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その他
- 財産差押えの通則
- 破産宣告と財産の差押えとの関係
- 差押えの効力
- 差押財産の帰属
- 超過差押え
- 無益な差押え
- その他(3件)
- 各種財産に対する差押え
差押処分の取消しを求める理由として滞納処分の停止事由に該当する旨の請求人の主張を排斥した事例
請求人は、自身の資力からみて国税徴収法第153条に基づいて滞納処分の執行が停止されるべき状態にあることを理由として、本件差押処分の違法又は不当を主張する。
しかしながら、滞納処分の執行の停止は、国税徴収法第153条第1項に規定された一定の要件に基づき、税務署長又は国税局長の裁量によって行うものであって、これを行わない不作為に対する不服申立てに対する判断は、当審判所の権限に属するものではない。そして、同条第3項は、滞納処分の執行の停止をした場合においては差押えを解除しなければならない旨規定するが、本件においては、いまだ当該滞納処分の執行の停止はなされていないのであるから、差押えを解除しなければならない状態となっているわけでもなく、差押えを取り消す理由はない。
したがって、滞納処分の執行を停止すべきであることを理由として、本件差押処分の取消しを求める請求人の主張は失当である。
平成18年9月8日裁決
申告相談時の事情や、事前に差押えをする旨の話がなかったことをもって分割納付継続中に行われた差押処分が違法又は不当であるとはいえないとした事例
請求人は、申告に先立ち申告相談をした際に、当初、原処分庁所属の職員が税金はかからないと言ったのに、申告時には税金がかかることになった事情及び滞納国税の分割納付を約10年間継続して行い、その間、差押えの話もないまま一方的に差押えが行われた事情をもって、本件差押処分は信義則に反して違法又は不当である旨主張する。
しかしながら、本件差押処分は、国税徴収法第47条《差押の要件》に基づき適法に行われており、また、原処分庁が請求人に対して差押処分をしないことを公的見解として表示したなど、租税法規の適用における納税者間の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお本件差押処分を取り消して請求人の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情は認められない。
更に、請求人は分割納付を継続してはいるものの、納付計画に従ったものではなく、その納付状況や滞納国税の額に照らせば、滞納国税の完納までに相当期間が必要であり、本件差押処分の直後に自主納付により滞納国税が完納される可能性は著しく低かったといわざるを得ないから、請求人の財産を保全する必要性があったということができ、そうすると、本件差押処分の実施時期の判断については差押処分の趣旨及び目的に沿った合理的なものということができる。
また、納税者の財産保全が差押処分の目的であり、差押えについて予告することはその目的の達成を不可能にするおそれがある行為であるから、事前に差押えの話をしないことは、このような差押処分の目的に反するものではなく、差押処分を不当とする理由にはなり得ない。
《参照条文等》
国税徴収法第47条第1項第1号
差押処分の直後に自主納付により滞納国税が完納される可能性は著しく低く、請求人の財産を早期に保全する必要性があったと認められることからすると、差押処分に係る徴収職員の裁量権の行使は差押処分の趣旨及び目的に反して不合理なものであったとはいえず、差押処分は不当なものではないとされた事例(債権の差押処分・棄却・平成27年6月1日裁決)
《要旨》
原処分庁が、請求人の滞納国税(本件滞納国税)を徴収するために債権の差押処分(本件差押処分)をしたことに対し、請求人は、原処分庁との納付相談において請求人の申し出た分割納付が認められたと理解して分割納付をしていたにもかかわらず、また、分割納付を依頼する各種事情を説明したにもかかわらず、これらの事情を一切考慮せずに行った本件差押処分は不当である旨主張する。
しかしながら、本件滞納国税の納付状況等からすると、本件差押処分の直後に自主納付により本件滞納国税が完納される可能性は著しく低かったといわざるを得ず、請求人の財産を早期に保全する必要性があったと認められるから、本件差押処分に係る裁量権の行使は、差押えの趣旨及び目的に反して不合理なものであったとはいえず、本件差押処分は不当なものではない。
《参照条文等》
国税徴収法第47条第1項第1号
行政事件訴訟法第30条
行政不服審査法第1条第1項
《参考判決・裁決》
平成21年5月11日裁決(裁決事例集No.77)
平成22年9月29日裁決(裁決事例集No.80)