収入金額

給与所得

  1. 資産の譲渡
  2. 収入すべき時期
  3. 収入金額の計算
    1. 配当所得
    2. 不動産所得
    3. 事業所得
    4. 給与所得(4件)
    5. 譲渡所得
    6. 一時所得
    7. 雑所得

被扶養者の入学金及び授業料等を減額免除されたことによる学費減免相当額は給与所得の収入金額に該当するとした事例

裁決事例集 No.23 - 37頁

 請求人(大学教員)の長男の入学金及び授業料等につき、大学に設けられている学費減免規定に基づき、減額免除されたことによる利益は、使用者である同大学から勤労者の地位にある請求人が受けた経済的利益であるから、当該経済的利益に係る所得は、所得税法第28条第1項にいう給与所得に該当する。

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米国内国歳入法401kの掛金の拠出金は給与等の収入金額に当たるとした事例

裁決事例集 No.55 - 76頁

 請求人は、H社の企業年金プランのうち、米国内国歳入法第401条k項に規定する年金プランに加入し、掛金を拠出しているが、[1]当該掛金は、内国歳入法においては拠出時の給与の減額とされ、将来の年金受給時に課税されるものであること、[2]当該掛金は、請求人に現金等で支給されず、請求人が管理、支配できない給付に該当するものであること及び[3]請求人が将来米国の居住者として受給する年金の一部である掛金に課税することは、日米租税条約第23条(1)及び同条約の目的である「反二重課税」に反することから、我が国においては拠出時の給与として課税すべきではない旨主張する。
 しかしながら、401kプランの掛金として拠出するか又は給与として現金で受け取るかは請求人の任意であること、更に401kプランの掛金とする場合であっても、拠出割合及び投資対象については請求人の判断と責任において選択することとされていることなどから判断すると、本件掛金は、請求人がH社の使用人としての地位に基づいて役務の提供の対価として受け取った給与を請求人の意思と判断により、401kプランの掛金として拠出したものと認めるのが相当であり、本件掛金相当額は、所得税法第36条の規定により、各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額に該当し、同法第28条第1項の規定により、給与所得に該当するものと認められる。

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受領済の役員報酬につきそ及して減額する旨取締役会で決議したことにより、給与所得の収入金額が過大であるとしてされた更正の請求は、同決議に基づき受領済の報酬の一部を返還しても、請求人の既に確定した給与所得の収入金額には影響を及ぼさないから、更正をすべき理由がない旨の原処分は適法であるとした事例

裁決事例集 No.56 - 111頁

 請求人は、[1]本件減額決議は、多額の累積欠損金を抱えたE社の再建を目的として、取締役全員の合意に基づいて行ったもので、同社は、平成8年9月に開催した定時株主総会において財務諸表の承認を得ていること、[2]役員と法人との間の委任契約は、当該委任契約の存する決算期間内であれば、そ及して変更することは可能であることから本件役員報酬の減額を認めるべきである旨主張する。
 しかしながら、E社は請求人の役員報酬の金額(月額)及びその支給日を毎月20日と定めていたと認められ、請求人は平成7年においてその定めどおりに役員報酬を受領していたと認められるから、請求人の平成7年分の給与所得の収入すべき金額は請求人が確定申告をした金額になる。
 また、本件減額決議をした本件取締役会及び株主総会を開催した日は、いずれも平成8年7月期の事業年度終了の日以後の請求人が現実に報酬を受領した後であり、その支払時点では経営委任の業務執行の対価として正当に支払われたものであり、請求人の平成7年分の給与所得の収入金額は、収入すべき時期である支給日において既に具体的に確定していたと認められるから、本件減額決議をした日に収入すべき金額が確定したとみることはできず、請求人が本件決議に基づいて受領済の役員報酬の一部を返還しても、請求人の給与所得の収入金額に何ら影響を及ぼすものではないと解するのが相当である。
 したがって、更正すべき理由がないとした本件通知処分は適法である。

外国法人から支払われる国外給与が外貨建て円払い取引に該当せず、円換算を要しないと判断した事例(@令和元年分から令和3年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分、A令和2年分から令和3年分の所得税及び復興特別所得税に係る過少申告加算税の各賦課決定処分・@一部取消し、A棄却)

令和6年7月3日裁決

《ポイント》
 本事例は、雇用契約の定めに従って国外給与を日本円で支払うために作成された所得明細に基づいて日本円で送金された給与につき、当該所得明細に記載された支給総額を給与所得の収入金額とすることが相当であって、当該所得明細は日本円で表示されているから、当該国外給与の支給は外貨建て円払い取引には該当せず、その収入金額の算定に当たって円換算は要しないと判断したものである。

《要旨》
 原処分庁は、外国法人が請求人に交付した税額計算書(本件計算書)には、請求人の給与(本件国外給与)が外国通貨で記載されており、本件国外給与が請求人の口座に日本円で入金されていることから、いわゆる外貨建て円払い取引に該当するとして、本件国外給与に係る給与所得の収入金額は、所得税基本通達57の3−2《外貨建取引の円換算》の注5の定めに基づき、外貨建取引に準じた方法で本件計算書の総支給額を円換算する必要がある旨主張する。
 しかしながら、本件計算書は、外国法人が請求人から源泉徴収した税金を外国の国税当局に納付する際に使用する書類であって、外国法人は、請求人との雇用契約の定めに従い、請求人に本件国外給与を日本円で支払うため、日本円で算定した所得明細(本件所得明細)を請求人の給与明細として作成し、本件所得明細に基づき、本件国外給与を請求人の口座に日本円で送金していることから、本件国外給与の支給は外貨建て円払い取引には該当せず、本件国外給与の各月の収入金額は、日本円で算定された本件所得明細に記載の総支給額であることから、本件国外給与に係る給与所得の収入金額を算定するに当たり、円換算する必要はない。

《参照条文等》
 所得税法第57条の3第1項
 所得税基本通達57の3−1、57の3−2

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