所得控除

雑損控除

  1. 雑損控除(14件)
  2. 医療費控除
  3. 小規模企業共済等掛金控除
  4. 寄付金控除
  5. 寡婦・寡夫控除
  6. 配偶者控除
  7. 扶養控除

共有建物を分割した場合の取壊しによる損害は雑損控除の対象となる災害による損失に該当しないとした事例

裁決事例集 No.19 - 54頁

 所得税法第72条第1項に規定する災害に該当する人為による異常な災害とは、社会生活上通常予見し得る単なる不法行為によって発生した損害ではなく、予見及び回避不可能で、かつ、その発生が劇的な経過を経て発生した損害であることを要するものと解されるところ、離婚に際して夫婦の共有建物を調停で定めた分割線で分割するに当たり、当該分割線を超えて請求人の部分の一部が取り壊されたために生じた損害は、請求人がその部分の取壊しについて承諾しなかったとしても、分割線に近い柱を基準としてその柱の手前部分で取り壊すことが、建物の構造上の特性からみて首肯されるものであるから、通常生起する不法行為の一形態による損害にすぎす、当該建物の取壊しによる損害は、同項に規定する災害による損害に当たらない。

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マンション工事業者による隣接土地の堀削と集中降雨が原因で生じた居宅に係る災害損失について雑損控除を適用した事例

裁決事例集 No.24 - 48頁

 原処分庁は、隣接土地の堀削と集中降雨を原因とする災害損失の金額は、請求人がマンション工事業者を相手方として提起した損害賠償請求訴訟において裁判所が認定した損害額の40パーセント相当額であり、その全額につき損害賠償を受けることにより、損失の全部が補てんされているから、雑損控除の対象となる損失の金額はないと主張するが、原処分庁の主張するところの損失の金額は、請求人の過失分を相殺し、マンション工事業者に請求し得べき金額にすぎず、すなわち、裁判所が認定した損害額によるのが相当である。

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保証債務の履行により生じた求償権の行使不能による損失は雑損控除の対象にはならないとした事例

裁決事例集 No.28 - 137頁

 雑損控除は納税者等の意思に基づかない法定原因によって資産に損失が生じた場合に認められるもので、雑損控除が適用され得る損失は、当該法定原因によって生じた損失に限られると解するのが相当であるところ、本件損失は、保証債務の履行に係る求償権の行使不能によって生じたものであって、上記法定原因によるものでないことは明らかであるから、雑損控除の対象となる損失には該当しない。

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山林の譲渡代金は横領されたものではないから所得税法第72条の雑損控除の対象にはならないとした事例

裁決事例集 No.33 - 42頁

 請求人は資産の取得資金を得るため、本件山林の譲渡を営業担当に委託し、その譲渡代金をもって資産の売買契約に係る支払をし、当該資産の預り証券を取得しているから、本件山林の譲渡代金について横領の事実は認められないので、所得税法第72条第1項に規定する雑損控除の対象とすることはできない。

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オートバイ(400c.c.)の盗難になる損失控除の対象にならないとした事例

裁決事例集 No.36 - 62頁

 所得税所定の「生活に通常必要な動産」とは、家具、じゅう器、衣服及びこれらに類似する生活用動産で、通常の社会生活を営むのに必要とされる資産をいうものと解するのが相当であるところ、請求人のオートバイの使用状況をみると、1週間に1回程度しか使用されておらず、また、購入後盗難に遭うまでの間に、放送大学への通学に使用したのはわずか5日にすぎないことが認められ、この程度の使用頻度では、本件オートバイは請求人の日常生活に通常必要な動産とは認められず、さらに、本件オートバイがいわゆる大型オートバイ(400c.c.)であることからして、通常の社会生活を営むのに必要なものであるとはいえないことから、本件オートバイは、「生活に通常必要な動産」ということはできず、所得税法第72条は適用できない。

