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預貯金
定期預金の評価上、既経過利子の額の算出については、解約利率により算出した額から、源泉徴収所得税相当額を控除すべきであるとした事例
裁決事例集 No.20 - 206頁
定期預金は、一般の貸付金債権のように契約期間を通ずる約定利率が定められているのであるが、預入者が預入期間中に払戻しを受ける場合には、その預入期間に応じた所定の期限前解約利率による利子が付されることになっている。このような定期預金契約を全体としてみると、預入期間に応じて預入期間を通ずる利率が段階的に漸増していき一定期間経過時に一定利率に達する定額郵便貯金契約と、経済的実質的に同質のものと認めるのが相当である。
したがって、定期預金の既経過利子の額については、相続人が定期預金を期限前に解約したか契約期間満了の時まで契約を継続したかにかかわりなく、相続開始の時における期限前解約利率によりこれを計算すべきである。
また、法定果実である利子を実際に取得する際に、その取得者が当該既経過利子を含む利子の全額を対象とする源泉徴収に係る所得税を徴収されるという現行税制を踏まえて、一般的に、当該既経過利子の額に対応する源泉徴収に係る所得税の額に相当する額が取引価額に係る価格形成要因として認識され、当事者間の所得税の負担が調整されていることが認められる。
定期預金に係る既経過利子の額においても、この理は妥当すると認められるから、相続税における定期預金の評価に当たっては、その既経過利子の額に対応する源泉徴収に係る所得税の額に相当する額を価格形成要因として考慮すべきである。
したがって、定期預金の評価上、その預入金額に加えるべき既経過利子の額の評価については、期限前解約利率により算出し、これに対する源泉徴収所得税の額に相当する金額を控除すべきである。
昭和55年12月12日裁決