総則

役員等名義の取引

  1. 納付義務者
  2. 所得の帰属
    1. 実質所得者課税の原則
    2. 所得の帰属者
      1. 役員等名義の取引(8件)
      2. 資産から生ずる所得
      3. 従業員の厚生団体
      4. リベート収入
      5. 組合に係る収益
      6. その他

法人の代表者が個人名義でなした取引を代表者個人のものであるとした事例

裁決事例集 No.2 - 15頁

 法人の代表者が、個人名義で木材(素材)の取引を開始した動機及びその資金の出所等からみて、実質的にも個人の取引と認められ、かつ、既に1年を経過しているため、商法上の競業避止義務違反の行為として介入権を行使していない場合にあっては、その取引による所得を法人の所得と認定することは妥当でない。

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本件売上除外に係る取引は専務取締役個人に帰属するものではなく請求人に帰属するものであるとした事例

裁決事例集 No.22 - 97頁

 原処分庁が請求人の売上除外であると認定した取引は、[1]その販売先がいずれも請求人の得意先であることが認められ、その売上代金の大部分は専務取締役の個人預金に入金されているが、同人はその取引に係る所得について確定申告をしないこと、[2]当該取引の一部について請求人の正規の納品書、請求書、領収書が使用されていること、[3]当該取引の一部は倉庫会社に保管されている請求人の在庫商品を販売したものであること、[4]当該取引が専務取締役の個人取引であることを裏付けるに足りる証拠資料がないことから、専務取締役個人に帰属するものではなく、請求人に帰属するものと認定するのが相当である。

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代表者の個人名義で行われた商品先物取引に係る損失は請求人に帰属するものではないとした事例

裁決事例集 No.27 - 133頁

 代表者個人名義で行われた商品先物取引(以下「本件取引」という。)に係る損失の帰属について、[1]商品取引受託会社の備付帳簿その他本件取引に関連する帳票は、すべて代表者個人名義(同人の子供名義を含む。)で作成されていること、[2]本件取引の資金は代表者個人が自己に帰属する預金を担保にして銀行から借り入れた資金が充てられていること、[3]本件取引に係る利益金又は精算金はすべて代表者の個人預金に入金されていること、[4]本件取引に係る証拠金の払込事実、同返還金の受入事実その他本件取引に関する事実について請求人の会計帳簿に記載されていないこと、[5]商品先物取引は、請求人の事業目的外であることなどの事実から、本件取引は代表者が個人的に行った行為であると認められ、本件取引に係る損失は請求人に帰属するものではない。

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本件売上除外に係る取引は請求人の取締役営業部長個人に帰属するものではなく請求人に帰属するものであるとした事例

裁決事例集 No.30 - 84頁

 本件取引差額について、請求人は取締役営業部長個人に帰属すると主張するが、[1]当該取締役が請求人から仕入れ、売上げの一切の業務を任されて取引したものであること、[2]売上代金の一部を架空名義で請求し、通常は手形払いであるに対し、現金又は小切手払いで受領したものであること、[3]当該取締役の個人口座に入金されてはいるが、請求人の取引先に対する裏口銭、接待費用等に充てられていると認められること等から、当該取締役個人に帰属するものではなく、請求人に帰属するものと認定するのが相当である。
 なお、土地に係る支出金のうち借地を返還するに当たってのクレーン撤去跡の整地工事費及びクレーン軌道に係る支出金は、修繕費と認められるので、原処分の一部を取り消すべきである。

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請求人の代表者名義等の普通預金口座に入金されている小切手等の一部については、売上除外による入金であると認定できず、また、債権償却特別勘定の対象としている約束手形等は請求人の債権とは認定できないとした事例

裁決事例集 No.46 - 98頁

 原処分庁は、請求人の代表者及び従業員の個人名義の普通預金口座に預け入れた小切手、約束手形及び現金は、すべて請求人が売上を除外したものであると主張するが、[1]約束手形の一部については、振出人がAから融資を受けた際、Aに対し振り出したこと及び当該融資の資金を請求人が出したこと等が認められ、[2]また、小切手の一部については、振出人がBに対し貸付けのために振り出した小切手であり、振出人は請求人と取引がないこと及びBは行方不明であること等が認められることから請求人の売上金額であると認定することはできない。
 また、請求人は、資産として仮払金勘定及び受取手形勘定に計上し、期末に債権償却特別勘定への繰入れの対象とした小切手及び約束手形について、代表者に一時立て替えてもらい、支払った残土捨場の権利取得につき、その取得ができなくなったため小切手及び約束手形で返済を受け、一時立替分の返済として小切手等を代表者に渡したのであるから、請求人の債権であると主張する。しかし、[1]立替えをした事実を証する資料がないこと、[2]代表者は小切手について金融機関に対し依頼返却の届けをし、同一の小切手債務者が振り出した他の小切手を返却日以降同金融機関で取り立てており又小切手に相当する金額は現に代表者に支払われたとみるのが相当であることから、これらの小切手及び約束手形を請求人の債権と認定することはできない。

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請求人の代表者が車両販売業者から新築祝金として受領した金員は、請求人の収益に計上すべきものではなく車両の購入価額を水増してディーラーに支払った上受領したものであるとした事例

