所得控除

扶養控除

  1. 雑損控除
  2. 医療費控除
  3. 小規模企業共済等掛金控除
  4. 寄付金控除
  5. 寡婦・寡夫控除
  6. 配偶者控除
  7. 扶養控除(6件)

生計を一にする親族について、請求人と請求人の夫がいずれもその扶養親族として申告している場合には、所得税法施行令第219条第1号に規定するところにより、いずれの扶養親族に該当するかを判断すべきであるとした事例

裁決事例集 No.37 - 95頁

 請求人と請求人の夫がいずれも長男を扶養親族として申告している本件において、請求人の夫は、請求人及び長男と別居し、生活費の一部にすぎない月額20,000円を長男の養育費として送金しているのみであるのに対し、請求人は、長男と起居を共にし、生活費の大部分を負担しているのであるから、長男に係る請求人の扶養控除を認めるべきであると主張するが、[1]請求人と夫は離婚していないこと、[2]住民登録、国民健康保険の加入状況、国民健康保険料の負担及び当該保険証の利用状況などが別居以前と変わったところはないこと、[3]経済的にも、夫は、別居後も毎月定額の婚姻費用のほか、引き続き国民健康保険料を負担していることなどを総合すると、夫と長男は別居中とはいえ、同一の生活共同体に属して日常生活の資を共通にする、生計を一にする親族であると認めるのが相当であり、長男は、所得税法上、夫及び請求人のいずれの扶養親族にも該当するというべきであるから、請求人の夫が給与所得者の扶養控除等申告書において長男を扶養親族として申告し、請求人が確定申告書において長男を扶養親族として申告している本件の場合は、所得税法施行令第219条“二以上の居住者がある場合の扶養親族の所属”第2項第1号に規定するところにより、長男は請求人の夫の扶養親族とされ、請求人の扶養親族として扶養控除の適用を受けることはできない。

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請求人の有する所得税法第2条第1項第29号に規定する特別障害者である扶養親族は、当該請求人と「同居を常況としている者」に当たらないので、租税特別措置法第41条の16第1項に規定する同居の特別障害者に係る扶養控除の特例の適用は認められないとした事例

裁決事例集 No.65 - 274頁

 請求人は、本件特例の適用に関し、毎年、数日間とはいえ、妹(特別障害者)の介護を行い、生活を共にしているのであるから、年に5日以上の同居の実態があれば、それは本件特例に定める「同居を常況にしている」に該当する旨主張する。
 しかしながら、本件特例は、特別障害者が家庭において家族と一緒に生活できるように配慮し、在宅において特別障害者が介護されることを税制面でも促進し、福祉対策にも資する等の趣旨で設けられたものであり、その意味で、本件特例に定める「同居を常況としている」とは、特別障害者が介護施設などに入居せず、在宅により介護等を受けている場合をいうものと解されることから、請求人の妹が、本件施設に入居後、そのほとんどの期間を本件施設で過ごしており、その間の同人に対する介護は、本件施設の職員が行っていると認められ、仮に、平成13年中において請求人が主張する期間、請求人の妹と起居を共にしていたとしても、それは一時的なものというべきであって、そのことをもって請求人の妹が請求人と「同居を常況としている者」に該当するとは認められない。
 したがって、請求人の主張に理由がなく、原処分は相当である。

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扶養親族に該当するための所得要件である合計所得金額の計算においては、租税特別措置法第37条の12の2《上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除》第1項の規定は適用されないとした事例

裁決事例集 No.73 - 250頁

 請求人は、租税特別措置法(平成17年法律第21号による改正前のものをいい、以下「措置法」という。)第37条の12の2第4項は、同条第1項の規定(以下「本件繰越控除規定」という。)の適用がある場合における、同法第37条の10(第7項以外)の規定による「株式等に係る譲渡所得等の金額」は、本件繰越控除規定の適用(控除)後の金額であることを明確にしたものであって、原処分庁が主張するような、「合計所得金額」を計算する際に総所得金額等に加算する「株式等に係る譲渡所得等の金額」の計算に当たり本件繰越控除規定の適用の排除を意味するものではないから、適法に繰り越した「上場株式等に係る譲渡損失の金額」を有する場合における「合計所得金額」を計算する際には、本件繰越控除規定が適用され、当年分の「株式等に係る譲渡所得等の金額」から適法に繰り越した「上場株式等に係る譲渡損失の金額」を控除することは明らかである旨主張する。
 しかしながら、措置法第37条の12の2第4項において、第1項の規定の適用がある場合の、第37条の10及び第37条の11の各規定(第37条の10においては第7項を、第37条の11においては第4項をそれぞれ除く。)の適用に当たっては、それぞれの第1項の「計算した金額」をいずれも「計算した金額(第37条の12の2第1項の規定の適用がある場合には、その適用後の金額)」と読み替えて適用する旨規定しており、措置法第37条の10第7項又は同法第37条の11第4項の各規定の適用(合計所得金額の計算)の場面においては、各条第1項の規定は上記のとおり読み替えられずに適用されることになる。
 また、前年から繰り越された「上場株式等に係る譲渡損失の金額」を有する場合の「株式等に係る譲渡所得等の金額」については、「課税標準」の計算の場面においては本件繰越控除規定を適用して計算し、扶養親族の所得要件となる「合計所得金額」の計算の場面においては本件繰越控除規定を適用しないものとして計算することになる。
 すなわち、居住者が、所得税額の計算上、本件繰越控除規定を適用して控除すべき「上場株式等に係る譲渡損失の金額」を有しているとしても、その「合計所得金額」の計算に当たっては、本件繰越控除規定を適用して、「株式等に係る譲渡所得等の金額」を計算することができないことは、法律上明らかである。

