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行使不能と認めた事例
- 交換の特例
- 低額譲渡
- 譲渡代金の回収不能
- 保証債務の履行
- 保証債務の存否
- 保証債務の履行のための譲渡
- 求償権の行使不能
- 求償権の行使による回収を期待しない債務の保証
- 行使不能と認めた事例(2件)
- 行使不能と認めなかった事例
- 対象資産の範囲
- 所得金額の計算
- 申告手続
- 事業廃止の場合の必要経費
保証債務の履行により他の連帯保証人に対し取得した求償権の行使が不能であると認めた事例
裁決事例集 No.31 - 60頁
原処分庁は、保証債務の金額を履行した請求人(物上保証人兼連帯保証人)は、他の連帯保証人に対する求償権の行使が可能であるから、当該履行のためにした本件譲渡には所得税法第64条第2項の規定は適用されないと主張するが、請求人が他の連帯保証人に対する求償権を放棄した当時、その連帯保証人は、[1]所得資産はないこと、[2]月505,000円の給与収入のみで生活費にも事欠く状況であったこと、[3]賃貸マンション業を開業(求償権を放棄し約1年3月経過後に開業)する企画をしていなかったこと及び今後とも、[1]当該マンションに係る収益の好転は見込めないこと、[2]借入金の返済も続くこと等から、同人には支払能力があると認めることはできない。
昭和61年2月26日裁決
保証債務の履行に伴う他の連帯保証人に対する求償権については、当該他の連帯保証人は債務超過の状態にあり、求償権の行使は不可能であると認定して、所得税法第64条第2項の適用を認容した事例
原処分庁は、請求人が本件土地を譲渡したことによる収入金額から主たる債務者に係る保証債務を履行するためにM信用金庫に支払った1,000万円は、Wと共同で保証人となっていることから、Wが負担すべき500万円を請求人が保証債務として履行したとしても、所得税法第64条第2項の規定は適用されない旨主張する。
しかしながら、本件債務の連帯保証人であるWが所有する不動産には、他の債権者により競売開始決定に基づく差押えがされており、他の不動産も相続税評価額を大幅に上回る金額の抵当権が設定されていること等から、Wは債務超過の状況が著しいものと認められ、同人に対する求償権の行使が不可能であると認めるのが相当である。
したがって、請求人が、本件譲渡代金からM信用金庫に保証債務を履行するために支払った1,000万円については、その全額について所得税法第64条第2項の規定の特例を認めるべきである。
平成10年7月9日裁決