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台風により被害を受けた宅地の擁壁工事の費用の額は、雑損控除の対象とされている「原状回復のための支出」に当たるとした事例

裁決事例集 No.50 - 102頁

 原処分庁は、台風により被害を受けた本件宅地の擁壁の工事費用の額については、原状回復のための費用と資本的支出とに明確に区分できない旨主張するが、本件復旧事業は、本件宅地と一体である市道に係る擁壁の復旧事業と同様の形状、材質により行われたことが認められ、当該復旧事業は、位置、形状、寸法、材質を変えずに原形復旧するものであることから、請求人が支出した本件宅地の擁壁工事費用の額は、その全額が原状回復のために支出したものであって、資本的支出の額はないとみるのが相当である。

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ソープランドに勤務する女性に交付した金員が所得税法第72条[雑損控除]第1項に規定する横領による損失に該当する旨の請求人の主張が排斥された事例

裁決事例集 No.60 - 329頁

 請求人は、ソープランドに勤務する女性に交付した金員が所得税法第72条[雑損控除]第1項に規定する横領による損失に該当する旨主張するが、当該金員の交付については、請求人が別途提起した損害賠償訴訟の判決において、請求人から当該女性に対する贈与である旨判示していることからすれば、当該金員は請求人が当該女性に対して贈与したものと認めるのが相当であるから、当該金員の交付が所得税法第72条第1項に規定する横領による損失に該当する旨の請求人の主張には理由がない。

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不動産売買仲介者に現金等を不法に領得されたことによる損失は詐欺による損失であるとして、雑損控除の対象とはならないとした事例

裁決事例集 No.61 - 283頁

 請求人らは、同人らが所有していた小切手及び現金を、不動産の売買を仲介した者に交付し、これを同人に不法に領得されたことにより生じた損失は、横領による損失であるから、雑損控除の対象となる損失に該当する旨主張する。
 しかしながら、当該損失は詐欺による損失であると認められ、また、請求人らが横領行為によって損害を受けたとして賠償を求めた裁判の判決は、被告が口頭弁論期日に出頭せず、答弁書等を提出しないことから、原告である請求人らの請求原因事実を自白したものと擬制したものであって、証拠によって横領の事実を客観的に認定したものではないから、所得税法第72条1項の雑損控除の対象となる損失には該当しない。

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会社員である請求人所有の自動車は雑損控除の対象となる「生活に通常必要な動産」には当たらないとした事例

裁決事例集 No.63 - 160頁

 請求人は、水害により被災した請求人所有の自動車(以下「本件車両」という。)について、これを主として遠隔地の中学校に通学していた子供の送迎に使用していたから、「生活に通常必要な動産」に該当するとして、その損失の金額を雑損控除の対象とすべきである旨主張する。
 しかしながら、「生活に通常必要な動産」とは「家具、じゅう器、衣服」及びこれらに類似する生活用資産であって、通常の社会生活を営むのに必要とされる資産をいうものと解するのが相当であるところ、請求人の子は請求人の妻の実家から歩いて中学校に通学していたことが認められるから、本件車両は通学の際の送迎に使用されていたとする請求人の主張を採用することはできない上、本件車両が通勤用に使用されていないこと、請求人の住所地は市の中心に位置し交通の便が特に悪いとも認められないことなどを総合的に判断すると、本件車両が通常の社会生活を営むのに必要なものであるとはいえず、本件車両は「生活に通常必要な動産」ということはできない。

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請求人が被った紳士録の掲載料や登録抹消料として支出した金員に係る損失は、詐欺ないし恐喝により生じたものであるから雑損控除の対象とはならないとした事例