裁決事例集 No.61 - 379頁

 原処分庁は、請求人の代表者が車両の販売業者から受領した金員は、代表者個人に対する新築祝金ではなく、同社が請求人との今後の継続的取引を期待して支払った謝礼的性格を有するいわゆるリベートであり、請求人の雑収入として収益に計上すべきである旨及び当該金員は代表者が自宅新築資金として費消していることから代表者への役員賞与である旨主張する。
 しかしながら、当該金員は請求人が車両販売会社から車両を購入する際に車両価格に上乗せして一旦車両販売会社へ預け、同社を通じ新築祝金に仮装して代表者へ支払ったものであるから請求人の収益ではなく、購入した車両の取得価額を過大に計上していたものであると認められる。
 よって、当該金員を益金に算入した原処分は取り消されるべきであり、他方、車両の取得価額の過大な部分は減額すべきであるので減価償却超過額相当額を損金の額から減算するのが相当である。

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請求人の従業員が貯蔵品を売却したことによる収益は、取引を行った従業員の地位・権限などを総合考慮すれば、請求人の売上げとはいえないことから、請求人には帰属しないとした事例

裁決事例集 No.78 - 327頁

 原処分庁は、請求人の元課長が、請求人の印刷用紙を売却した取引(以下「本件紙取引」という。)は、請求人の事業の一環として行われたものと認められるから、本件紙取引に係る収益は、請求人の売上げである旨主張する。
 しかしながら、まる1元課長は、経営に従事する立場にはなく、また、本件紙取引の対象となった印刷用紙の払出しの指示を出す業務を行ってはいたものの、印刷用紙の保管及び管理に関する業務を遂行する職務及び権限を請求人から与えられておらず、印刷用紙を自己の判断で売却する権限を有していなかったこと、まる2本件紙取引は、元課長が、請求人から窃取した印刷用紙を、実在しない名義を使用して売却したものであること、まる3請求人は、印刷の請負及び製本紙器の製作等を目的とし、印刷用紙の販売を目的としていない上、本件各事業年度において、請求人が印刷用紙を他に販売した事実はなく、外注先に対し有償で支給した事実もなかったこと、まる4本件紙取引の相手方は、本件紙取引が請求人との取引であるとは認識していなかったことがそれぞれ認められるところ、以上のことを総合考慮すれば、本件紙取引に係る収益は、請求人の売上げとはいえないから、原処分は取り消すのが相当である。

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各店舗の収益の帰属は、当該各店舗の営業許可の名義人ではなく請求人であるとした事例(1平成22年2月1日から平成23年1月31日まで及び平成24年2月1日から平成25年1月31日までの各事業年度の法人税の各更正処分並びに重加算税の各賦課決定処分、平成22年2月1日から平成23年1月31日まで及び平成24年2月1日から平成25年1月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに重加算税の各賦課決定処分、平成23年1月分の源泉徴収に係る所得税の納税告知処分並びに不納付加算税及び重加算税の各賦課決定処分、平成25年1月分の源泉徴収に係る所得税及び復興特別所得税の納税告知処分並びに不納付加算税の賦課決定処分・一部取消し、2法人税の青色申告の承認の取消処分ほか・棄却、平成28年8月22日裁決)

平成28年8月22日裁決

《ポイント》

 本件は、請求人とは異なる者が営業許可の名義人となっている飲食店について、当該各飲食店に係る収益は当該各名義人ではなく請求人と認められるものの、当該各店舗に係る収益の計算において原処分庁が算定した売上原価の額等に誤りがあることから、原処分の一部を取り消したものである。

《要旨》

 請求人は、請求人とは異なる者が営業許可の名義人となっている複数の飲食店(本件各店舗)について、本件各店舗の経営者は営業許可の各名義人(本件各名義人)であるから、本件各店舗に係る収益は請求人に帰属しない旨主張する。
 ところで、実質的な費用収益の帰属主体及び資産の譲渡等の帰属主体については、名義と実質が一致しない場合、実質的にこれらを享受する者に対して課税されることとなるところ、その判断は事業に至る経緯、経営の実態、経理関係、関係者の認識等を総合して行うべきである。これを本件についてみると、1請求人の代表者(本件代表者)の指示により、本件各名義人が本件各店舗の賃借人及び営業許可の名義人になっていること、2本件代表者が開業前の工事等に関与していたこと、3本件代表者によって、本件各名義人及び本件各店舗の従業員の勤務状況が管理されていたことからすると、本件代表者が本件各店舗の開業を決意し、経営の実権を握っていたといえる。また、本件代表者の指示の下、本件各店舗の売上日報等が作成され、本件代表者が売上金の回収、売上げ及び経費の管理を行い、給与を支給していたことからすると、本件代表者が主体となって本件各店舗に係る経理処理をしていたと認められる。そうすると、かかる経営状況は、本件代表者が自ら主体となって経理処理をしている請求人が経営する飲食店(申告店舗)と同様であって、申告店舗と本件各店舗はその経営実態において何ら変わることはないことから、本件代表者には本件各店舗の収益が全て請求人に帰属するとの認識があったものと認められる。
 したがって、本件各店舗に係る収益の帰属者は請求人であると認められる。ただし、原処分庁が算定した売上原価の額等に誤りがあることから、原処分の一部を取り消すべきである。

《参照条文等》

 法人税法第11条
 消費税法第13条(平成27年法律第9号による改正前のもの)

《参考判決・裁決》

 岡山地裁平成23年10月25日判決(税資261号順号11798)

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