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所得税法の特例

先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除

  1. 不動産所得及び事業所得等の特例
  2. 譲渡所得の特例
  3. 株式等に係る譲渡所得等の特例
  4. 住宅借入金(取得)等特別控除
  5. 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
  6. 先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除(2件)
  7. タックスヘイブン対策税制
  8. 寄附金特別控除

本件取引期間における商品先物取引の差金等決済により生じた損失の金額について、租税特別措置法第41条の15の適用による当該損失の繰越控除及び繰戻控除が認められないとした事例

裁決事例集 No.70 - 134頁

 請求人は、本件取引期間全体では、総額で多額の損失を被っているのであるから、本件先物取引において、一時的に利益が生じたからといって課税するのは違法である旨主張するが、所得税の納税義務は、暦年の終了の時に成立し(国税通則法第15条第2項第1号)、その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、その年において収入すべき金額とされているところ(所得税法第36条第1項)、請求人は、本件取引期間全体では損失を被っているものの、平成13年中の本件先物取引では利益が生じているのであるから、同年中の本件先物取引による損益は、平成13年分の所得となる。
 また、請求人は、本件更正処分に際しても、商品先物取引に係る損失の繰越控除を認めることとした租税特別措置法第41条の15の適用を認めるべきである旨主張するが、平成15年に改正された租税特別措置法第41条の15第1項及び第2項の内容は、平成15年1月1日以後に商品先物取引の差金等決済をしたことにより生じた損失の金額について適用されるものであり、請求人が行った商品先物取引は、平成14年12月以前に行われたものであるところ、平成14年12月31日以前の商品先物取引の差金等決済をしたことにより生じた損失の金額についてもそ及して適用することを定めた規定が存在しない以上、本件取引期間において請求人が行った商品先物取引について、租税特別措置法第41条の15の規定の適用はない。

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FX取引のうち店頭金融先物取引に係る所得については、租税特別措置法に規定する分離課税及び損失の繰越控除が認められないとした事例

裁決事例集 No.75 - 288頁

 差金等決済に係る先物取引による雑所得等については、平成17年度の税制改正において、租税特別措置法第41条の14及び同法第41条の15の規定が改正され、先物取引に係る雑所得等の分離課税の適用及び先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除の適用について、その対象に、平成17年7月1日以後に行う取引所金融先物取引の差金等決済に係る雑所得等が追加されている。
  請求人が行ったFX取引は、金融商品取引業者との間で相対で行った金融先物取引法第2条第4項に規定する「店頭金融先物取引」であり、金融先物取引所の開設する金融先物市場において行う「取引所金融先物取引」には該当しないのであるから、租税特別措置法第41条の14第1項の規定を適用する余地のないことは、法文に照らし明らかであり、請求人の各年分のFX取引に係る所得は、他の所得と区分して課税されるものではなく、他の所得と総合して課税されることとなるものである。
  また、租税特別措置法第41条の15第1項に規定する先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除については、同法第41条の14第1項各号に掲げる先物取引の差金等決済に係る損失に限定してその適用を認めているところ、上記のとおり、請求人の行ったFX取引は取引所金融先物取引には該当しないことから、同法第41条の15第1項の規定は適用されない。
  さらに、金融先物取引に係る損失の繰越控除は、平成17年7月1日以後に行う取引所金融先物取引の差金等決済に係る損失に限られるところ、請求人の平成14年分ないし平成16年分に生じたFX取引に係る損失は、平成17年7月1日以後に行われた取引に係る損失ではないことから、FX取引が店頭金融先物取引に該当するか取引所金融先物取引に該当するかにかかわらず租税特別措置法第41条の15第1項の規定を適用する余地はなく当該損失の繰越控除は認められない。

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