所得の種類

利子所得と認めた事例

  1. 利子所得
    1. 利子所得と認めた事例(2件)
  2. 配当所得
  3. 不動産所得
  4. 事業所得
  5. 給与所得
  6. 退職所得
  7. 譲渡所得
  8. 一時所得
  9. 雑所得

外国の法令に準拠して外国において銀行業を営む金融機関への預金も、所得税法第2条第10号に規定する預貯金に該当し、その利子は利子所得に該当するとした事例

裁決事例集 No.79

 請求人らは、所得税法第23条の規定は、飽くまでも法律の施行地内にある金融機関からの受取利子についてのみ利子所得としているものであるから、P国の市中銀行であるK銀行の預金利子に係る所得は、利子所得ではなく雑所得に該当する旨主張する。
 しかしながら、所得税法施行令第2条に規定する「銀行その他の金融機関」には国外の金融機関も含まれ、また、所得税基本通達2−12の「法律」には外国の法律も含まれると解されるころ、K銀行は、P国において、P国の銀行法の規定により預金又は貯金の受入業務を行うことが認められている市中銀行である。
 そうすると、P国内に所在するK銀行に有する預金も、所得税法第2条第10号に規定する預貯金に該当し、当該預金の利子は、同法第23条第1項に規定する預貯金の利子に該当することから、当該預金の収入に係る所得は利子所得に該当する。

《参照条文等》
所得税法第2条第1項第10号、第23条
所得税法施行令第2条
所得税基本通達2−12(平19課個2−27による改正前のもの。)

トップに戻る

海外に所在する外国銀行に信用供与目的で預け入れた金銭から生じた利子は、利子所得に該当するとした事例

平成25年7月8日裁決

《要旨》
 請求人は、シンガポール共和国に所在する外国銀行に預け入れた金銭(本件Deposits)は、当該銀行から融資を受けるために締結した契約に基づく信用供与目的による担保預金として資金融通したものであり、本件Depositsから生じた利子は、借入れと担保提供とが一体である預金担保付金銭消費貸借契約に基づく取引から生じたもので、実質的には、貸付金の利子に準ずるものであることから、本件Depositsから生じた利子及び借入金の支払利子の差損益は雑所得に当たり、当該差損益の通算の結果、所得金額は生じていないなどと主張する。
 しかしながら、預金とは、銀行その他の金融機関が不特定多数の相手方、すなわち預金者に対して返還を約して預託を受けた金銭であり、銀行その他の金融機関を受寄者として消費寄託された金銭としての性質を有するものをいうと解され、また、預金の経済的な意義としては、銀行その他の金融機関が、預託を受けた金銭を一定期間運用して利益を上げる一方、通常、預金者に対しては、一定の割合の利子を支払うものであると解されるところ、本件Depositsは、当該銀行が不特定多数の相手方(預金者)に対して返還を約して預託を受けた金銭であり、当該銀行を受寄者として消費寄託された金銭としての性質を有するものと認められ、所得税法第2条《定義》第1項第10号にいう「預貯金」に当たり、同法第23条《利子所得》第1項にいう「預貯金」に該当するものということができる。そして、本件Depositsから生じる利子は、本件Depositsの預託を受けた当該銀行が、一定期間これを運用して利益を上げる一方、これを預金者である請求人に支払う金銭と認められることから、同項にいう「預貯金の利子」に当たり、利子所得に該当する。

トップに戻る