納税の猶予と担保

担保

  1. 納税の猶予
  2. 担保(7件)

延納条件が有利に変更された場合は、変更前になされた保証債務も、主債務と同様の内容をもって存続しているとした事例

裁決事例集 No.17 - 1頁

 主債務者たる納税者の延納税額について最終納期限及び分納税額が従前と比較して有利に変更された場合には、変更前になされた主債務者に係る請求人の保証債務も、当然に、主債務と同様の内容をもって存続しているものというべきである。

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増担保の要求処分の是非について、保証人の資力が著しく減少したため、請求人の国税の納付を担保することができないものと認定した事例

裁決事例集 No.17 - 7頁

 保証人(会社)が多額の債務超過となり、裁判所からの更生手続開始決定を受ける等の事情にある場合には、その資力が延納許可時に比べて著しく減少したため、保証人として請求人の国税の納付を担保することができないものと認められるので、原処分庁のした増担保の要求処分は正当である。

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破産法人がその取締役の滞納国税のために破産宣告前にした納税保証は、適法有効な担保提供手続(保証契約)によるものであり、破産手続の開始によって何らの影響も受けないとした事例

裁決事例集 No.52 - 18頁

  1.  請求人は、本件保証契約の存在を明らかにする書面の不存在を理由に、株式会社Fを保証人と認めることはできない、又は保証契約は無効と主張するが、その主張に係る担保提供書、納税保証書及び取締役会議事録写しは、いずれも所定の手続に従って作成され原処分庁に提出されていることが確認でき、また、担保提供手続に瑕疵は認められないので、本件保証契約は有効に成立していると認めることができる。
     また、取締役会の承認決議は、議事録写しの記録、内容及び印鑑証明書等の添付書類から適法有効になされていることが認められるから、請求人の主張はいずれも理由がない。
  2.  本件保証契約締結において、株式会社Fには破産手続が開始されたときの本件保証国税の優先配当権につき法律行為の要素の錯誤があるから保証契約は無効と主張するが(本件保証国税に破産手続における優先配当権を主張する効力はない。)、保証国税に優先配当権があるかどうかは、当然には本件保証契約の意思表示の内容の主要部分を成すものではないから、錯誤に基づく本件承認決議及び契約締結行為は無効であるとする主張は採用することができない。
  3.  請求人は、原処分庁に信義則義務違反がある旨主張するが、本件保証契約が締結された時点において、原処分庁はもとより、滞納者又は株式会社Fのいずれにおいても、株式会社Fが破産を宣告されるという事態に至ることを予測していたとは認められない。
     したがって、原処分庁は破産という特殊な事態を想定して、破産手続における保証国税の効力について株式会社Fに知らしめるべき信義則上の義務を負っていたとする主張は採用することができない。

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担保物処分(国税を担保する抵当権の実行)のための差押処分につき抵当不動産の第三取得者に対して民法第378条[滌除の意義]以下に定める抵当権の実行通知をはじめとする諸手続をとらないことに違法はないとした事例

裁決事例集 No.60 - 36頁

 請求人は、贈与税の納税義務を負っている者から、同人の贈与税額を担保するために、大蔵省が抵当権を設定している不動産を購入した第三取得者の立場にある。
 請求人は、原処分庁が右の贈与税を徴収するためにした、担保物処分(国税を担保する抵当権の実行)としての担保不動産の差押処分について、民法第378条[滌除の意義]以下に定める抵当権の実行通知をはじめとする諸手続を行っていない違法があるとして、その取消しを求める旨主張する。
 しかしながら、国税担保のための抵当権の実行手続については、国税通則法第52条第1項で「滞納処分の例により処分する」と規定されているのみであり、国税通則法、国税徴収法及びその他滞納処分に適用される法令には、滌除に関する民法の規定を適用ないし準用する旨の規定が置かれていないこと及び右の「滞納処分の例により処分する」の規定の趣旨は、租税の徴収については、租税のもつ特殊性から、迅速かつ能率的に行うため自力執行制度としての滞納処分手続がとられ、民事執行手続によらないとされており、その延長として国税の担保物の処分による徴収も同じ手続で行うことを定めたものと理解でき、国税担保のための抵当権については、滌除に関する民法の規定が適用ないし準用されないものと解することに合理性が認められること等から、原処分は適法である。

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物上保証人である請求人が担保提供に承諾したことにつき、動機の錯誤により無効である旨の主張を排斥した事例

