課税範囲

物品切手等の譲渡

  1. 課税取引
  2. 非課税取引
    1. 土地等の譲渡及び貸付け
    2. 物品切手等の譲渡(3件)
    3. 国等の手数料等
    4. 医療の給付、社会福祉事業等、助産に係る給付
    5. 授業料、入学金等
    6. 住宅の貸付け
  3. 免税取引

パチンコ景品交換業務は課税取引に当たるとした事例

裁決事例集 No.56 - 411頁

 請求人は、パチンコ景品交換所において遊技客から提示を受けた本件景品は、初めから消費を目的としたものではなく、単に金銭の請求権の存在を証明するためのものにすぎず、消費税法別表第1に掲げる消費税が非課税とされるもののうち、例えば、有価証券に類するもの、支払指図、金銭債権の譲渡又は物品切手に類するものなどとその経済的効用は全く同一であるから、請求人とS景品回収業者との本件景品の取引(以下「本件取引」という。)については、消費税法第6条(非課税)第1項の規定を類推適用して非課税とすべきである旨主張する。
 しかしながら、S景品回収業者は本件景品を請求人からの買取りとして経理処理していること及び本件景品の取引価格は請求人を含めた当事者間で取り決めていたものであること等から、請求人が行っている本件取引は本件景品の販売行為であり、本件景品は販売を目的とした商品そのものと認められるので、本件取引は非課税取引には該当しない。
 そして、本件取引は、消費税法別表第1に規定されている課税の対象とすることになじまない性質の資産の譲渡等とはその性質が異なるのであって、これらに該当しないことは明らかであるから、本件取引について消費税法第6条第1項を類推適用する余地はないというべきである。

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請求人が行ういわゆるエアー・オンチケットと称する格安国際線航空券に係る取引は、取次ぎという役務の提供取引ではなく、国際線航空券の売買取引であると認められ、航空券は消費税第6条第1項に規定する別表第1第4号ハに掲げる物品切手等に該当することから当該取引は非課税取引であるとした事例

裁決事例集 No.75 - 659頁

 請求人は、外国航空会社のチャーター便取引は、国際航空券を一便ごとに一括で仕入れ、包括旅行を企画する旅行業者に販売しているものであり、当該取引は国際航空券の売買である旨主張する。しかしながら、請求人は、外国航空会社とのチャーター便販売契約の○○地域における代理店として、1包括旅行を企画する旅行会社に対してチャーター便販売の営業活動を行い、2外国航空会社(運航者)と日本における総代理店G社(用機者)との「航空機貸切契約書」には立会人として署名し、3チャーター便の出発までの各種手配等を行い、「チャーター便販売契約附則」に基づき一定の料率で販売手数料の金額が計算されていることからすると、請求人は、外国航空会社の日本総代理店G社からチャーター便の販売を委託され、当該販売業務の対価として手数料を得ていたものと認められる。そうすると、請求人は、外国航空会社の日本総代理店G社に対し、国内において役務の提供を行い、その対価として手数料を得ていたとみることが相当であり、請求人の行ったチャーター便取引は、課税取引に該当すると認められる。
 また、原処分庁は、請求人が行う航空券だけ(エアー・オンリー)で取引される本件国際航空券に係る取引は、国際航空券の取次ぎという役務提供であり、売上価格と仕入価格の差額に相当する額が、当該役務提供の対価であると主張する。しかしながら、請求人は、国際航空券の予約申込みを行う本件旅行業者に本件国際航空券を引き渡し、これに対して、本件各旅行業者が請求人の提示した価格表に基づいた金員を支払っている事実が認められる。また、請求人と本件各旅行業者の間では、本件国際航空券販売に関する取次ぎという役務の提供に対する対価を支払う旨の契約等は認められず、本件国際航空券の航空運賃及び航空運送にかかわる諸費用に相当する金額の合計額を取引金額としており、それ以外に本件国際航空券に係る手数料、報酬それらこれに類するものを支払う合意があったと認めるに足る事実は認められない。そうすると、本件国際航空券取引は、本件各旅行業者が請求人に対して、請求人の提示した価格表に基づいた金員を代金として本件国際航空券を購入することを申し込み、請求人がこれを承諾したことにより、請求人と本件各旅行業者との間で本件国際航空券の売買契約が成立したとみるのが相当であり、当該取引は、消費税法上、航空券という物品切手等の譲渡に該当し、非課税取引と認められる。

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請求人が行った商品券の販売は物品切手の譲渡に該当し、非課税取引に該当するとした事例(消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分・一部取消し・平成29年8月7日裁決)

平成29年8月7日裁決

《ポイント》
 本事例は、請求人は、発行を受けた商品券の同一性を保持しつつ、顧客へ販売しているから、当該商品券の販売は、消費税法別表第一第4号ハに規定する物品切手の譲渡に該当し、当該取引は非課税取引であるとしたものである。

《要旨》
 請求人は、1請求人の店舗のみで使用できる商品券(本件商品券)が、資金決済に関する法律(資金決済法)上の自家型前払式支払手段に該当し、2本件商品券は流通している商品券等には該当しないことなどから、本件商品券の発行者は請求人であり、請求人の本件商品券の顧客への販売は、消費税法別表第一第4号ハに規定する物品切手の譲渡に該当しない旨主張する。
 しかしながら、請求人と本件商品券の発行会社との間で締結した本件商品券の発行及び販売に関する契約(本件契約)は、当該発行会社が本件商品券を作成・発行の上で請求人に券面金額で販売し、これを請求人が顧客に再販売するものとされていること、請求人が購入代金を支払うまで本件商品券の所有権は当該発行会社に留保されること、本件商品券の裏面に発行元は当該発行会社である旨表示されていることからすれば、当該発行会社が本件商品券を発行し、それを請求人に販売するものとして締結されたと認められる。そして、本件商品券は、資金決済法に規定する前払式支払手段に該当し、その発行者に義務付けられた手続を実際に行っていたのは当該発行会社であったことなどからすると、当該発行会社が資金決済法上の発行者として本件商品券の発行の業務を行っていたといえる。これらの事情から判断すると、本件商品券の発行者は当該発行会社であると認められ、請求人は当該発行会社から発行を受けた本件商品券につきその同一性を保持しつつ顧客へ移転させることにより、資産の譲渡を行ったものであるから、請求人が行った本件商品券の顧客への販売は、物品切手の譲渡に該当する。
 ただし、請求人の課税売上割合及び控除対象仕入税額を再計算すると、原処分の一部を取り消すべきである。

《参照条文等》
 消費税法第6条第1項、同法別表第一第4号ハ
 消費税法基本通達6-4-5

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