ホーム >> 公表裁決事例集等の紹介 >> 公表裁決事例 >> 裁決事例集 No.78 >> (平21.11.20、裁決事例集No.78 289頁)

(平21.11.20、裁決事例集No.78 289頁)

《裁決書(抄)》

1 事実

(1) 事案の概要

 本件は、審査請求人(以下「請求人」という。)が、3棟の建物として登記されている家屋及びその敷地の借地権を他に譲渡し、その譲渡所得について、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例及び居住用財産の譲渡所得の特別控除の特例の適用があるとして所得税の申告をしたのに対し、原処分庁が、当該各家屋のうち2棟は居住の用に供しておらず、他の1棟はその一部を居住の用に供していないから、これらの部分については当該各特例を適用できないとして、所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を行ったことから、請求人が、当該各家屋は、実質的には併せて一構えの家屋であり、すべてが居住の用に供されていたなどとして、これらの処分の全部の取消しを求めた事案である。

(2) 審査請求に至る経緯

イ 請求人は、平成18年分の所得税について、確定申告書に別表1の「確定申告」欄のとおり記載し、譲渡所得について租税特別措置法(平成19年法律第6号による改正前のもの。以下「措置法」という。)第31条の3《居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例》第1項の規定による特例(以下「本件税率軽課の特例」という。)及び措置法第35条《居住用財産の譲渡所得の特別控除》第1項の規定による特例(以下「本件特別控除の特例」といい、本件税率軽課の特例と併せて「本件特例」という。)を適用して、法定申告期限までに申告した。
ロ 原処分庁は、平成19年6月13日付で、所得控除額に誤りがあったとして別表1の「減額更正」欄のとおりの更正処分をした。
ハ 請求人は、原処分庁所属の調査担当職員(以下「本件調査担当職員」という。)の調査を受け、平成20年7月3日、別表1の「修正申告」欄のとおりとする修正申告書(以下「本件修正申告書」という。)を提出した。
ニ 原処分庁は、これに対し、平成20年7月7日付で、別表1の「賦課決定処分」欄のとおりの過少申告加算税の賦課決定処分をし、さらに、同日付で、別表1の「更正処分等」欄のとおりの更正処分(以下「本件更正処分」という。)及び過少申告加算税の賦課決定処分(以下「本件賦課決定処分」といい、本件更正処分と併せて「本件更正処分等」という。)をした。
ホ 請求人は、平成20年9月7日、本件更正処分等を不服として異議申立てをしたところ、異議審理庁は、平成20年12月3日付で、いずれも棄却の異議決定をした。
ヘ 請求人は、平成20年12月28日、異議決定を経た後の原処分に不服があるとして審査請求をした。