裁決事例集 No.73 - 32頁

 請求人は、1請求人自身も共同相続人の一人であると信じたことにより他の相続人である滞納者の相続税の延納につき請求人所有不動産を担保提供することに承諾する意思表示をしたこと、2しかしながら、被相続人と請求人との養子縁組が訴訟により無効とされ遡及的に相続人ではなかったことになったこと、3したがって、その担保提供を承諾する意思表示は動機の錯誤により無効であることを主張して、原処分庁がした請求人所有不動産に対する担保物処分のための差押えの取消しを求めている。
 しかしながら、請求人の養子縁組の効力については請求人が担保提供に同意する以前から争いがあったことなどの事実の下においては、請求人は、少なくとも、担保提供の承諾の時において自己の相続人としての地位がその争いの帰趨によっては失われる可能性があることを認識していたものと推認するのが合理的である。また、請求人と被相続人との関係が、実体上、養親子関係にないことは、そもそも請求人自身において当然に熟知していたものというべきである。
 そうすると、請求人は、本来は相続人でないところ、担保提供の承諾をした当時、相続人でないことの可能性は十分に認識していたというべきであるから、相続人でないのに相続人であると認識していたというような動機の錯誤があったとまでは認めることができないというべきである。したがって、請求人の主張には理由がない。

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請求人の意思に反して担保提供がされたとは認められないとした事例

平成22年12月3日裁決

 請求人は、請求人が所有する本件不動産を請求人の長男であるJの滞納国税の担保とする旨の本件担保提供書等は、請求人の長女であるQが請求人に無断で作成したものであり、本件担保提供書等に添付された印鑑証明書も、Qが請求人に無断で交付を受けたものであるから、本件不動産の担保提供は無効であり、無効な契約に基づく抵当権設定登記を前提とする本件差押処分は違法である旨主張する。
 しかしながら、1Qは、請求人の自宅の近くに居住し、請求人と親密な親子関係の下にあって、請求人は、請求人がすべき様々な手続についてQに頼り、Qは、請求人の実印を使用する手続を代行することも珍しくなく、いつも請求人の意向に沿った行動をしていたものと推認できること、2請求人は、Jに対し、母親としてJを援助することに労を惜しまず、援助を求められればできる限り応じていたと推認でき、そのことをQも知り得たものと推認されること、3請求人は、Jが納税のための資金繰りに窮し、請求人の援助だけでは足りず、Q及び請求人の自宅の近隣に居住していた請求人の弟Sからも資金援助を受けたことを知っており、頻繁な往来のある親族の間で、滞納国税の処理の対応を検討していたことは、Q及び請求人と同一市内に居住していた請求人の次女Rはもとより、S夫婦まで知っていたにもかかわらず、請求人にそのことが全く伝わらなかったと断定できる状況にあったとはいえないこと、4Jの関与税理士は、Q及びRに、担保提供物件の選択について請求人に相談するよう指示したところ、Qから請求人が自宅がなくなると困ると言うので本件不動産にした旨確認したこと、5請求人は、本件不動産が処分されるおそれのあることを知ってから5か月も経過した後に、初めて原処分庁に対して本件担保提供書等の作成及び提出が請求人に無断で行われた旨申し出ており、これら一連の請求人の対応は、その意に反して自己の不動産を担保として提供されたことを知った者の行動としては不自然といわざるを得ないことなどからすれば、請求人は、Qを中心とした親族を通じてJのために担保提供が必要なことを知った上で本件不動産の担保提供に同意し、Qが本件担保提供書等の署名押印及びその提出を請求人に代わって行っていたものとみるのが相当である。
 したがって、本件不動産が、請求人の意思に反し担保として提供されたとは認められず、本件抵当権設定契約は有効であるから、請求人の主張には理由がない。

《参照条文等》
 国税徴収法第152条
 国税通則法第46条第5項、第52条第1項
 国税通則法施行令第16条第3項

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国税を担保するために抵当権が設定された後に当該担保不動産上に築造された建物について原処分庁が行った差押処分は、国税通則法第52条第4項に規定する「なお不足があると認めるとき」にされたものではないとして取り消した事例

平成29年10月16日裁決

《ポイント》
 本事例は、国税を担保するために抵当権が設定された後に当該担保不動産上に築造された建物についての差押えは、国税通則法第52条第4項に規定する「なお不足があると認めるとき」の要件を充足する必要があるとしたものである。

《要旨》
 原処分庁は、請求人の国税を担保するため抵当権が設定された各担保不動産(本件各担保不動産)上に、抵当権の設定後に築造された請求人の建物(本件建物)に対して行った国税徴収法第47条《差押の要件》第1項第1号に基づく差押処分(本件差押処分)は、国税通則法第52条《担保の処分》第4項に規定する「なお不足があると認めるとき」になされたものではないが、抵当権の設定後に抵当地に築造された建物を抵当地とともに競売できる旨を定めた民法第389条《抵当地の上の建物の競売》第1項の規定に照らせば、許容されるべきである旨主張する。
 しかしながら、国税の担保の処分においても民法第389条第1項が適用されると解する余地はあるが、その場合であっても、抵当権の設定後に抵当地に築造された建物を抵当地とともに公売するための差押えは、担保権の実行である以上、国税通則法第52条第1項に基づく担保物処分のための差押えとして行うものであり、国税徴収法第47条第1項第1号に基づいてなされた本件差押処分は、国税通則法第52条第4項の「なお不足があると認めるとき」になされたものではないから、違法である。

《参照条文等》
 民法第389条第1項
 国税通則法第52条第4項第1号
 国税徴収法第47条第1項第1号

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