所得税法の特例

申告手続

  1. 不動産所得及び事業所得等の特例
  2. 譲渡所得の特例
    1. 長期譲渡所得と短期譲渡所得
    2. 長期譲渡所得に係る課税の特例
    3. 短期譲渡所得の課税の特例
    4. 収用等の場合の譲渡所得の特別控除等
    5. 特定事業の用地買収等の場合の譲渡所得の特別控除
    6. 居住用財産の譲渡所得の特別控除
      1. 対象財産の範囲
      2. 居住用財産の判定
      3. 2棟以上所有する場合の家屋の譲渡
      4. 居住用部分の判定
      5. 特別控除額の計算
      6. 申告手続(2件)
      7. その他
    7. 居住用財産の買換えの場合の課税の特例
    8. 特定の事業用資産の買換えの場合等の課税の特例
    9. 既成市街地等内にある土地等の中高層耐火共同住宅の建設のための買換え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例
    10. 相続財産に係る譲渡所得の課税の特例
    11. その他
  3. 株式等に係る譲渡所得等の特例
  4. 住宅借入金(取得)等特別控除
  5. 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
  6. 先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除
  7. タックスヘイブン対策税制
  8. 寄附金特別控除

前年の租税特別措置法第35条の規定の適用について、修正申告により自己否認した者の本年の居住用財産の譲渡所得について、同条の規定の適用を認めた事例

裁決事例集 No.18 - 140頁

 請求人は前年にした建物及び土地の譲渡について、当初、居住用財産の譲渡所得の特別控除の規定の適用を受けたが、これについては、後日その建物及び土地が居住用財産に当たらないことに気付き修正申告書を提出しているところであり、本年に譲渡した本件建物及び土地については、譲渡日まで請求人とその家族が日常居住していたことが認められるから、その譲渡につき居住用財産の譲渡所得の特別控除の規定を適用して申告したことは正当である。
 しかしながら、本件建物及び土地は、居住の用と事業の用に供していた事実が認められるから、当該特別控除の規定の適用は、本件建物及び土地の居住用部分に対応する譲渡所得の金額に限られるというべきである。

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昭和59年分の所得税の確定申告書には何ら無効原因となる錯誤の存在は認められず、当該確定申告において既に租税特別措置法第35条第1項の規定の適用を受けていることが明らかであるから、昭和61年分の所得税の確定申告において居住用財産の譲渡所得の特別控除の適用を受けることはできないとした事例

裁決事例集 No.37 - 259頁

 請求人は、物件甲売買契約が停止条件付売買契約あるいは物件甲の売買予約に該当し、その効力が昭和59年中に発生していないにもかかわらず、重大かつ客観的に明白な錯誤に基づいて昭和59年分の所得税の確定申告書に譲渡所得の金額を記載したのであるから、当該申告は無効であり、昭和61年分の所得税の確定申告において租税特別措置法第35条第1項に定める特別控除の適用が認められる旨主張するが、物件甲売買契約においては、物件甲の引渡しの日を特定の日と定めてはいないが、売買代金等の完済日を引渡しの日としており、そして、物件甲の引渡しを物件甲売買契約の効力の発生に係らせるような約定はなされておらず、譲受人が期日までに転勤しなければ物件甲売買契約の効力は生じないとする約定もなく、また、その他の証拠を総合しても物件甲売買契約が停止条件付売買契約であるとは認められない。
 したがって、昭和59年分の所得税の確定申告書には、何ら請求人主張のような無効原因となる錯誤の存在は認められず、当該確定申告書において、既に租税特別措置法第35条第1項の規定の適用を受けたことが明らかであるから、昭和61年分の所得税の確定申告において居住用財産の譲渡所得の特別控除の適用は認められないというべきである。

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