裁決事例集 No.70 - 144頁

 請求人は、「右翼団体系のLら(以下「本件加害者」という。)から、「人事録の掲載に係る年会費を支払わなければ、あちこちの団体が、場合によっては、勤務先や自宅に乗り込む」「人事録の木版を買い取れ」「ブラックブックという人名録の抹消料を支払え」などと次々脅迫を受け、請求人や家族の身の危険を感じ、本件損失に係る金員を支払ったものであり、自らの意思に基づいて現金を支払ったのではなく、本件加害者から抵抗不能の状態に陥るほどの暴行に等しい脅迫を受け、その結果、意思能力を欠き、現金を強取されたものであるから、本件損失は盗難により生じたものである。また、J警察署に届け出た「盗難による被害届」(以下「本件届出」という。)は、数度の事情聴取を受け被害の内容を十分承知しているJ警察署の担当刑事からの進言によるものであり、J警察署長はこれを受理し、本件届出を受理した旨の証明書(以下「本件証明書」という。)を交付しているのであるから、J警察署長は、本件損失を盗難によるものと認識しており、本件証明書はその事実を証明している。」旨主張する。
 しかしながら、所得税法第72条第1項の規定から、雑損控除の対象となる損失は、「災害又は盗難若しくは横領による」ものに限られると解されるところ、請求人は、[1]電話で脅迫されて本件損失に係る金員を支払っていること、[2]J警察署は、請求人が届出をした事件を、盗難事件ではなく紳士録の掲載料や登録抹消料として現金をだまし取る詐欺ないし恐喝による事件として捜査しており、本件届出は誤って受理され本件証明書が交付されたこと、[3]請求人が受けたという脅迫の内容及び態様が請求人の主張どおりであることからすると、本件加害者が、請求人の反抗を抑圧する程度の脅迫を加えたとは認められないから、本件損失は、請求人が現金を強取されたことにより生じたものではなく、詐欺ないし恐喝により生じたものとするのが相当であって、「災害又は盗難若しくは横領による」ものとは認められない。したがって、本件損失は、雑損控除の対象とはならない。

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請求人が代表取締役である法人の従業員が、請求人の定期預金の一部を払い戻し、費消したことは横領に当たらず、その損害は雑損控除の対象となる損失に該当しないとした事例

裁決事例集 No.76 - 169頁

 請求人は、平成16年から平成17年までの間に、銀行の貸金庫に保管していた現金を、請求人が代表取締役を務める法人の従業員に窃盗されたが、当該損失は、その事実が発覚した平成17年分の損失であり、平成17年分の雑損控除の対象となる旨主張する。そして、原処分庁は、平成17年末の時点において、請求人は当該従業員に対して損害賠償請求権を行使しておらず、当該従業員から回収できる損害賠償額が確定していないので、雑損失の額が確定していないから、平成17年分において雑損控除の対象となる盗難による損失が生じたこととはならない旨主張する。
 しかしながら、所得税基本通達72-6において準用する同通達51-7によれば、損失の金額から控除すべき損害賠償金等が確定していない場合には、当該損害賠償金等の見積額に基づき損失が生じた年分の確定申告に反映させることとしており、後日、当該損害賠償金等の確定額と見積額が異なった場合には、そ及してこれを訂正する旨定めているところ、この取扱いは、損害賠償金等の確定の有無にかかわらず、損失が生じた年分において雑損控除を適用すべきであることを定めたものであり、当審判所においても、相当と認められる。したがって、盗難又は横領による損失については、損失が生じたそれぞれの年分において雑損控除を適用すべきであるから、この点に関する請求人の主張には理由がなく、当該従業員から回収できる損害賠償額が確定していない場合であっても、盗難又は横領による損失が生じた年分において雑損控除を適用するのが相当であるから、この点に関する原処分庁の主張には理由がない。
 また、請求人は、請求人名義の定期預金の更新手続を請求人が代表取締役を務める法人の従業員に任せていたところ、当該従業員が本件定期預金の一部を請求人に無断で解約し、これを横領されたから、請求人には雑損控除の対象となる損失が生じた旨主張する。
 しかしながら、所得税法第72条《雑損控除》第1項が規定する「横領」の概念について、所得税法に規定はなく、刑法上の横領罪にいう横領と同一のものと解するのが相当であり、本件定期預金の更新手続には、1本件定期預金の通帳、2銀行届出の印章及び3定期預金の払戻請求書が必要であるところ、本件定期預金を払い戻すために最も重要な銀行届出の印章は請求人自身が持ち歩き、本件定期預金の通常の更新手続においては請求人が更新手続後の利率を確認した上で払戻請求書に銀行届出の印章を押印していたことが認められること及び請求人が当該従業員に本件定期預金を払い戻して現金を引き出す権限を与えていたとは認められないことからすれば、請求人は当該従業員に本件定期預金の管理を任せていたとは認められないから、本件定期預金について、請求人と当該従業員との間に横領の前提となる委託信任関係が認められず、当該従業員が本件定期預金の一部を払い戻し、これを費消した行為は横領には当たらないと判断するのが相当である。したがって、請求人の主張には理由がない。

