財産の評価

家屋及び庭園設備

  1. 評価の原則
  2. 土地及び土地の上に存する権利
  3. 家屋及び庭園設備(2件)
  4. 動産
  5. 取引相場のない株式
  6. 出資の評価
  7. 預貯金
  8. 貸付金債権等
  9. 預託金制のゴルフ会員権
  10. 施設建築物の一部の給付を受ける権利
  11. 構築物

本件家屋に賃借人が住んでおらず、家賃が未払等であっても、賃貸借契約は継続していると認められることから、本件家屋は貸家として評価すべきであるとした事例

裁決事例集 No.78 - 448頁

 原処分庁は、本件家屋についてまる1平成17年1月以降公共料金の使用実績がないこと、まる2賃料の支払を確認できないこと及びまる3請求人の被相続人の母親が死亡してからは貸しておらず空家であり、本件相続開始日において貸していない旨の原処分庁の調査担当者に対する申述をもって、賃貸されていたとは認められない旨主張する。
 しかしながら、仮に賃借人が電気、ガス、水道を使用していなかったとしても、不在により使用がなかったにすぎず、本件家屋が賃貸借の目的となっていない理由とはならず、また、賃料の支払を確認できないことについては、確かに、平成10年1月以降支払われていないことが認められるが、被相続人が賃借人に対し借地借家法第26条第1項及び第27条第1項に規定する解約の申入れをした事実は認められず、借地借家法には賃料が未払である事実があれば解約されたものとみなす規定もないから家賃が未払になった後も賃貸借契約は継続していたというべきである。さらに、請求人の原処分庁の調査担当者への申述についても賃借人が平成9年7月以降平成21年4月ころまでの間も本件家屋に荷物を置いて同所を占有していたこと、賃借人が父親の死亡後に被相続人から本件家屋を賃借したものであり、請求人も平成21年4月ころ、賃借人から残置家財の放棄承諾書の送付を受けるなど同人の適法な占有を前提とする行為をもしていることと整合せず、本件家屋が本件相続開始日において賃貸の用に供されていないことを裏付けるに足りるものとはいえない。したがって、これらの原処分庁の主張は採用することはできず、本件家屋は相続開始日において賃貸借の目的となっている貸家であると認められる。

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自宅の庭園設備について、評価通達92《附属設備等の評価》の(3)の定めに基づいて評価するのが相当であるとした事例(平成30年9月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)

令和5年3月7日裁決

《ポイント》
 本事例は、自宅の庭園設備も、評価通達92《附属設備等の評価》の(3)に定める「庭園設備」として評価することが相当であると判断したものである。

《要旨》
 請求人は、被相続人の自宅庭園(本件庭園設備)について、個人宅の庭であり、その立地条件等からしても本件庭園設備を一体として売却できず、また、立木や庭石、灯篭等を個別に売却するとしても買取り価額は低額である上、実際に買手が見つからないことから、交換価値がなく財産評価基本通達(評価通達)は適用されない旨主張する。
 しかしながら、評価通達92《附属設備等の評価》の (3)(本件通達)は、「庭園設備」について、家屋の固定資産税評価額に含まれていないことから、金銭に見積もることができる経済的価値のある全てのものが相続税法に規定する財産であることに照らし、家屋とは別に独立した財産として評価すべきであるとしたものと解するのが相当であるところ、本件庭園設備は、家屋とは別異の設備として、複数の業者によって金銭に見積もることができる経済的価値が認められているものであることからして、家屋とは別に独立した財産として評価すべきものである。また、本件庭園設備は、造園されたものであるから、庭石商の店頭におけるように、立木や庭石、灯篭等を個別に売却することを前提に評価することは相当ではなく、上記のとおり、経済的価値が認められているものである。よって、本件庭園設備の相続税の課税価格に算入される価額は、本件通達の定める方法によって評価するのが相当である。

《参照条文等》
 相続税法第22条
 財産評価基本通達92(3)

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