青色申告

帳簿の不実記載

  1. 青色申告承認の取消し
    1. 帳簿の備付け義務違背
    2. 帳簿の不実記載(5件)
    3. 無申告、期限後申告
    4. 理由付記

仮装隠ぺいを理由とする青色申告承認の取消しを不相当とした事例

裁決事例集 No.1 - 36頁

 売掛債権の貸倒処理に当たって、仮装隠ぺいがあったとする原処分庁の事実認定には誤りがあるので、青色申告承認の取消し処分は不相当である。

トップに戻る

棚卸計上漏れを理由とする青色申告承認の取消しを不相当とした事例

裁決事例集 No.5 - 38頁

 原処分が青色申告の取消原因とした棚卸計上漏れについて、その起因となった材料及び製品の受払いカードの記帳状況について審理したところ、いずれも受払いカードの単なる記帳誤りであり、当事業年度末の総体の在庫数量は請求人が確定決算に計上した数量と一致するものと認められるから、原処分は取り消すことが相当である。

トップに戻る

専務取締役が行った架空取引は請求人が行ったと認めるのが相当であり、青色申告の承認取消し処分は相当であるとした事例

裁決事例集 No.63 - 362頁

 請求人は、原処分庁が青色申告の承認取り消し理由としてあげた各事実は、元専務取締役が個人的利益を図るために行ったものであり、請求人はまったく関与していないから、法人税127条1項3号に規定する青色申告の承認取り消しは誤りである旨主張する。
 しかしながら、[1]Mに対して架空売上を計上していた事実、[2]R及びSに対して架空仕入れを計上していた事実、[3]元専務取締役がMから簿外で回収した金員とMの担当者に返還した金員の差額を収入から除外した事実、[4]元専務取締役がMの担当者から再バックを受けた金員を収入から除外した事実が認められるところ、上記[1]から[4]の各事実について代表者の認識の有無及び承認した事実の存否は必ずしも明らかではないが、帳簿書類の正確な記帳を推進するとの青色申告制度の趣旨にかんがみれば、仮装隠蔽行為が代表者によってなされたか、あるいは代表者が知っていた場合に限定されるものと解すべきではなく、当該法人のために働く従業員が代表者の承認を得ずに行った場合でも該当するものと解するのが相当であり、請求人の記帳は法人税法第127条第1項第三号に規定する要件に該当し、原処分庁が行った青色申告の承認取り消し処分は適法である。

トップに戻る

「その事実の発生について特別な事情があり、かつ、再発防止のための監査体制を強化する等今後の適正な記帳及び申告が期待できる」(「法人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針)」)とは認められないとして、青色申告の承認の取消処分は適法であるとした事例

裁決事例集 No.65 - 500頁

 請求人は、本件青色申告承認取消処分につき、平成12年7月3日付課法2−10「法人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針)」の5「相当の事情がある場合の個別的な取扱い」の[1](「その事実の発生について特別な事情があり、かつ、再発防止のための監査体制を強化する等今後の適正な記帳及び申告が期待できる」)の判断を誤ったものであり、違法である旨主張する。
 しかしながら、本件売上除外(法人税法第127条第1項第3号該当)の実行者は、当時の請求人の代表取締役(父)から指示を受けて、請求人の仕入れ及び在庫管理に係る業務を担当していた者であることからすると、請求人に、「その事実の発生について特別な事情がある」ということはできず、また、当該実行者が請求人の代表取締役に就任した以後においても、不正な申告については是正(修正申告)を行わず、引き続き売上金の一部を除外し、それに基づいて確定申告書を提出していたものであるから、請求人が再発防止のために強化したとする監査体制は、適正な申告を行うという観点からは、十分に機能していると認められない。
 したがって、この点に関する請求人の主張は採用できない。

トップに戻る

請求人が取引先に対し内容虚偽の請求書を作成させた事実を推認することはできないとした事例

平成25年6月13日裁決

《要旨》
 原処分庁は、青色申告承認取消処分の理由として、請求人が外注費として計上したテレビ番組の制作費等の額は、実際には取引がないにもかかわらず、内容虚偽の請求書を取引先に作成させて取引があるかのように仮装して計上したものである旨主張する。
 しかしながら、原処分庁が処分の根拠とした取引先の関係者の申述等には不自然な点が散見され、にわかに信用することができず、むしろ、当該申述等によれば、請求人は取引先との間で実際に取引を行ったものの、請求人が当該取引から何ら結果を出すことができなかったため、当該取引先が当該取引に係る受領額を別の取引の代金に充当することとしたと推認するのが合理的であり、請求人が内容虚偽の請求書の作成を取引先に対し依頼した事実を推認することはできないから、青色申告承認取消処分は、これを取り消すべきである。

《参照条文等》
 法人税法第127条

トップに戻る