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アスベストの除去費用は、人為による異常な災害とみることはできないとした事例

裁決事例集 No.77 - 125頁

 請求人は、所得税法第72条の規定の趣旨からすれば、同条に規定する「災害」とは、納税者の意思に基づかない事象をいうのであり、本件においては、本件建物の建築当時には合法であったアスベスト部材が、その後、科学的に人体に極めて有害であることが判明し、本件建物解体時にはアスベストの含有量調査及びその除去について法令により義務付けられるまでに至ったものであり、この一連の事象が納税者の意思に基づかない事象として同条に規定する「災害」に該当する旨主張する。
 しかしながら、所得税法第72条に規定する「災害」の語義として、それを「納税者の意思に基づかない事象」とすることは広きに過ぎ、雑損控除の範囲を適切に画することができなくなることからすれば、「納税者の意思に基づかない事象」のみをもって同条に規定する「災害」に該当するとの考えは法解釈としては妥当ではなく、所得税法第2条第27号及び同法施行令第9条の規定からすれば、災害とは、自然界に生じた天災ないしはそれと同視すべき事象を指すものであり、また、人為によるものであっても、鉱害、火薬類の爆発など自然界に生じた天災と同視すべき劇的な過程を経て害を被る事象をいうものと解するのが相当である。
 また、請求人は、上記のとおり一連の事象が所得税法第72条に規定する「災害」に該当する旨主張するが、なおあいまいで特定された主張とはいい難いところ、本件においては、いかなる事象を所得税法第2条第27号を受けた同法施行令第9条に規定する「人為による異常な災害」に該当するものとして検討するかによって判断内容は異なるものとなる。
 すなわち、請求人の主張を「建物の解体の際にアスベストが発見されたことによりアスベストの除去作業等を法令により義務付けられるに至ったこと」が「災害」に該当するとの主張と解し、「人為による異常な災害」とみることができるかを検討すると、法令によりアスベストの除去作業等が義務付けられたのは、作業の過程において飛散するアスベストを作業員等が吸引することによる健康障害の発生を防止するためであり、従来建材等に広く使用されていたアスベストが、人の健康上危険視されてその使用が禁止され、除去作業等の費用負担を余儀なくされたこと自体は、予見及び回避不可能であり、納税者の責めに帰すべきものではなく、納税者の意思に基づかないものとしても、除去作業等の義務が課せられ、これを行ったこと自体は法令に基づく要請であり、かつ、その費用負担も受忍すべきものというべきであるから、かかる法令に基づき費用負担が生じたこと自体を上記「人為による異常な災害」とみることはできない。

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いわゆる振り込め詐欺の被害に遭い、だまし取られた金額分の損失は、雑損控除の対象となる災害又は盗難若しくは横領による損失には当たらないとした事例