(3) 関係法令等の要旨

 別紙1のとおりである。

(4) 基礎事実

 以下の事実は、請求人と原処分庁との間に争いはなく、当審判所の調査の結果によってもその事実が認められる。
イ 請求人、請求人の母のG及び兄のH(以下「兄H」という。)は、昭和33年6月○日に死亡した請求人の父から、相続によりP市p町○○番の土地(地積合計311.17平方メートル。以下「本件土地」という。)の借地権(以下「本件借地権」という。)の持分を、各3分の1ずつ取得した。
ロ 請求人は、昭和51年1月30日、本件土地上に所在する家屋番号1番の家屋(以下「本件A家屋」という。)を交換により取得した。
ハ 請求人は、平成4年2月○日に死亡したGから、相続により本件借地権の持分3分の1を取得した。
ニ 請求人は、平成16年12月24日、兄Hから、本件土地上に所在する家屋番号2番の家屋(以下「本件B家屋」という。)及び家屋番号3番の家屋(以下「本件C家屋」という。)並びに本件借地権の持分3分の1を代金合計○○○○円(本件B家屋及び本件C家屋を○○○○円並びに本件借地権の持分を○○○○円)で購入した。
ホ 請求人は、平成18年2月21日、J社に対し、本件借地権を代金○○○○円、本件A家屋、本件B家屋及び本件C家屋(以下、これらを併せて「本件各家屋」といいう。)を代金零円で譲渡した(以下、「本件譲渡」といい、本件借地権及び本件各家屋を併せて「本件譲渡資産」という。)。
ヘ 請求人は、平成18年分の確定申告において、本件譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上、本件譲渡資産のすべてが居住用財産であるとして本件特例を適用して申告した。
ト 本件調査担当職員は、平成20年6月24日、原処分庁に赴いた請求人の関与税理士に対し、本件各家屋のうち本件A家屋の2階の3分の2の部分、本件B家屋及び本件C家屋並びにこれらの家屋の敷地の用に供されている本件借地権の一部については本件特例の対象となる居住用財産に当たらない旨等を説明し、修正申告のしょうようをした。
チ これに対し、請求人は、本件A家屋の一部、本件B家屋及び本件C家屋のうち各2分の1並びにこれらの家屋の敷地の用に供されている本件借地権の一部について本件特例の適用がないとする本件修正申告書を提出した。
リ 原処分庁は、本件A家屋のうち自己の居住の用に供していた部分以外には本件特例の適用がないとして、本件更正処分をした。

(5) 争点

 本件各家屋は、併せて一構えの家屋として、すべてが居住の用に供されていたといえるか否か。

トップに戻る

2 主張

請求人 原処分庁
 本件各家屋は、表面上(登記上)3棟の建物であるが、実質は併せて一構えの家屋としてみるべきである。
 そして、本件各家屋は、本件譲渡の当時において、事業の用(自己の営業あるいは賃貸等の用)に供しておらず、空室があったとしてもそれは物置として居住の用に供していたものであるから、本件各家屋のすべてが本件特例の対象となる居住の用に供していた家屋に該当する。
 本件各家屋は、請求人の申述による過去の利用状況及び設備等から判断して、それぞれ独立した居住の用に供する家屋としての機能を有しているから併せて一構えの家屋と認められない。そうすると、請求人が、主として居住の用に供していた本件A家屋に限り、本件特例の適用を認めるのが相当である。
 また、本件A家屋のうち、平成18年3月ころまで賃貸していた2階の1部屋及び平成13年11月ころまで賃貸し、賃借人の退去後、空室であった同階の1部屋は、自己の居住の用に供している部分といえないから、当該部分に本件特例の適用は認められない。
 したがって、居住用部分の割合は、本件各家屋の合計床面積に占める本件A家屋の1階の全部及び2階のうち1部屋の部分とするのが相当である。

トップに戻る

3 判断

(1) 法令解釈等

 本件特例は、個人が居住用財産を譲渡した場合には、これに代わる新たな居住用財産を取得するのが通常であるなど、一般の資産の譲渡に比して特殊な事情があり、その担税力が弱いことから、居住用財産の譲渡所得につき3,000万円を限度とする特別控除を認め、この控除額を超える場合の長期譲渡所得に税率軽課も認める制度を併用し、所得税の負担を軽減して新たな居住用財産の取得を容易にすることを考慮して設けられた特則、例外規定である。
 そして、措置法施行令第20条の3第2項及び第23条第1項は、別紙1の3のとおり、個人がその居住の用に供している家屋を二以上有する場合には、本件特例の適用対象となる家屋は、主としてその居住の用に供していると認められる一の家屋に限る旨規定しているところ、本件特例の適用対象となる家屋の判定に当たり、二棟以上の家屋が併せて一構えの家屋であるといえるか否かについては、まず、それぞれの家屋の規模、構造、間取り、設備、各家屋間の距離等の客観的状況によって判断すべきであり、個人及びその家族の使用状況等の主観的事情は二次的に考慮すべき要素にすぎないものと解するのが相当である。したがって、単にこれらの家屋がその者及びその者と同居することが通常である親族等によって機能的に一体として居住の用に供されているのみでは不十分であり、家屋の構造、規模、設備等の状況から判断していずれか又はそれぞれが独立の居住用家屋としては機能できないものでなければならない。そうすると、これらの家屋がそれぞれ独立の家屋としての機能を有する場合には、これらの家屋を併せて一構えの家屋であるとは認められず、その者が主としてその居住の用に供していると認められる一の家屋に限り、本件特例の適用対象となるというべきである。

