総則

損害賠償金等

  1. 納税義務者
  2. 課税取得の範囲
  3. 非課税所得
    1. 旅費として支給される金品
    2. 強制換価手続等に係る資産の譲渡による所得
    3. 生命保険金
    4. 損害賠償金等(3件)
    5. その他
  4. 所得の帰属
  5. 所得の発生
  6. 収入金額

請求人に支払われた弁護士費用賠償金に係る遅延損害金は、元勤務先の不法行為によって、請求人が支出を余儀なくされる弁護士費用という財産的損害を補てんするための賠償金であるから、非課税所得であるとした事例

裁決事例集 No.79

 原処分庁は、弁護士費用賠償金に係る遅延損害金は、請求人が弁護士費用を支払わなければ得られたであろう利益(利息に相当する額)を補てんしているといえるから、所得(雑所得)を構成する旨主張する。
 しかしながら、弁護士費用賠償金及び弁護士費用賠償金に係る遅延損害金は、判決において、請求人の元勤務先会社の不法行為と相当因果関係のある損害と認められて同社の負担とされ、同社に対し請求人への支払を命じられ、請求人は、その支払を受けたことにより、担税力を増加させる経済的利益を得たといえ、請求人の所得を構成するが、請求人は、同社の不法行為により、弁護士に訴訟の提起とその追行を委任することを余儀なくされたことによって、当該訴訟に係る弁護士費用の支払をしたことが認められる。
 そうすると、弁護士費用賠償金及び弁護士費用賠償金に係る遅延損害金は、同社の不法行為によって、請求人が支出を余儀なくされる弁護士費用という財産的損害を補てんするための賠償金であるから、所得税法施行令第30条第2号に規定する非課税所得であると認められる。

《参照条文等》
所得税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)第9条第1項第16号
所得税法施行令(平成22年政令第50号による改正前のもの)第30条第1号及び第2号

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外国為替証拠金取引の取扱業者らの不法行為により請求人の資産である金銭等に加えられた損害に基因して支払を受けた損害賠償金は非課税所得に当たるとした事例

平成23年6月23日裁決

《ポイント》
 所得税法は、不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害につき支払を受ける損害賠償金であっても、課税されるべき所得に係る収入金額に代わる性質を有する休業補償や収益補償等を非課税所得から除くこととし、それ以外の本来課税することが適当でない実損害を補てんするための損害賠償金を非課税所得としている。
 この事例は、外国為替証拠金取引の取扱業者らから支払われた金員が、当該取扱業者らの不法行為により、請求人に相当額の実損害を被らせたことにより支払われた損害賠償金であるか否かが争われたものである。

《要旨》
 原処分庁は、本件金員(請求人が、外国為替証拠金取引の取扱業者らに対し、不法行為による損害賠償金の支払を求める訴訟を提起し、同訴訟の裁判上の和解により得た金員)は、本件FX取引(請求人が行った店頭外国為替証拠金取引(店頭FX取引)及び取引所FX取引)による売買損益を補てんする機能を有するものであるから、雑所得に係る総収入金額に算入すべきものである旨主張する。
 しかしながら、所得税法第9条第1項第16号《非課税所得》及び所得税法施行令第94条《事業所得の収入金額とされる保険金等》第1項第2号は、不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害につき支払を受ける損害賠償金について、課税されるべき所得に係る収入金額に代わる性質を有する休業補償や収益補償等以外の本来課税することが適当でない「実損害を補てんするための損害賠償金」を非課税所得としているところ、本件FX取引においては、説明義務違反及び誠実義務違反というH社らの不法行為により請求人の資産に損害が加えられたものと認めるのが相当であることからすると、本件金員は、H社らの不法行為により請求人の資産に加えられた実損害(本件FX取引において証拠金として預託した金銭の一部を失った損害)を補てんするために支払を受けた損害賠償金、つまり「実損害を補てんするための損害賠償金」に該当するものと認められる。したがって、本件金員は非課税所得に該当するから、これを雑所得に係る総収入金額に算入すべきとする原処分庁の主張は、採用できない。

《参照条文等》
 所得税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)第9条第1項第16号
 所得税法施行令(平成22年政令第50号による改正前のもの)第30条第2号、第94条第1項第2号

《参考判決・裁決》
 名古屋高裁平成22年6月24日判決(先物取引裁判例集60号40頁)
 福岡高裁平成22年10月12日判決(先物取引裁判例集61号59頁)

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請求人が和解により取得した損害賠償金名目の金員に係る所得は、非課税所得ではなく、雑所得に該当するとした事例

平成23年12月2日裁決

《ポイント》
 この事例は、有価証券報告書に虚偽記載をした上場会社の株式を取得した請求人が、その発行会社等を被告として損害賠償請求訴訟を提起し、第一審判決の後に和解により受領した損害賠償金名目の金員について、まる1株式等の譲渡による雑所得の金額の計算上必要経費に算入される金額を補填するためのものであるから、非課税所得とはならない旨、まる2その所得区分は、営利を目的とする継続的行為から生じた経済的利得であるから雑所得に当たる旨判断したものである。

《要旨》
 J社の有価証券報告書の虚偽記載に基づき、請求人が所有していたJ社株式(本件J社株式)に生じた損害に対して、J社から和解に基づき支払を受けた本件損害賠償金について、請求人は、本件J社株式の譲渡による所得区分は株式等の譲渡による譲渡所得であることから、所得税法施行令第30条《非課税とされる保険金、損害賠償金等》本文かっこ書の「各種所得の金額の計算上必要経費に算入される金額を補てんするための金額」に該当せず、非課税所得に該当する旨主張し、原処分庁は、請求人の本件J社株式の譲渡による所得区分は、株式等の譲渡による事業所得又は雑所得であり、同かっこ書の金額に該当し、非課税所得とはならず、労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないことから一時所得に該当する旨主張する。
 しかしながら、請求人の本件J社株式の譲渡による所得は、営利を目的とする継続的な行為から生じたものであり、株式等の譲渡による雑所得と認められ、本件損害賠償金は、本件J社株式の取得価額の一部を補填するものであることからすると、本件損害賠償金は、請求人の株式等の譲渡に係る雑所得の金額の計算上必要経費に算入される金額を補填する損害賠償金に該当するから、上記の「各種所得の金額の計算上必要経費に算入される金額を補てんするための金額」に該当し非課税所得には該当しないことになるとともに、営利を目的とする継続的な株式等の売買において生じた損害に対する損害賠償金であることから、営利を目的とする継続的行為から生じた経済的利得として、総合課税の雑所得の金額の計算上総収入金額に算入されることとなる。

《参照条文等》
 所得税法第9条(平成22年法律第6号による改正前のもの)第1項第16号、第34条、第35条
 所得税法施行令(平成22年政令第50号による改正前のもの)第30条
 租税特別措置法(平成19年法律第6号による改正前のもの)第37条の10

《参考判決・裁決》
 最高裁平成23年9月13日第三小法廷判決(金判1376号33頁)

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