平成23年5月23日裁決

《ポイント》
 所得税法第72条に規定する雑損控除は、同条第1項により、「居住者又はその者と生計を一にする配偶者その他の親族で政令に定めるものの有する資産について災害又は盗難若しくは横領による損失が生じた場合において」適用するものである。
 この事例は、いわゆる振り込め詐欺の被害に遭い、だまし取られた金額分の損失が、雑損控除制度の趣旨・目的に照らし「災害又は盗難若しくは横領」による損失に当たるか否か、又は「災害」による損失、「盗難」による損失若しくは「横領」による損失のいずれかの損失に当たるか否かが争われたものである。

《要旨》
 請求人は、いわゆる振り込め詐欺の被害に遭い、だまし取られた金額分の損失(本件損失)が、雑損控除制度の趣旨・目的に照らせば所得税法第72条《雑損控除》第1項に規定する「災害又は盗難若しくは横領」による損失、又は「災害」による損失、「盗難」による損失若しくは「横領」による損失のいずれかの損失に当たる旨主張する。
 しかしながら、「災害」、「盗難」及び「横領」はいずれも別個の概念であること、また、まる1上記詐欺の犯人が指定した口座に3回にわたり振込送金した請求人の行為(本件各振込み)自体が、請求人の意思に基づいてなされているから、本件損失は「災害」による損失に当たらないこと、まる2「盗難」の意義は「財物の占有者の意に反する第三者による当該財物の占有の移転」と解されるところ、本件各振込みが請求人の意思に基づいてなされているから、本件損失は「盗難」による損失に当たらないこと、まる3「横領」の意義は「他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をすること」と解されるところ、請求人が振り込んだ金銭に対する所有権は本件各振込みを終えた時点で、当該金銭に対する占有とともに上記詐欺の犯人側へ移転したと認められ、当該犯人はそもそも請求人の物の占有者ではないから、本件損失は「横領」による損失に当たらないことから、本件損失は、所得税法第72条第1項に規定する「災害又は盗難若しくは横領による損失」には当たらない。

《参照条文等》
 所得税法第2条第1項第27号、第72条第1項
 所得税法施行令第9条

《参考判決・裁決》
 最高裁平成19年4月17日第三小法廷判決(民集61巻3号1026頁)
 京都地裁平成8年6月7日判決(税資216号511頁)
 最高裁昭和24年3月8日第三小法廷判(刑集3巻3号276頁)
 大審院明治42年8月31日判決(刑録15輯1097頁)
 平成21年2月16日裁決(裁決事例集No.77)

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預金通帳等が盗まれたことに伴う損失は、実質的にみて雑損控除の対象となる盗難による損失に当たるとした事例

平成25年4月22日裁決

《ポイント》
 本事例は、盗まれた普通預金通帳及び印鑑を使用して、預金者以外の者が行った不正な払戻しにより預金者が被った損失は、預金通帳等が窃取されたことに起因し、また、明らかに預金者の意思に基づかない事由によるのであるから、実質的にみて預金者の資産が「盗難」されたことにより生じた損失と評価し、雑損控除の対象となる「盗難」による損失に当たると解するのが相当としたものである。

《要旨》
 請求人は、盗まれた普通預金通帳及び印鑑を使用して普通預金口座から金員が引き出されたことは盗難に該当するとして、預金通帳等が盗まれたことに伴う損失(本件損失)について雑損控除の適用をすべきであり、雑損控除を適用すれば課税所得はない旨主張する。
 しかしながら、預金者以外の者が行った不正な払戻しにより預金者が被った損失は、預金通帳等が窃取されたことに起因し、また、明らかに預金者の意思に基づかない事由によるのであるから、実質的にみて預金者の資産が「盗難」されたことにより生じた損失と評価し、雑損控除の対象となる「盗難」による損失に当たると解するのが相当であるから、本件損失は雑損控除の対象となる「盗難」による損失に当たると認められるものの、当該損失の金額は、総所得金額の10分の1を超えないため、雑損控除の額は零円となる。

《参照条文等》
 所得税法第72条

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