(2) 認定事実

 当審判所の調査の結果及び請求人の答述によれば、次の事実が認められる。
イ 本件各家屋の構造等
 本件各家屋の配置の略図、登記記録に記録されている事項及び家屋課税台帳に登録されている事項は、別紙2のとおりであり、本件各家屋の間取り及び設備の略図は、別紙3のとおりである。
(イ) 本件各家屋は、いずれも、電気、ガス及び水道の供給設備並びに玄関、複数の居室、台所(流し)及びトイレを有している。
 また、本件A家屋及び本件C家屋は、1階にそれぞれ風呂を有している。
(ロ) 本件A家屋は、床面積(後記(4)のイのとおり、家屋課税台帳の床面積。以下同じ。)が129.73平方メートル、木造2階建てで、1階と2階が階層(天井及び床)で完全に遮断されており、各階を往来するためには屋外の階段を使わなければならない構造であると認められる。
 また、本件A家屋の2階は、いずれも玄関、居室、台所(流し)及びトイレを備えた3室からなっている。
(ハ) 本件B家屋は、床面積が105.78平方メートル、本件C家屋は床面積が178.5平方メートルで、いずれも木造2階建ての家屋であり、これらの家屋は、外形上一体で、さらに家屋の内部で繋がり、これを区分するものもなく構造も一体である(以下、本件B家屋と本件C家屋を併せて「本件BC家屋」という。)。
(ニ) 本件A家屋と本件BC家屋との間には約1メートルの距離がある。
ロ 本件各家屋の本件譲渡以前の利用状況
(イ) 本件A家屋
 請求人は、本件A家屋の1階で、妻及び長男と共に日常生活を営んでいた。また、2階にある3室のうち1室は、1階に置ききれない荷物の保管場所として使用していた。残りの2室のうち1室は平成18年2月か3月ころまでKに賃貸し、残りの1室を平成13年11月末ころまでLに賃貸していたが、同人らの退去後は使用していなかった。
(ロ) 本件B家屋
 請求人は、平成16年12月、兄H夫婦が居住の用に供していた本件B家屋を購入し、その後、請求人が本件C家屋で営業していた飲食店「M」(以下「飲食店M」という。)を廃業した平成17年5月までの間、1階を同店の従業員の休憩所及び物置として利用し、飲食店Mを廃業した後は、物置としてタンス等を保管していた。また、2階は雨漏りにより床が抜ける恐れがあったことから使用していなかった。
(ハ) 本件C家屋
 請求人は、本件C家屋の1階の1室を、飲食店Mの営業用店舗として使用しており、飲食店Mを廃業した後も同店で使用していたテーブル及び椅子等をそのままの状態で保管していた。また、他の1室には、自転車、飲食店Mで使用していた冷蔵庫等を保管し、飲食店Mを廃業した後は備品を保管していた。
 なお、2階は歩行も困難なほど老朽化が著しいことから使用していなかった。

