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相続税の課税価格の計算

判決、訴訟上の和解による債務

  1. 分割財産に係る課税価格
  2. 非課税財産
  3. 債務控除
    1. 借入金
    2. 敷金、保証金等
    3. 判決、訴訟上の和解による債務(4件)
    4. 物上保証、連帯債務等
    5. 使用人に対する退職金債務
    6. 保証債務
    7. その他
  4. 相続開始前3年以内の贈与
  5. その他

相続開始後の和解で相続権確認の訴えの取下げの代償として支払うこととした金銭債務は相続債務ではないとした事例

裁決事例集 No.2 - 31頁

 請求人が本件扶養料、学費を支払うこととなったのは、被相続人の生存中から係争中の認知請求の訴えに関連があるとしても、その支払債務は、請求人を被告として被相続人の死亡後に提起された相続権確認等の訴えにおいて職権和解によって発生したものであり、被相続人の相続開始の時に債務として存在していたものとは認められない。

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判決によって給付を命じられた不当利得返還債務の額は相続税法第14条に規定する確実と認められる債務に該当するとした事例

裁決事例集 No.20 - 187頁

 相続税法第14条第1項に規定する「確実と認められる債務」とは、被相続人の債務については、相続人が債務を履行することになるものであり、それだけ相続により取得した経済的価値が失われることとなるので、それを控除する趣旨と解されることから、債務の存在及び履行の確実性を意味するものと解される。したがって、相続税の計算上控除できる債務としては、不当利得返還請求に基づく給付訴訟において存在が認められたにすぎない不当利得返還債務の全額ではなく、給付判決によって給付を命じられた額すなわち請求人が履行しなければならない額に限られる。

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相続開始後に成立した和解に基づく債務は相続税法第14条に規定する債務に該当しないとした事例

裁決事例集 No.21 - 193頁

 相続開始から3年を経過した後に被相続人に係る債務があるとして債権者から貸金の返還請求を訴訟により求められた請求人が裁判上の和解において同人の負担とされた金額につき、これを相続債務として債務控除するように更正の請求をしたが、借入れを立証する証書、借入金の授受、弁済に係る事実等に照らして当該債務が被相続人に帰属したとする確実な証拠は認められないから、当該債務を債務控除の対象にすることはできないとした原処分は相当である。

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相続財産の額から控除される債務に関し、貸宅地の立退きの合意は相続開始後であり、請求人は申告上当該宅地を貸宅地として評価していること等から、立退きに係る支払債務は確実と認められる債務に該当しないとした事例

裁決事例集 No.47 - 403頁

 請求人は、本件和解金は本件土地に係る長期にわたる紛争の和解金で、支払義務は相続開始時に確定していたものであり、確定債務であると主張する。
 しかし、被相続人が貸し付けていた土地の借地人の立退きに当たって、同人に支払うこととなった和解に係る支払債務については、[1]支払の合意が成立したのは相続開始後であること、[2]相続開始時点において借地人はいまだ本件土地を立ち退いていなかったこと、[3]当該相続税の申告上、請求人は本件土地を貸宅地として評価していることから、本件和解金は、本件相続開始時点における確実と認められる債務には該当しないと認められ、これを債務控除の対象としなかった原処分は相当である。

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