贈与税の課税財産の範囲

土地

  1. 贈与財産の範囲
  2. 贈与事実の認定
    1. 贈与登記
    2. 土地(2件)
    3. 有価証券
    4. 現金等
    5. 預貯金等
  3. 課税財産

本件土地は伯父の相続人から請求人に贈与されたものではなく、父からの相続により取得したものと認めるのが相当であるとした事例

裁決事例集 No.43 - 325頁

 本件土地は、[1]祖父の死亡後に伯父、父及びその姉妹が集まって開いた親族会議において、伯父は独立して生計を立てており、父が祖父と生計を一にして家業(農家)を行っているので、父に家業を継がせることが確認された旨父の姉妹が証言していること、[2]父は祖父より家業を引き継ぎ、祭祀を行い、引き継いだ土地を支配管理し、使用収益及び一部を処分していること、[3]昭和44年12月23日に農地法第3条の規定に基づいて、伯父から父への農地の所有権移転の許可を受けていること及び[4]伯父の相続人らは、請求人に本件土地を贈与したとの認識はない旨答述していることから、祖父の死亡後その家督相続人たる伯父から父に贈与され、その後、父からの相続により請求人が取得したものと認めるのが相当である。

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本件土地は、調停調書に記載の相続ではなく請求人が贈与により取得したもので、その価額は買収予定価額ではなく評価通達により評価した価額によるべきであり、また、その土地は最初に買取り等の申出を受けた者以外の者である請求人が譲渡しているので、収用交換等の場合の特別控除の特例の適用はないとした事例

裁決事例集 No.75 - 508頁

 遺産分割は、被相続人が遺言で禁じた場合を除く外、何時でも、その協議で行うことができるところ、仮に、遺産分割調停申立て前までに共同相続人間で相続に係る遺産分割が成立していないとすれば、請求人は、相続の開始及び相続不動産の存在を了知しており、かつ、兄が本件被相続人の遺産のすべてを事実上取得していることにつき不満を有していたのであるから、例えば、姉が兄に対し相続財産である別件土地の所有権移転を要求した時などに共同相続人の間で協議による分割請求を行うのが合理的な行動であると考えられるのにもかかわらず、請求人は、姉から一緒に兄に対し一緒に財産分けの要求をしないかと相談されたもののこれを断るほか、別件土地の所有権移転がなされた事実を確認した後、共同相続人間で何らの協議もしないまま、当該調停の申立てを行うなどの行動をとっている。
  これに加え、1共同相続人は、相続不動産のほとんどが農地であったために、農業を引き継ぐ長男である兄がすべての農地を含めて遺産を相続するものと認識しており、これは、被相続人の死亡の際には、生前に分与された残りの財産をすべて跡取りが相続するのが建前であったとされる本件相続開始当時における農家相続の実態調査等の結果にも合致するものであると認められること、2相続不動産の一部が兄により売却され、請求人が現金の分与がないことに不満を持っていたにもかかわらず、その売却代金の帰属につき何らの異議も申し立てていないこと、3相続開始後調停に基づく相続登記までの経過年数が41年11か月であるにもかかわらず、その間に一度も遺産の分割請求がなされないことは極めて不自然であると考えられることなどに照らせば、調停によって相続に係る遺産分割が成立したものとは認められず、かえって、遅くとも別件土地についての所有権移転の要求が姉から兄に対してなされた時までには、共同相続人間においては、相続不動産のすべてについて、兄が単独で相続することにつき黙示の合意があったと推認することができるというべきであるから、本件土地の所有権は、相続登記がなされているものの、請求人が兄から贈与により取得したものと認めるのが相当である。
  そして、贈与により取得した財産の価額は、特別な事情がない場合には、財産評価基本通達により定められた評価方法によって画一的に財産の評価を行うのが相当であるところ、起業者による買取り等の申出に基づく売却予定価額は、贈与税の課税時期における時価としての客観的な交換価値が顕在化したものとまでは認め難く、また、財産評価基本通達により定められた評価方式で評価した場合の価額が買収予定価額に比べ著しく低額となることをもってしても特別の事情が存するとはいえないことに加え、当審判所の調査によっても、本件土地の評価に当たり、財産評価基本通達に定める評価方法を適用することが著しく不合理であるとする特別な事情があるとは認められないことからすれば、本件土地の価額は、評価基本通達によって評価した価額とするのが相当である。

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