(3) 当てはめ

イ 上記(2)のイで認定した本件各家屋の規模、構造、間取り、設備、各家屋間の距離並びに通常考えられる用法及び機能等を考慮すれば、本件A家屋と、本件BC家屋とは、それぞれ別個独立の家屋であると認められ、これらの各家屋を併せて一構えの家屋であるということはできない。
 そして、上記(2)のロのとおり、請求人は、妻及び長男と共に本件A家屋で日常生活を営んでいたのに対し、本件BC家屋は、もともと飲食店Mの店舗等として使用し、廃業後は、一部に荷物等をおいて物置に使用していたにすぎないから、請求人が主として居住の用に供していた家屋は本件A家屋であると認められ、本件BC家屋は本件特例の適用対象となる居住用家屋には該当しない。
ロ また、措置法施行令第20条の3第2項及び第23条第1項は、別紙1の3のとおり、家屋のうちにその居住の用以外の用に供している部分があるときは、その居住の用に供している部分に限り、本件特例の適用がある旨規定しているところ、本件A家屋の2階の3室のうち、Kに賃貸していた1室及びLに賃貸し、同人の退去後に使用していなかった1室は、本件譲渡の以前に貸室とされており、請求人がこれを居住の用に転用し、ある程度の期間継続して居住の用に供していたとは認められないから、当該部分は「居住の用に供している部分」に当たらない。
ハ したがって、本件A家屋の1階の全部及び2階の1室並びに本件A家屋の敷地の用に供されている本件借地権のうちその居住の用に供していた部分に限り、本件特例を適用するのが相当である。

(4) 本件譲渡に係る居住用部分の算定

 措置法通達31の3−7は、その居住の用に供している家屋のうちに居住の用以外の用に供されている部分のある家屋に係るその居住の用に供している部分及び当該家屋の敷地の用に供されている土地等のうちその居住の用に供している部分の算定について、別紙1の4のとおり定めているところ、当該取扱いは、合理的な算定方法であると解され、当審判所も相当と認める。
イ 本件A家屋の床面積
 本件各家屋については、家屋課税台帳における床面積と登記簿上の床面積とが異なるところ、P市役所の固定資産税課職員は、当審判所に対し、家屋課税台帳における現況床面積は、課税物件を実地に確認した上で決定されている旨及び本件A家屋における屋外の階段及び通路は、不動産登記規則第115条《建物の床面積》により建物の床面積に含まれず、家屋課税台帳においても本件A家屋の現況床面積に含まれない旨を答述しているから、登記簿上の床面積よりも、家屋課税台帳の床面積の方が現況を正しく表しているといえる。
 よって、本件A家屋の床面積は、別紙2の3のとおり129.73平方メートルであると認められる。
 そして、当審判所の調査の結果によれば、本件A家屋は、床面積がほぼ各階等分であるものの、2階の中央に4.5698平方メートルの空間があり、また、2階の3室はいずれも同等の広さであると認められるから、各階の面積は、1階が67.1499平方メートル((129.73平方メートル+4.5698平方メートル)×1/2)、2階が62.5801平方メートル(129.73平方メートル−67.1499平方メートル)であり、2階の3室の床面積はそれぞれ約20.86平方メートル(62.5801平方メートル×1/3)となる。
ロ 本件A家屋のうち居住の用に供している部分
 本件A家屋のうち居住の用に供している部分は上記(3)のハのとおりであり、その床面積は1階(67.1499平方メートル)及び2階の1室(62.5801平方メートル×1/3)である。
ハ 本件借地権のうち居住の用に供している部分
 本件借地権の居住の用に供している部分の算定に当たり、本件土地上に本件各家屋が存在するものの、本件各家屋の敷地が明らかでないため、措置法通達31の3−7の定めにより居住の用に供している家屋の床面積を本件各家屋の総床面積で除して居住の用に供している部分を算定するのが合理的であると認められる。
 なお、本件各家屋の床面積は、上記イのとおり、家屋課税台帳の床面積によるのが相当である。
 そうすると、本件A家屋のうち居住の用に供している部分の床面積が本件各家屋の総床面積に占める部分を算定した割合((67.1499平方メートル+62.5801平方メートル×1/3)÷414.01平方メートル)が本件借地権のうち居住の用に供している部分の割合となる(以下、この割合を「本件居住用割合」という。)。

