贈与税の課税財産の範囲

預貯金等

  1. 贈与財産の範囲
  2. 贈与事実の認定
    1. 贈与登記
    2. 土地
    3. 有価証券
    4. 現金等
    5. 預貯金等(3件)
  3. 課税財産

定期預金は請求人が受けるべき報酬の蓄積によって設定されたものではなく、贈与により設定されたものと認定した事例

裁決事例集 No.15 - 63頁

 請求人は、本件定期預金は、養父より贈与を受けたものではなく、請求人が養父の事務所において特別な事務に従事したことに対する報酬に係る資金によって設定されたものであり、その報酬については事業所得として申告している旨主張するが、請求人が養父の事務所において特別な業務に従事していた事実は認められないこと、また、上記の報酬が請求人に支払われていたように供述を合わせていた事実は、養父に対する所得税法違反事件判決書等において認定されていることからみるとその主張には理由がない。しかも、本件定期預金は養父の資金によって請求人名義で設定されていると認められることから、請求人が養父から本件定期預金を贈与により取得したものであると認定した原処分は相当である。

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父名義預金を解約して請求人名義の定期預金等を開設したことは、父から贈与により取得したものであるとして請求人の主張を排斥した事例

裁決事例集 No.51 - 518頁

 請求人は、J銀行a支店ほか2行の預金8,700万円のうち7,200万円は、夫から預かったものであり、父から贈与を受けたものではなく、仮に、贈与を受けたものであるとしても、贈与は平成3年1月1日であるから平成3年分の贈与である旨主張する。
 しかしながら、次の事実によれば、平成2年分の贈与税の課税価格は7,260万円(8,700万円−1,500万円+60万円)となるので、本件決定処分は適法である。

  1.  平成2年12月31日に[1]K銀行c支店で、同支店及びd支店の父名義の普通預金口座から出金された3,800万円により、同支店の請求人名義の定期預金等3,800万円が開設、[2]L銀行e支店で、f支店及びg支店の父名義の普通預金口座から出金された3,300万円により、同支店の請求人名義の定期預金等3,300万円が開設、[3]J銀行a支店で、b支店の父名義の普通預金口座から出金された1,600万円は、同支店の請求人名義の普通預金口座に入金されていること。
  2.  平成3年3月4日にJ銀行a支店で、同支店の請求人名義の普通預金口座から出金された1,500万円は、b支店の父名義の普通預金口座に入金されていること。
  3.  請求人は、平成2年中に父から60万円の贈与を受けていること。

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被相続人名義の口座に入金された金員の合計額の一部は、請求人らの亡父から贈与されたものではなく、贈与により取得した財産には当たらないと判断した事例(平成26年分の贈与税の決定処分・一部取消し・令和元年9月24日裁決)

令和元年9月24日裁決

《ポイント》
 本事例は、被相続人名義の口座に入金された金員の合計額の一部については、その原資は請求人らの亡父の預金口座から同人の意思に基づき出金された金員であると認められ贈与により取得した財産に当たるが、その余の金員の原資は請求人らの亡父に帰属していたとは認められず、贈与により取得した財産には当たらないと判断したものである。

《要旨》
 原処分庁は、被相続人(本件被相続人)名義の口座(本件被相続人口座)に入金された金員の合計額(本件金員)は、請求人らの亡父が本件被相続人に贈与したものであるから、相続税法(平成27年法律第9号による改正前のもの)第2条の2《贈与税の課税財産の範囲》第1項に規定する贈与により取得した財産に当たる旨主張し、請求人らは、請求人らの亡父が本件被相続人に本件金員を贈与する旨の意思表示をしたとする客観的証拠はないことから、本件金員は、同項に規定する贈与により取得した財産に当たらない旨主張する。
 しかしながら、本件金員の一部については、その原資が請求人らの亡父の預貯金から同人の意思に基づき出金された金員であり、本件被相続人口座に当該出金された金員と同額が入金された後に本件被相続人口座から本件被相続人の老人ホームの利用料が支払われていることなどから、同項に規定する贈与により取得した財産に当たるが、本件金員から左記の贈与により取得したと認められる金員を差し引いた残部については、その原資が請求人らの亡父に帰属していたと認めることはできないことから、同項に規定する贈与により取得した財産に当たらない。

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