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保険金
被相続人の雇用主である会社が契約した生命保険契約による支払を受けた保険金について、相続税法第3条第1項第1号に規定する保険金に該当するものとした事例
裁決事例集 No.21 - 180頁
被相続人を被保険者とする団体定期生命保険契約に基づき保険金受取人である請求人が受け取った保険金につき、これを弔慰金と解し退職手当金等とすべきであるとする旨の請求人の主張について、被相続人の雇用主が当該契約を締結し、かつ、保険料を負担していたとしても、社内規程、就業規則、労働協約等において当該保険金を退職手当金等として支給する旨の関係者の意思が明白に表示されている場合に限り、退職手当金等に該当すると解すべきであること、また、雇用主は従業員の生存中に保険契約を締結し、保険料を負担するのみで、本件保険金の受取りについては何らの権利がなく、被相続人の死亡により請求人は当然に本件保険金を取得したものであることから、本件保険金は相続税法第3条第1項第1号に規定する生命保険金に該当するとした原処分は相当である。
昭和55年10月4日裁決
毎年保険料相当額の贈与を受け、その保険料の支払に充てていた場合における受取保険金は相続により取得したものとはみなされないとした事例
裁決事例集 No.27 - 231頁
未成年者である請求人が受け取った保険金については、[1]その保険契約を被相続人が親権者として代行し、保険料の支払に当たっては、その都度被相続人が自己の預金を引き出して、これを請求人名義の預金口座に入金させ、その預金から保険料を払い込んだものであること、[2]保険料は、被相続人の所得税の確定申告において生命保険料控除をしていないこと、[3]請求人は、贈与のあった年分において贈与税の申告書を提出し納税していることから、請求人は贈与により取得した預金をもって保険料の払込みをしたものと認められるので当該保険金を相続財産とした更正は取消しを免れない。
昭和59年2月27日裁決
雇用主が契約した生命保険契約に基づき保険金受取人である被相続人の遺族が取得すべき死亡保険金の一部を雇用主が遺族から贈呈を受けた場合に、その残額はみなし課税財産である退職手当金等に当たるとする請求人の主張がしりぞけられた事例
- 雇用主が、その従業員や役員のために、これらの者を被保険者とする生命保険契約の保険料を負担している場合において、被保険者の死亡によりその相続人等が死亡保険金を取得したときには、雇用主の負担した保険料はその従業員や役員が負担したものと解し、死亡保険金は相続税の対象とするのが相当である。(相続税法第3条第1項第一号)
しかし、雇用主が、その死亡保険金を退職手当金等として支給することとしている場合には、その死亡保険金は退職手当金等に当たるものと解するのが相当であるが、その判断は、雇用主である企業の定款、株主総会、社内規程、就業規則、労働協約等において、その死亡保険金が退職手当金等として支給されるものである旨の意思が明らかにされているか否か等を考慮して行うのが相当である。 - ところで、J社においては、取締役の退職慰労金について、定款で、株主総会の決議により定める旨規定し、また、役員退職慰労金内規で、その金額は、株主総会において承認された金額又は株主総会の決議に従い取締役会において決定した金額とする旨規定されているにもかかわらず、本件被相続人に対する退職慰労金の支給については、株主総会において何ら決議されておらず、また、本件死亡保険金を退職手当金等として支給する旨の定めもない。
このことからすれば、請求人が本件生命保険契約に基づき取得した死亡保険金は、退職手当金等としては認められないというべきである。 - そして、雇用主たるJ社は、被相続人の生存中に本件生命保険契約を締結し、その保険料を支払うのみで、本件死亡保険金については何ら権利はなく、請求人は、被相続人の死亡により、当然に本件死亡保険金を取得することができるのであるから、請求人が取得した死亡保険金は、その全額が生命保険金として相続税の課税対象となる。
平成12年9月20日裁決