(5) 本件譲渡に係る譲渡所得の金額

 以上により、請求人の本件譲渡に係る譲渡所得の金額を計算すると、別表2の審判所認定額のとおり、分離短期譲渡所得の金額は○○○○円及び分離長期譲渡所得の金額は○○○○円となる。

(6) 請求人のその他の主張について

イ 信義誠実の原則に反し違法か否か
(イ) 請求人は、平成19年7月4日に行われた調査において、本件調査担当職員から、「原申告が正しいことを確認した。」ことを告げられており、約1年間連絡も無かったことは黙示の承認であり、約1年後に再度調査を行い、本件更正処分等を行ったことは、信義則に反するから、原処分を取り消すべきである旨主張する。
(ロ) 租税法規に適合する課税処分について、法の一般原理である信義則の法理の適用により、課税処分を違法なものとして取り消す場合があるとしても、租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係においては、信義則の適用については慎重でなければならず、租税法規の適用における納税者間の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別な事情がある場合に初めて信義則の法理の適用の是非を考えるべきものである。
 そして、上記の特別の事情の存在が認められるためには、少なくとも、税務官庁が納税者に対し信頼の対象となる公的見解を表示したことが必要である(納税者がその表示を信頼しその信頼に基づいて行動したこと、その後に上記表示に反する課税処分が行われたこと、そのため納税者が経済的不利益を受けることになったこと、納税者が税務官庁の上記表示を信頼しその信頼に基づいて行動したことについて納税者の責めに帰すべき事由がないことが必要であると解される。)。
(ハ) 当審判所の調査の結果によれば、平成19年7月4日、本件調査担当職員は、本件譲渡資産を請求人及び請求人の関与税理士と共に確認しながら、その利用状況等を聴取する等の調査を行ったことは認められるが、その際に本件調査担当職員が「原申告が正しいことを確認した。」旨の発言をした事実を認めるに足りる証拠はない。
 そうすると、本件において、本件調査担当職員が請求人に対し信頼の対象となる公的見解の表示をしたとは認められないから、本件更正処分等が信義則に反する旨の請求人の主張には理由がない。
ロ なお、請求人は、修正申告のしょうようは、行政手続法に規定する行政指導に当たり、請求人に対する修正申告のしょうようは、その趣旨、内容、責任者を明確に示さずに行われたものであるから、行政手続法に反すること及び修正申告のしょうように従ってなした修正申告(事実を誤認した部分を補正したもの)に反して、不利益となる本件更正処分等を行ったことは行政手続法に反する違法なものであるから、原処分を取り消すべきである旨主張する。
 しかしながら、修正申告のしょうようは、更正処分の要件ではないから、修正申告のしょうようが違法か否かは、更正処分の適法性には影響しない。
 なお、行政手続法第32条は、別紙1の5のとおり規定しているが、本件更正処分等は、本件修正申告書に記載された課税標準等又は税額等が、原処分庁が調査した課税標準等又は税額等と異なることを理由として、国税通則法第24条《更正》及び同法第65条《過少申告加算税》の規定に基づき行われたものであり、請求人が修正申告のしょうように従わないことを理由として行われたものとは認められない。
 したがって、請求人の主張には理由がない。

(7) 本件更正処分について

 以上のとおり、請求人の主張にはいずれも理由がなく、本件譲渡に係る譲渡所得の金額は、上記(5)のとおりとなり、本件更正処分における分離短期譲渡所得の金額及び分離長期譲渡所得の金額と同額となるから、本件更正処分は適法である。

(8) 本件賦課決定処分について

 本件更正処分は、上記(7)のとおり適法であり、また、本件更正処分により納付すべき税額の計算の基礎となった事実が、本件更正処分前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて、国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由があるとは認められないから、同条第1項の規定に基づき行われた本件賦課決定処分は適法である。

(9) その他

 原処分のその他の部分については、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。

トップに戻る