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納税義務者

課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日

  1. 納税義務者
  2. 免税事業者
    1. 課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日(2件)
    2. その他

事業を遂行するために必要な準備行為を行った日の属する課税期間が「課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日」の属する課税期間に該当するとした事例

平成24年6月21日裁決

《要旨》
 請求人は、消費税法施行令第20条《事業を開始した日の属する課税期間等の範囲》第1号に規定する「課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日」は、請求人が医院(本件医院)を開業する意思決定後の全ての準備行為を行った日が含まれるのではなく、課税資産の譲渡等を行うために必要な資材や商品に係る仕入れなど、それ自体が課税仕入れに当たる一定の準備行為を行った日のみが該当するとし、本件医院の建物に係る建築設計・監理業務委託契約(本件契約)に係る課税仕入れが発生した日は設計の完了日又は監理業務の完了日であることから、これらの日の属する課税期間(本件課税期間)が「課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日」の属する課税期間である旨主張する。
 しかしながら、事業者が新たに事業を行うに当たっては、当該事業を遂行するために必要な準備行為を行うのが通常であるところ、消費税法第9条《小規模事業者に係る納税義務の免除》第4項の趣旨に照らせば、事業を遂行するために必要な準備行為を行った日の属する課税期間も「課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日」の属する課税期間に該当すると解するのが相当である。そして、事業を遂行するために必要な準備行為であるか否かは、必ずしも個々の行為だけではなく、一連の行為を全体として判断すべき場合もあるところ、請求人は、本件課税期間開始前から、事業に使用するための材料及び器具の購入を繰り返し行うとともに、本件医院を建築するための本件契約を締結しており、このことは請求人の事業開始に向けた一連の行為の一部であって、これら一連の行為が全体として事業に係る準備行為であると認められるから、「課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日」の属する課税期間は、事業に使用するための材料及び器具の購入の開始日の属する課税期間(本件課税期間の前課税期間)とするのが相当である。

《参照条文等》
 消費税法第9条第4項
 消費税法施行令第20条

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事業を行うために必要な準備行為を行った日の属する課税期間は「課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日の属する課税期間」に当たるとした事例(平成26年1月1日から平成26年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分・棄却・平成29年6月16日裁決)

平成29年6月16日裁決

《ポイント》
 本事例は、新たに事業を開始した場合にはその事業を開始した日の属する課税期間の末日までに課税事業者選択届出書を提出すればその課税期間から課税事業者となるところ、請求人は、当該届出書を提出した課税期間の前年に新たに事業を行うための必要な準備行為を行っていることから、当該届出書は事業を開始した日の属する課税期間に提出されたものではあるとはいえず、本件課税期間は免税事業者となるとしたものである。

《要旨》
 請求人は、消費税法施行令第20条《事業を開始した日の属する課税期間等の範囲》第1号に規定する「事業者が国内において課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日の属する課税期間」の判断に当たっては、「事業を開始した日」について法令等に明確な規定がない以上、納税者の意思を尊重し、かつ、経済活動の実態に即した一般的な社会通念に沿って判断すべきであり、本件では、請求人が事業(本件事業)を開始したと認識し、個人事業開業届出書に本件事業を開始した日として記載した日の属する課税期間(本件課税期間)が同号に規定する「事業を開始した日の属する課税期間」に該当する旨主張する。
 しかし、新たに事業を行うに当たり必要な準備行為を行った日の属する課税期間は、同号に規定する「事業を開始した日の属する課税期間」に当たると解するのが相当であり、本件において、請求人は、本件課税期間の前の課税期間中に請負契約を締結してその契約金を支払うなどしており、これらの行為は本件事業を行うために必要な準備行為と認められるから、本件課税期間は、同号に規定する「事業を開始した日の属する課税期間」には該当せず、請求人が本件課税期間中に提出した課税事業者選択届出書の効力は、本件課税期間の翌課税期間から生ずるため、本件課税期間について、請求人は消費税の免税事業者となる。

《参照条文等》
 消費税法第9条第4項
 消費税法施行令第20条第1号

《参考判決・裁決》
 平成24年6月21日裁決(裁決事例集No.87)
 東京高裁平成16年8月31日判決(税資254号順号9731頁)

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