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既に妻の扶養親族となっている子らについて、国税通則法第23条第1項に基づく更正の請求によって、請求人の扶養親族に変更することはできないとした事例

裁決事例集 No.75 - 254頁

 請求人は、妻の扶養親族となっている子らについて、妻の所得控除の合計額が総所得金額を大きく上回っており、実質的に妻の総所得金額から扶養控除の額が控除されていないから、子らを請求人の扶養親族として、請求人の総所得金額から子らに係る扶養控除を控除すべき旨の更正の請求には理由がある旨主張する。
 しかしながら、所得税法施行令第219条第1項は、納税者の意思を尊重してその年分に係る同令第218条第1項に規定する申告書等における納税者の選択により扶養親族の所属を決定できることとし、また、扶養親族の所属の変更する方法を、当該申告書等に後続する申告書等に限定しており、更正請求書による扶養親族の変更を認めていない。そうすると、既に妻に所属する扶養親族として適法に確定している子らを請求人の扶養親族に変更することができないから、たとえ請求人の主張するような事情があるとしても、子らを請求人の扶養親族として扶養控除すべき旨の請求人の主張には理由がない。

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扶養控除に関する事項を記載した損失申告書を提出したことによって扶養親族の所属を選択したものとした事例

裁決事例集 No.76 - 196頁

 請求人は、所得税法第84条の規定は、所得を有する居住者を対象とする規定であり、請求人の夫については、本件各年分において所得を有していなかったから、同条の適用はなく、同条の適用を前提とする所得税法施行令第219条を適用する余地もなく、同人が提出した本件各年分の確定申告書の所得控除の記載は何らの記載もされていないとみるべきであり、少なくとも、平成15年分及び平成16年分について、請求人の夫は請求人の控除対象配偶者であって、請求人に養われているものが子らを扶養していると解することはできないから、請求人の夫の平成15年分及び平成16年分の所得税の申告については、所得税法第84条の規定の適用はないなどとして、本件各確定申告書の提出により、請求人が子らを扶養親族とすることを選択したことになる旨主張する。
 しかしながら、所得税法第84条第1項は、「居住者が扶養親族を有する場合には」扶養控除の適用を受けることができる旨規定しており、居住者の所得金額の多寡や一方が他方の控除対象配偶者であるか否かによって同条の適用を受けることができなくなるものでないことは文理上明らかである。確かに所得控除前の所得金額の合計額が零円であれば、扶養控除の適用を受ける必要は直ちには生じないものであるが、その後に増額更正や修正申告により所得金額が増加し、それによって扶養控除の適用を受けることもあり得るのであり、そのような場合に備えて、あらかじめ扶養親族の所属を確定させることには意味があるから、所得税法第123条に規定する確定申告書において、その第二表の「所得から差し引かれる金額に関する事項」の「配偶者(特別)控除・扶養控除」欄に子らの氏名、続柄、生年月日及び控除額を記載したことが無意味であるとして何らの記載がないものとみることはできない。

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平成18年分については、請求人が養育費の送金は行っておらず長男と「生計を一にするもの」には該当しないことから、また、平成19・20年分については、元妻が請求人より先に勤務先に対し長男を扶養親族とする旨の扶養控除等申告書を提出していることから、いずれの年分も請求人において長男を扶養親族とする扶養控除の適用は認められないとした事例

平成23年4月18日裁決

《ポイント》
 所得税法第2条第1項第34号に規定する「生計を一にするもの」とは、一般に親族が同一の生活共同体に属して日常生活の資を共通にしていることをいうものと解される。また、所得税法施行令第219条第1項は、二以上の居住者の扶養親族に該当する者があるときは、その所属は原則として居住者の自由な選択に委ね、いずれの居住者の扶養親族であるか定まらない場合には同条第2項により、いずれの居住者の扶養親族であるかを決することとしている。
 この事例は、離婚後、元妻と同居している長男について、請求人と生計を一にしているか、また、元妻が請求人に先立って長男を扶養親族とする扶養控除等申告書を勤務先に提出している場合に請求人の扶養親族となるか否かが争われたものである。

《要旨》
 請求人は、裁判により本件養育費の債務を負うことが確定していることから、送金がなくても、長男は請求人と「生計を一にするもの」に該当する旨主張するが、「生計を一にするもの」とは、常に生活費等の送金が行われている場合のように、日常生活の資を共通にしているものをいうと解すべきところ、請求人が平成18年中に本件養育費を送金していない以上、長男が請求人と日常生活の資を共通にしているとはいえない。
 また、請求人は、裁判離婚した元妻との間には相互に意思の連絡がないから、所得税法施行令第219条《二以上の居住者がある場合の扶養親族の所属》第2項第1号は適用されず、同項第2号を適用すべきである旨主張するが、二以上の居住者の間に意思の連絡があるか否かによって同項第1号の適用が左右されるものではない。そして、本件では、平成19年分及び平成20年分とも、元妻が、請求人より先に、勤務先に対し、長男を扶養親族とする旨の扶養控除等申告書を提出しているから、所得税法施行令第219条第2項第1号により、長男は元妻の扶養親族に該当することとなり、同項第2号が適用される余地はない。

《参照条文等》
 所得税法第2条第1項第34号
 所得税法施行令第219条

《参考判決・裁決》
 徳島地裁昭和59年5月30日判決(税資136号594頁)
 平成20年10月29日裁決(裁決事例集No.76)
 平成元年1月12日裁決(裁決事例集No.37)

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