうかは、「株式の数」により判断すべきとした事例(平成25年6月1日から平成26年5月31日までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、平成25年6月1日から平成26年5月31日までの課税事業年度の復興特別法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却・平成30年12月14日裁決)
《ポイント》
本事例は、法人税法施行令第22条の4第1項第1号の「株式又は出資の数又は金額」の読み方は、「株式の数」、「出資の金額」、「株式の金額」及び「出資の数」の四通りの組合せがあるが、外国法人が株式会社である場合、外国法人の経営判断への内国法人の支配力(影響力)を示すのは「株式の数」であるとしたものである。
《要旨》
請求人は、請求人に剰余金の配当を行った海外法人(本件法人)が法人税法施行令第22条の4《外国子会社の要件等》第1項第2号に規定する要件を満たす外国子会社に該当するか否かは、「議決権のある株式の金額」等を判断基準とするものと解され、これによれば同号に規定する割合は100分の25以上となるから、当該配当を行った日において本件法人は外国子会社に該当する旨主張する。
しかしながら、外国法人が株式会社である場合、外国子会社の判断基準は「株式の数」であると解するのが相当であるところ、これによれば本件法人の同項各号に規定する割合は、当該配当を行った日においていずれも100分の25未満であると認められるのであるから、本件法人は外国子会社には該当しない。
《参照条文等》
法人税法第23条の2第1項
法人税法施行令第22条の4第1項