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課税範囲

「対価を得て行われる」の意義

  1. 課税取引
    1. 「事業として」の意義
    2. 「対価を得て行われる」の意義(2件)
    3. 資産の貸し付けの範囲
    4. 役務の提供の範囲
    5. みなし譲渡
  2. 非課税取引
  3. 免税取引

売買契約の買手である審査請求人が金銭を受領することなく当該売買契約に係る権利義務の一切を第三者に移転した取引について、売買契約に係る買主の権利義務を一体として移転したものであって、代金支払債務の引受けを対価として目的物引渡請求権を譲渡したものとは認められないから、対価を得て行われた資産の譲渡等に該当しないとした事例

裁決事例集 No.73 - 495頁

 請求人は、本件基準期間において、E社に特注した機器に係る代金支払債務の引受けを見合いとして当該機器の引渡請求権をF社に譲渡しており、当該機器の引渡請求権の譲渡は課税売上げに該当するから、本件課税期間については課税事業者に当たる旨主張する。

 しかしながら、本件引受書によれば、請求人、F社及びE社の間で、当該機器に係る請求人のE社に対する権利義務を一体としてF社に移転する合意があったものと認められるところ(以下、当該合意に基づく当該権利義務の移転を「本件取引」という。)、本件引受書には、当該権利義務の移転の対価として収受すべき金額の記載がなく、当審判所が本件引受書以外の資料を調査したところによっても、本件取引について対価が授受されたことを示すものは見当たらない。そうすると、本件取引は、対価を得て行われた資産の譲渡等に該当しないから、課税売上げに当たらない。
 したがって、請求人は、本件課税期間については課税事業者に該当しない。
 なお、本件取引は、契約から生じる個々の債権債務のみならず当該契約の取消権や解除権も包括的に移転する取引で、単なる債権譲渡や債務引受とはその本質を異にするものと認められ、本件取引に係る対価についても個々の債権債務その他の付随的権利関係を一体として評価することが相当であるから、請求人の主張には理由がない。

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請求人が所有する会館を檀家以外の者に利用させ利用料を受領したことは「事業として対価を得て行われる資産の貸付け」に該当するとした事例

平成25年1月22日裁決

《要旨》
 請求人は、請求人が境内に所有する会館を請求人の僧侶が出仕しないで檀家以外の者に対し利用させる行為により利用料を受領する際、領収証のただし書に「会館使用布施」と記載し、布施として利用料を受領しており、当該会館を利用させた対価として利用料を受領したものではないから、当該行為により金員を受領していたことは、いわゆる不課税取引に当たり、資産の譲渡等に該当しない旨主張する。
 しかしながら、法人が行う全ての資産の貸付けは「事業として」行われるものであるから、当該行為は、「事業として」行われるものに該当し、また、一般的に「対価」とは、資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供に対する反対給付として支払を受けることをいうから、資産の貸付けが無償で行われる場合や支払行為に対価性がない場合には消費税が課されないことになるが、本件においては、請求人は、当該会館を檀家以外の者に利用させ、その対価として当該者からその利用料を受領したものであり、さらに、当該利用料が喜捨等の性格を有するということはできないから、上記の資産の貸付けが無償で行われる場合や支払行為に対価性がない場合には当たらないというべきであり、この判断は、請求人が当該会館の利用者に交付した領収証に「会館使用布施」と記載していたとしても左右されるものではない。そうすると、請求人が当該行為により金員を受領する行為は、「事業として対価を得て行われる資産の貸付け」に該当し、資産の譲渡等に該当すると認めるのが相当である。

《参照条文等》
 消費税法第2条第1項第8号
 消費税法基本通達5−1−1、5−1−2

《参考判決・裁決》
 平成16年2月5日裁決(裁決事例集No.67・747頁)

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